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019_計画とはうまくいかない事の方が多い

今回はこの2人の実力がこの世界でどのくらいの位置にあるか書いてみました。

019_計画とはうまくいかない事の方が多い


「百香、今日は一日訓練に当てるぞ。」


百香がコル村に来てから数日たったある日の朝は、列人のこの一声から始まった。


「列人、どうしたの急に?」


「別に急じゃないだろう。

あれから二人で依頼を数件こなしたが、満足行く結果を得ることができなかった。

今一度徹底的に鍛える必要があると思っていたはずだ。」


「・・・確かにそうね。」


「ちょっとアル、モモカちゃん、

まさかあの成果で不満だったの?」


ちなみにこれまでの2人の討伐数は

・ボア(猪のモンスター)50体

・グレートボア(ボアの上位種)10体

・キラーホーク(鳥のモンスター)30体

・ガンマンフィッシュ(魚のモンスター)80体

・リザード(オオトカゲのモンスター)20体

・ヘルスネーク(大蛇のモンスター)15体

・ワイバーン(小型の竜のモンスター)5体

である。


今までの列人は一人であった為、多くの素材を持って帰ることが出来なかったが、(それでも大量の魔石と高価な素材は持って帰っていたが)

百香の能力により、素材を素早く持って帰る事ができるようになった為、自重する事なく森の奥でモンスターを狩るようになった。


その結果がこれであるが

百香はモンスターと戦うごとにヒーロー時代との齟齬を感じ、フラストレーションは溜まる一方であったのだ。

ちなみに列人は10年間この思いを感じ続けていたが、如何せん訓練相手がいない。


余談ではあるが、大量の素材を無駄なく売り捌く為、バクラを始めとしたギルド職員の面々が奔走させられたと言う。

おかげで村の財政及び列人達の財布は潤ったが、ギルド職員は疲労困憊である。

列人達が狩りにでないのは、正直ギルド職員にとってはありがたい話である。


そういうわけで、本日の予定は訓練となった。

列人達は村から少し離れた空き地で訓練をする事にしたのだが、なぜかそこには村中から野次馬共が来ていた。


「「・・・・・どうしよう、これ。」」


さすがに列人達はこれに困惑した。田舎は娯楽が少ないので、こういった普段とは違う面白そうな事はすぐに広まる。

村最強のハンターである列人と新しく村の住民となった百香の戦うところとなると野次馬が集まるのはある意味必然である。

これでは野次馬が邪魔になって範囲攻撃等の一部の術が制限されてしまう。

だが、集まった野次馬を追い払うのもまた困難である。彼らに善良な村民を叩き出す度胸はない。元ヒーローは市民に弱いのである。

列人達は仕方ないので野次馬に娯楽を提供する事にした。


列人は野次馬達に少し離れるように指示をした。

それから列人と百香の双方が10mほど離れた場所にスタンバイしてから訓練は開始された。

ちなみに列人の獲物は百香が作った木刀『リグナムバイタソード』、

百香の獲物は同じく百香が作った戦闘用の棒『リグナムバイタロッド』である。

今回の訓練の目的は近距離戦における術の運用及び霊力の精密操作である。


『アイビーバインド』

初撃は百香からだ。百香の足元に無数の蔦植物が生成される。

得意の蔓で相手を拘束する術が列人を襲う。


『赤刀一閃』

四方、八方から襲ってくる蔓を炎を纏った木刀でなぎ払いながら距離を詰める。

木刀は列人の霊力で守られているので、引火することはない。

百香に肉薄した列人の木刀が百香に襲いかかるが、百香はそれを棒で受け止めて術を発動させる。


『オークバレット』

樫の木の弾丸が列人に向かって殺到する。

咄嗟に列人は後ろに飛び回避するがそこに百香が追撃を掛ける。


『オークランス』

巨大な樫の木が槍となって列人の懐に向かって猛スピードで飛び込んでいく。


火流双破斬(かりゅうそうはざん)

後ろに飛び退いていた列人が一転、前方へと突っ込む。

その際、木刀には強烈な炎が纏われており、それを持って連撃を放ち、樫の木の槍を破壊する。

その後も勢いを止める事なく突進してくる列人を百香は受けて立つ。


『エボニーシールド』

黒檀で作られて巨大な盾で列人の剣戟を受け止め突き放す。

一旦距離を置いて仕切り直しである。


「おお!すげえ!」


「がんばれ~。モモカちゃ~ん。」


「アルに目にもの見せてやれ~。」


「だんちょ~、モモカちゃんを虐めるな~。」


「きゃー♡アルくん、ステキー、頑張って。」


「アル君、女の子相手に怪我させたら承知しないわよ。」


「アル、お母さんは女の子を殴るような子に育てた覚えはないわよ。」


「モモカちゃん、レットの野郎をボコボコにしてやれ。」


「レット、テメーのせいでこちとら徹夜続きなんだよ。

モモカちゃん、レットの奴に天誅を!」


「テメーら!やかましいぞ。好き勝手言いやがって!」


どうやら野次馬は皆、百香の味方のようだ。(ただし自称嫁は除く)

