018_閑話_母親達の井戸端会議
主人公が出ないときは閑話としてますが別に無駄話という意味ではありません。
ただふさわしい言葉が思いつかなかっただけで、
今回は母親達の話です。
018_閑話_母親達の井戸端会議
これは列人達がハンターギルドで会議をした次の日の話である。
マリアはいつもの様に弁当配達を済ませ、今はご近所さんと井戸端会議をしていた。
場所はスコット・アンナ夫妻の牧場でそこに噂好きの奥様方が集まっており、
噂のネタは勿論、
「ねえ、マリアさん、とうとうアル君にもガールフレンドが出来たんですってね。」
「え、そうなの?カルラさん。娘のフィオはアル君のお嫁さんになるって息巻いているけど。」
「それがね、エヴァさん。昨日うちに挨拶に来てね。一緒に住んでるんですって。」
「まあ、そうなの。うちにも来てくれれば良かったのに。」
「ハンターギルドに行くって行っていたからね。
フィオちゃんに伝えればいいって思ったんじゃない。」
雑貨屋にして村の情報通のカルラが話を切り出すとフィオの母親のエヴァ、それからアンナとマリアがそれに応じる。
「ところでマリアさん、どんな子なの?そのガールフレンドさん。」
この中で1人だけ会ったことのないエヴァがマリアに尋ねる。
「そうね。とっても可愛い子よ。名前はモモカちゃん。
金髪で青い目でボインなんだけど、どうも本人はボインが気に入らないみたいなの。
きっと男の子に揶揄われたんでしょうね。」
「まあ、そうなの。小さい男の子なんてそんなものだからね。」
「その点、アル君はそういうの気にしないから安心よね。」
「ああ、フィオもそんな事言ってたわね。
確かフィオがボインのハンターさんを羨ましがっていた時
『あんなもんただの脂肪だ。体型なんて本人がどうする事も出来ないんだし、
羨ましいと思うのはどうかと思うよ。』みたいな事言っていたんですって。」
「それっていつの話よ?」
「フィオが13歳でギルド職員見習いをしていた時だから、
アル君は15歳だったかしらね。」
「フィオちゃんってば、アル君の事本当に好きよね。
それにしてもアル君ってどこか大人よね。」
「そうよね。そのくらいの男の子なんて、女の子の胸がどうだとかってすごく気になるはずよね。」
「もっともその後フィオが
『つまり、アルくんはペッタンコが好きなんです。
お母さん、ペッタンコに産んでくれてありがとう』
て言った時は泣きそうだったけどね。」
「「「ははははは」」」
エヴァのこの発言に3人は思わず笑ってします。
「本当にアルは大人なのよね。昔は村があんなだったし、私も病気だったから、アルには子供らしい事をさせてやれなかったわ。」
「こら、マリアさん。そんな顔しないの。アル君に叱られるわよ。」
「きっと『え!そんな事で悩んでるの、俺好き勝手やってるだけだから気にしなくていいのに。』
とか言うに決まってるわ。」
「そうね。でもモモカちゃんの前では普通の男の子みたいに笑ったり、怒ったり、ふざけたりするの。
それを見ていると何か嬉しくってね。」
「それじゃ、フィオには勝目がないかな。どう見ても妹扱いされているもの。
ああ、アル君にはお婿さんに来て欲しかったのに。」
「その時はフィオちゃんがお嫁さんに来るのよ。
アルを渡す気はないわよ。」
「あら、マリアさん。お嫁にやる分には構わないのね。言質取ったわよ。」
「アルにその気があればね。」
昔の事を思い出し、少し暗くなりかけたマリアをアンナ、カルラ、エヴァが元気づける。
そしてどさくさに紛れて、娘を嫁として押すエヴァである。
「そうそう、実はアルに頼まれた事があって、みんなにお願いしたいの。」
「何かしら?アル君が頼みごとって珍しいわね。」
列人は村において、ほとんど人に頼らず生きてきた。
野菜を貰うときもあくまでも物々交換だったし、何か頼むときは必ず対価を支払っている。
今回のように個人的なお願いと言うのは初めてはないだろうか。
「モモカちゃんの事なんだけど、あの子、実は貴族の娘さんらしいのよ。
ただ本人はお転婆さんで『将来はハンターになるんだ』っていってるそうなのよ。」
「そうなの?」
「ええ、ただそうなると問題なのが親御さんね。
モモカちゃんの親御さんはあまりモモカちゃん自身には興味がなくて、政略結婚の道具として考えてる様な人らしいのよ。」
「何それ、ひどい。私のうちの娘になればいいのに。」
「そうよ、あんなに可愛いくていい子なんだもの。」
「それで、貴族の関係者の方や騎士団が来てもあの子は元々うちの村にいる子と言うことにして欲しいのよ。
居場所がばれると連れ戻されるかも知れないからって。」
「わかったわ、あの子はうちの村の子よ。
そんなひどい親には絶対に渡さないわ。」
「そうですとも。他に協力出来る事があったらいってね。」
「モモカちゃんはみんなで守るわよ。」
マリアが言った百香の設定は、列人、百香、バクラが前もって決めていたもので、この設定を村に広める事もマリアは頼まれていた。
ちなみに自警団に行った際にヨーゼフ、ロバート、レベッカにも同じ事を頼んでいる。
マリアはこの時少し浮かれていた。
普段息子から頼りにされていないと思っていたので、この期に頼りになるお母さんアピールをしたいのである。
この事を列人に知られたら小一時間説教コース確定である。
この後の奥様方の行動は実に迅速で、噂は1日で村全体に広がり、百香防衛網は完成された。
この事を知った列人はあまりの早さと行動力に度肝を抜かれるのであった。
女性が本気を出すと本当に強いのである。
列人は前世で死んだ時既に22歳でした。
当然転生直後も22歳の精神の為、普通の子供の様に母親に甘えたりしません。
マリアはそれを少し寂しく思っています。




