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026_騎士団の襲来

ようやく村にトラブル発生です。

ようやくって言っていいのでしょうか?

026_騎士団の襲来


百香が列人の昔話を聞いてから1週間ほどたったある日、それまで平和だったコル村に異変があった。


その日、列人達は肉を手に入れる為に狩りに出ていた。

ただしギルド職員に「あまり沢山とって来るな」と血走った目で言われたので、今回はオークキング2体で早めに切り上げた。

なおオークキングは、豚が2足歩行した様なモンスターであるオークの上位種である。

肉質はきめ細かく、霜降りが入っていて非常に美味で知られている。

ただし1体辺りが500キロほどと非常に重く、2体で1トンほどになる。

それを列人が一人でソリを使い、引きずっているのだから非常に目立つ。


そんな目立つ2人が村の入口付近に差し掛かった時に息を切らしたフィオが慌てて走り寄ってきた。


「アルくん、大変、ちょっと止まって。」


「どうしたんだ?フィオ。」


「いいからちょっと隠れて、ってなんてもの狩ってきてるんですか!」


「いや、ちゃんと控えめに2体だけだぞ。」


「オークキングは控えめとは言いません!」


「どうしたのフィオちゃん?」


「そうでした。とにかく隠れて、話はそれからです。」


列人達とフィオはオークキングを引きずりながら、村の近くの林へと向かった。


「で、フィオ、何があったんだ?」


「そうでした。大変なんです。騎士団が来ちゃったんです。

しかも人探しをしているみたいなんですよ。」


「百香、村の様子は?」


「今、探っているところ。」


百香は能力の一つである植物を使った探知の力で、村の様子を探っていた。


一方、コル村のハンターギルドのマスター室、

そこでギルドマスターであるバクラは騎士団の責任者と話していた。

騎士の容姿は黒髪、茶色の瞳でがっしりした体格のワイルド系美青年である。

歳の頃は17、8と言ったところか、騎士団の責任者というには随分と若い。


「お初にお目にかかる、騎士殿、私がマスターのバクラです。」


「王都騎士団、第一師団_第一部隊隊長_トーマス=ゼクスだ。」


「本日はどういったご要件で。」


バクラの普段からは考えられないほどの丁寧で完璧な礼儀と態度で、騎士隊長_トーマス=ゼクスに対応する。

バクラはTPOを使い分けられるできる漢なのだ。


(ち!ゼクス軍務大臣のところのドラ息子か。

よりにもよってモニカ=ローゼスベルクの関係者。

と、言うことは目的はおそらく)


「少し捜査をしていてな。何か変わったことは?」


「いえ、特には・・・うちのハンターの1人が調子に乗って大物を大量に狩っている事くらいでしょうか。」


「ふむ、そうか。詳細は話せないのだが、国の命でとある人物を探している。

野外演習も兼ねているので村の外にキャンプを設営させてもらいたいと思っている。

許可を頂けるかな。」


「ええ、国のご命令とあらば否はございません。

村人からは私から話を通しておきます。

なにかご入り用でしたら、遠慮なく仰ってください。

できる限り配慮させていただきます。」


(くそ!心底断りてえが国の命令じゃ無理だな。

適当にやり過ごすしかないか。)


「では、早速。今回の捜査任務で兵を50名ほど連れて来ている。

食料の補給をしたので手配してもらいたい。」


「50名ですか!うちの様な小さな村にはそれほど蓄えはございません。

短い間、そうですね。2~3日なら大丈夫ですがそれ以上は住民の生活に支障が出ます。」


(この貴族のボンボン、村の規模くらい調べてから来やがれ。

300人規模の村に50人で押しかけたら厳しいのは当たり前だろうが。)


「滞在期間は1週間だ。それまでの物資はなんとか準備しろ。

こちらは国の命で来ている。この意味がわかるな。」


(わかりやすい脅迫だな。ここまで来ると怒りを通り越して呆れてくる。

しかしマズイな。この事をアルに知られたら間違いなく血の雨が降る。)


こんな事を言われても、列人がやらかす事の心配をしているバクラは、ある意味人がいいと言えるだろう。


「わかりました。しかしながら一つ提案がございますがよろしいでしょうか?」


「いいだろう。どのような案だ。」


「見たところ、今回派遣された騎士は皆様腕の立つ方々が揃っている模様。

それでしたら、北にある森で狩りなどをされてはいかがでしょうか?

野菜等は村で作っておりますからなんとかなりますが、肉の調達が厳しいのです。」


バクラの提案は村の食料の負担を減らすと共に、モニカ=ローゼスベルク捜索の手を遅らせる為のものだった。

滞在期間の1週間というのもおそらく国が定めた期限であり、それ以上は成果があってもなくても報告に戻らなければならないだろうとバクラはあたりをつけていた。


(頼むからこの案に乗ってくれよ。

じゃないと痛い目に遭うのはお前達と騎士団長のヴィルヘルムなんだからな。

お前らはともかくヴィルヘルムは完全にとばっちりだからな。)


実は昔、列人がやんちゃをしていた頃、

礼儀知らずの騎士団がやってきて列人にOHANASHIをされた事がある。

その時の隊長が現騎士団長のヴィルヘルムであり、コル村で騎士団が問題を起こすと列人が『ご挨拶』に行くのである。

(この時ヴィルヘルムはちゃんと止める側であったにも関わらず連帯責任でこっぴどく絞られた。)

そして問題を起こした騎士団員は騎士団から姿を消すとか消さないとか言われている。


「ふん!我々にそのような時間はない。

代金は渡す。食料の準備は村のものでせよ。

これは命令である。」


「・・・・かしこまりました。」


彼はせっかくバクラが渡してくれた梯子を自らの手で外してしまった。

バクラはここにいない騎士団長_ヴィルヘルムの今後に思いを馳せ、合掌するのであった。

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