自警団の団員、ハンター仲間、ギルド職員、果ては自分の母親まで、完全なアウェイに列人は泣きそうになる。


「百香、外野もうるさい事だし次で決めるぞ。」


「ええ、次は大きいの行くわよ。」


列人は居合の構えをとり、百香は手持ちの棒に霊力を集中させる。

先に動いたのは百香だ。


『ミストルティン』

ヤドリギの槍、とある神話に出てくる不死の神を倒した武器を模した技である。

手持ちの棒が眩い光とともにヤドリギの槍へと変貌を遂げる。

百香はそれを凄まじい速さと威力を持って列人に投擲する。


炎獄桜花咲(えんごくおうかしょう)

刀に最大限の炎を溜め込み、居合による高速の斬撃とともに炎を一気に解き放つ列人の持つ技の中で最高クラスの威力を誇る技である。

刀に溜め込んで振り抜いた際に発生する炎があたかも桜の花びらの様であることからこの名がつけられた。


高威力の技同士がぶつかり、あたりに激しい閃光と衝撃音が響き渡る。

閃光が静まった後両者の間には直径2m程のクレーターが出来ていた。

また、両者の手には今まで握られていた獲物がない。

両者の最大の技がぶつかりあった結果、獲物の方が技に耐えられなくなり破損したようだ。

両者獲物がなくたったのに加え、野次馬もある程度満足したので今回の勝負は引き分けとした。





「何かすごかったな~。」


「ああ、一瞬で蔦が伸びたと思ったら

炎がそれを焼き払ったり、木の槍が飛んだらそれも叩き切って攻撃しようとしたら、木の盾で防いだり。」


「最後の技の威力とかすごかったな。

あれならモンスターもイチコロなわけだ。」


「マスター、元ハンターから見て2人の実力ってどんなものなの?」


「そうだ、さすがにAランク『鉄壁』のマスターには勝てないだろう?」


今まで野次馬をしていた村人達がバクラに尋ねる。

バクラは少し冷や汗をかきながら質問に答える。


「・・・ある程度予想はしていたが強さだけならSランク以上だな。

俺の現役時代でも歯が立たん。」


「そんなにすごいのか?」


「でもアルって確かBランクだろう。

なんで強いのにランクが低いんだ?」


その質問に対してもバクラが答える。


「アルの奴はわざとBランクより上にランクが上がらない様にしているんだ。

あいつは基本的にコル村だけで活動したいんだが、Aランク以上になると王都を始めとした大都市に召集がかかるようになる。

中には拒否できない物もあって、アルはそれを嫌っている。」


「そうなのか~。ちなみにSランク以上と思ったのはなんで?」


「まず、魔法の出だしが異常に早い。

普通魔法を使う時は詠唱するものなんだが、二人共魔法名を短く唱えただけだ。

そして魔法のひとつひとつがそこら辺のモンスターなら即死させられる威力だ。

その上、そんな魔法のやり取りを眉一つ動かさず、冷静にやってのけている。

普通なら死と隣り合わせの激闘だが、奴らにとっては本当にただの訓練みたいだ。」


「なんだよ。おっかねえ。

つか、アルの奴モモカちゃんにそんな危ない攻撃していたのか。

後で締めてやらねえとな。」


「全くだ。あいつは女の子の敵だ。」


バクラの説明を聴いて、村人達がいきり立つ。

村人は皆、百香贔屓なのである。

村人のそんな様子にため息をつきながら、説明を補足する。


「言っとくけどモモカもアルに対して相当危ない攻撃していたぞ。」


「え!そうなのか?」


「ああ、俺の見立てでは最初の蔦の攻撃だが絡んだら鉄でもひん曲げるぞ。」


「え!」


「それから次の木の礫はゴブリンならまとめて10体は殺せる。」


「なんだって!」


「その後のでっかい木の槍だが、この間ギルドに持って来たワイバーンにあった傷口と形状が似ていた。

おそらく空中のワイバーンを仕留めたのはあれだ。」


「マジかよ!」


「最後の魔法なんてもう理解不能だ。

多分城とかドラゴンでも吹き飛ぶんじゃないか。」


「いや、流石に言い過ぎだろう?俺達無傷だし。」


「それはあいつらがしっかり効果の範囲を絞ってくれていたからだ。

いいか、間違ってもモモカによからぬ事をするんじゃねえぞ。死ぬからな。」


「・・・・・・・・・」


「あの2人の事については、村人だけの秘密だ。

バレたら国に目をつけられるからな。」


「・・・うん、わかったよ。」


村人達はバクラの説明を呆気に取られながら聴き、口止めを素直に聞き入れた。

だがバクラはこの時、別の事を考えていた。


(アルの魔法もモモカの魔法も全く魔力が感じなかった。

詠唱も全く聞いた事がない言葉だった。

別の人間の記憶、アカサカ=レット、トウリ=モモカ、か。

一体あいつらは何を目指しているんだろうな。

まあ、でもやる事は変わらない。俺達はアルとモモカを守るんだ。

力ではどうにもならない世間や権力から。)


バクラのこの思いが列人と百香に届いたかはわからない。

だがそれでも今は彼らを影から支える事に徹しようと誓うのであった。

ネタバレ




バクラがチラッと語っていますが、列人は権力者への対応がものすごく下手です。

力自体はこの世界ではトップクラスですが、こういう弱い部分もありますので

この作品にチートタグはつけていません。


また個人的にはチートタグは努力なしで力を得た時に付けるものと思っています。

列人も百香も前世で散々苦労して力を得ていますので該当しないと思ってます。

この辺については様々な意見があると思いますが、あくまでも個人の意見ですので

あらかじめご了承下さい。

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