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016_閑話_その頃公爵家では

説明回です。

列人の過去を少し垣間見る事ができればと思います。

016_閑話_その頃公爵家では


王都の中心部

王城近くの一際大きな屋敷の書斎で、二人の男が会話をしていた。


一人はこの屋敷の主にして、現宰相

フリードリヒ=フォン=ローゼスベルク公爵


もう一人はその息子にして、次期宰相候補

レオポルド=ローゼスベルク


つまりモニカの父と兄である。


「父上、先ほど修道院より報告が入ったのですが、モニカを乗せた馬車がまだ到着していないとの事です。」


「レオポルド、その話なら城にも届いておる。

全く居ても居なくても面倒を掛ける娘だ。

せっかく王家に根回しをして王子の婚約者にしたと言うのに。」


そう言ってため息をつく。

この家族には肉親への情というものが無いようだ。


「捜索はどうなさいますか?

城へ報告がいっていると言うことは騎士団も動くでしょうが。

こちらからも手配しますか?」


「いやいい、あれはもう我が公爵家の娘ではない。

それに恐らくは何者かに襲われたのだろう。

もう無事ではいまい。おそらく反第一王子派の連中だろう。

婚約破棄をした相手が移動中に襲われたとなれば、第一王子派にとっては痛手だろうしな。

あわよくば我が家と王家の間に亀裂を入れようとも考えたのだろうが。」


「では、襲撃者がいたと仮定してそちらを捜索いたします。」


「ああ、そのように手配してくれ。」


そう言ってレオポルドはフリードリヒの元をあとにし、それを確認したフリードリヒは一枚の資料に目を落とす。


「定時連絡から消息を絶った地点にもっとの近いと思われる村はコル村、探索任務の責任者はトーマス=ゼクス。

ふん、軍務大臣の所のドラ息子か。

大方簡単な任務で箔をつけようといったところか。

ゼクスめ、馬鹿な采配をしたものだ。

団長のヴィルヘルムにはきっと無断で決めたのだろう。」


フリードリヒはこの国の宰相を長年務めている為、独自の情報網により国内の危険地域及び危険人物にも明るい。

表の世界ではあまり知られていない情報であるが、宰相のブラックリストの中にはコル村とアルフレットの名前が入っていた。

フリードリヒはおもむろにひと束の資料を机の引き出しから取り出す。


『コル村及びハンター_レットに関する報告書』

コル村、人口およそ300人、それとは別に常時2~30人ほどの村の外から来たハンターが在住。

主な産業は農業と畜産業、ハンター達が収集してくるモンスター素材の売買。

村の規模に比べてモンスター素材の収益が異常に高いのが特徴。

村の近くには国有数の危険地帯、コルト大森林及びコルト山脈がある為、高価な素材も手に入るがその分危険も多い。

ハンターギルドのマスター_バクラは元Aランクのハンターであり現役時代『鉄壁』の二つ名で通っていた凄腕。

だが、この村でもっとも注意しないといけないことは『鉄壁』でもモンスターでもない。

ハンターチーム『エレメンタルズ』のレットである。

本名_アルフレット、呼び名_レット、現在のランクはB、8歳の時からハンターとして活動。

初の達成依頼は常設依頼のゴブリン退治、その数なんと200体。

その上、登録後すぐに当時コル村に居ついて悪事を働いていた暗殺ギルド『梟』を『鉄壁』と共に壊滅させる。

その後もコル村周辺の夥しい数のモンスターを討伐していき、当時のコル村の収益の大半はこの素材売買によるものであった。

レットの活動でもっとも大きな功績と言えるものは2年前に王都の盗賊ギルド『夜の帳』を単独で壊滅させた事。

ただしあまりの大きな事件である為、世間には知らされておらず、一種の都市伝説と化している。

何故これほどの功績を上げた者がBランクかと言えば、レット本人がAランク昇格に必要な試験を拒否している為である。

どうやらAランク以上の義務である、高ランク依頼に対する緊急招集が気に入らない模様。

ただこのレットというハンター、功績ばかりではなく問題も起こす。内容は騎士団員や貴族への暴行がほとんど。

その全てがコル村の住民に迷惑を掛けた為であった事から罪に問われた事はなかったが一部貴族から煙たがられている。

レットへの対処法はとにかくコル村に迷惑を掛けないこと、これに尽きる。


以上が報告書の大まかな内容である。

フリードリヒは報告書の内容を見ながら眉間に皺を寄せる。


(いつ見ても頭が痛くなる報告書だ。

8歳でゴブリン200体を倒した上に暗殺ギルド壊滅に加担しただと。

その上あの王都の犯罪者を牛耳っていた大盗賊ギルド『夜の帳』を単独で壊滅。

行動原理は全てコル村の為と来ている。こういう手合いは関わらないのが一番だ。)


フリードリヒがモニカ捜索に消極的な理由のひとつに列人とコル村の存在がある。

もう役に立たない娘を探すより、関わった事でこちらに被害を与えてくる恐れがある列人という存在を重くとったのである。

この辺の思考は如何にも貴族である。

百香もモニカの記憶を共有しており、フリードリヒの考えを理解している為、助けを求めようとは思わなかった。


(まあ、これでなにかあればゼクスの責任だ。

そう思うと少し気分も軽くなるというものだ。

せめてモニカがレットと関わっていない事を願おう。)


そこには書斎で1人ほくそ笑むフリードリヒの姿があった。

ネタバレ



これは列人が行なった無茶のごく一部です。

世間で知られていないところでもっと無茶をしています。



その内書ければいいと思っていますが、それは筆者の腕次第と自分にプレッシャーをかけながら頑張ってます。

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