021_閑話_鉄教官の変身講座
説明回。
列人達の過去の話です。イエローこと、鉄光太郎は列人より8歳年上でこの時は教官をしていました。
021_閑話_鉄教官の変身講座
これは列人と百香が地球で命を落とす約7年前。
まだ列人達エレメンタルズの4人がヒーロー研修生であり、その教官を後のエレメンタルイエローである鉄光太郎が行っていた時の話である。
「本日の講義は、ヒーローの変身についてだ。
桃梨、まず変身の概要についてわかる範囲で構わんから説明してみろ。」
「はい、鉄先生。変身とはヒーローが自己の霊力を用いて、精霊と同調する事により、人と精霊が一体となり本来とは別の姿を取ることです。
これにより、身体能力、術共に通常の数倍以上の力を発揮する事が可能です。
変身の際にはドライバーと呼ばれる変身補助用の道具を用います。
ドライバーには変身を安定的に行える様にヒーローを補助するもので、形状は武器、防具、アクセサリーと様々です。」
「よろしい、では赤坂。精霊とはどういう存在か、答えろ。」
「はい、光太郎さん。
精霊とは超自然的エネルギーを司るもので、世界各地にある神話や伝説に登場する人物や神、妖精や物の怪等、多種多様な形をとっており、実の所わかってない部分の方が多いというのが現状です。
21世紀末頃から現れる様になった怪人と共に現れ、現在は人類側に力を貸してくれる存在です。
人の霊力に反応する性質が知られており、術や変身の力は精霊と霊力の相性によるものとされてます。」
「おい、列人。
ここでは教官、もしくは先生をつけろ。
鉄教官、今の説明に補足してもよろしいでしょうか?」
「よろしい、青葉。補足説明を。」
「はい、先ほど精霊は神話や伝説に出てくる者があるとの事でしたが、必ずしもそうではないし、神話に登場する者と同じ名前でも性質が違ったりします。
例としてですが、僕と適合する事が確認された『四神の1柱_青龍』は伝承では木行つまり風や雷の属性ですが、僕の属性は水ですし青龍も水属性を強化してくれています。
それから桃梨の精霊『妖精女王_ティターニア』にも同じ事が言えます。
逆に列人の『火之迦具土神』は神話のイメージ通り、炎の性質を持ち『女性殺し』という特殊効果を有しています。
これは精霊の力が人のイメージに依存している為と推測されます。」
「結構、今までの話で白井も何か意見はあるか?」
光太郎が百合に意見を促す。
百合は引っ込み思案な為、率先して意見を言うのが苦手だが、熟考しているからとも言え、発言には鋭いものや新しい切り口のものがあった。
「では、あまり自信がないのですが・・・ドライバーについてなのですが、なくても変身できるのではないのでしょうか?」
「「「え!」」」
「驚いたな。どうしてそう思う?」
百合の意見に他の3人は驚き、光太郎は感心したような声を上げ続きを促す。
「はい、資料を見たところドライバーはあくまでも変身の補助ツールであり、変身の為に必須の装置ではないと考えられます。
必要なのは霊力の持ち主とそれに適合する精霊だと思われます。
でもこの推測には穴があって、・・・何故なくてもいいはずのドライバーを作ったのか?
ドライバーの作成には莫大な費用が掛かります。
補助ツールと言われていますが、何を補助しているのか?
仮説としましては、変身の際の出力の安定、精霊との橋渡し、人体への負担の軽減等が考えられますが、今まで習った知識では確証までは行き着きません。」
「流石だ!白井の推測はほぼ正解と言っていい。
確かにドライバー無しでの変身は可能だが、人体に掛かる負担が尋常ではなくなる。
また安定した戦力の増加も難しくなる。霊力を使える人間は貴重だ。
ドライバー無しでの変身は基本非推奨とされている。
お前達もヒーローになったら守る様に。
それでは本日の講義はここまで、解散。」
四者四様に百合の意見に驚きながらその日の講義は終わった。
この時、光太郎は平気な顔を保ちながらも内心では冷や汗をかいていた。
今、百合が話した内容は研修生が知るには早い内容だったのだ。
実を言えば、ドライバー無しで変身する現役のヒーローは存在する。
というよりヒーローの中でも最強と呼ばれる10人は全員ドライバーを使っていない。
要はハイリスクハイリターンなのである。
そしてハイリスクと言うのは文字通り命を掛ける必要があると言う事。
とても他人に奨められるものではない。
(特に赤坂には聞かれたくなかったな。
あいつは仲間や身内が危険に晒されると後先考えないからな。)
列人は仲間の為なら無謀を平気でやってのけるきらいがある。
そうでなくても強くなる為にと無謀な挑戦をするのが若者だ。
そうならない事を願う光太郎であった。
ちなみに蛇足ですが、
列人が呼び名について指摘するのは元々ブルーこと、青葉総司の口癖です。
百香に会うまでエレメンタルズを知るものが列人しかいなかった事を考えると少し切ないです。




