表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

124/321

122_消えた赤色

イグニの街の東の森の調査開始です。

122_消えた赤色


列人達はイグニの街の東の森に到着した。

そこで早速全員が異常に気づく。


「静かだな。全く生き物の気配がしない。」


「それもあるけど、魔力の流れがおかしい。

これは人払いの術式だね。」


「人払いですって!この魔力、森全体を覆っているわよ。

こんな大規模な人払い、普通ありえないわ。」


「すまん。俺は魔法についてよく分からんから説明頼む。」


ギルバート、ジーニアス、ミランダが森の魔力の異常に驚いている中、列人だけが状況が分からない為、説明を促す。

この中で魔法が使えないのは列人だけだ。

森に異常があるのは分かるが、その原因である魔法にイマイチピンと来ないのである。

質問に対してジーニアスが返事をする。


「今、森に貼られている人払いの術式だけど普通は部屋一個分くらいの大きさなんだ。

人払いを森全体にするなんて異常だし、術者の魔力の高さも尋常じゃない。

この先に待ち受けている相手は相当に強いと言う事が推測できるんだよ。」


「うむ、なるほどな。俺が気になったのは霊力の流れが所々おかしい事だな。

亜美ちゃんはどう思う。」


「・・・・・おかしいよ、ここ。」


皆が森の異常に対して警戒を強める中、一番その異常に気づいているのは亜美だった。

顔色を青くし、明らかに憔悴している様子だ。


「この森、魔力の流れも霊力の流れも滅茶苦茶だよ。

こんなに滅茶苦茶なのって廃墟か戦場くらいだよ。

これって怪人以上の化物がいないとまず発生しないよ。」


「アミ、怪人と言うとあの四天王_ツァオガウと同等以上って事かい?」


「・・・・うん。」


「皆、怪人が現れたら絶対に手を出すな。俺が仕留める。

特に亜美ちゃんとミラは絶対に俺に近づくな。」


「それってどういう意味よ!女だからって侮ってるの!」


列人の発言にミランダが思わず声を荒らげて抗議する。

どうやら女性である事で差別されたと思ったらしい。


「そうか、ミラ達には説明してなかったな。

俺の精霊『火之迦具土神』の炎には女性殺しの特性があるんだ。

俺の本気の炎に触れた場合、普通の女性はほぼ確実に死ぬ。

俺は前の世界で俺より遥かに格上の女性ヒーローを病院送りにした事があるんだ。

それも乱戦時に少し巻き込んだだけでだ。」


「「「「・・・・・」」」」


列人から告げられる衝撃の事実に皆、愕然とする。

列人の炎は敵味方問わず女性であれば確実に焼き殺す危険なものだと告げられたからだ。

もし列人が炎を使っている時に不注意で近づけば自分の命が危ういだけでなく、列人に一生ものの傷を残す事になる。

実際、列人は訓練時も細心の注意を払って絶対に炎が他人に触れないようにしていた。

これは百香との演習の時やバクラに『炎槍』を放った時もだ。

驚きの表情で固まる4人に対して列人が努めて明るい口調で話を続ける。


「でもまあ、魔法に関しては俺はからっきしだからそこはみんなが頼りだ。

敵を見つけるのは任せるわ。ただし見つけたら俺が始末するけどな。」


「・・・じゃあ、索敵は任せてくれ。ここは『学園』一の魔法師である僕の出番だね。」


「何言ってんのよ。魔法での索敵は補助魔法師の私の領分でしょう。」


「じゃあ、私は2人の護衛だな。私が守るから安心して索敵に集中するといい。」


「うわぁ、王子様の護衛とか贅沢だね。ジーニー、ミラ、頑張ってね。」


「何を言ってるんだ。アミ、君も護衛だ。頼りにしているよ。」


「もう!分かってるってば。ギルは本当に真面目なんだから。」


列人の声を受け、全員がそれぞれの役割を全うすべく行動を開始する。

そんな中、列人は亜美に他の者には聞こえない声で耳打ちする。


「亜美ちゃん、俺にもしもの事があったら君がこのチームのリーダーだ。

その時は自分達の命を最優先に考えて欲しい。

俺と亜美ちゃんの命を天秤にかけないといけない時は迷わずに亜美ちゃんの命を優先してくれ。

それで俺が死ぬ事になってもだ。」


「え!お兄さん何言ってるの。縁起でもない。」


列人の言葉に亜美は声が震えるのを感じた。

無敵の『エレメンタルレッド』が負けるわけがない。

なのにそんな、まるで遺言のような事を口にする。

だが列人の目は完全に本気だ。自分が死ぬ可能性をしっかり考慮している。


「亜美ちゃん、君もヒーローだったのなら分かるだろう。

俺達はいつ死んでもおかしくないんだ。」


列人の言うことは正しい。ヒーローは何時如何なる時でも死と隣り合わせだ。

亜美は前世でヒーローを引退して久しく、今世でも比較的危険の少ない人生を過ごしてきた。

だが、列人は前世では任務中に殉職し、今世でも危険の多い場所で生きてきた。

その為、生き死にの考え方に大きな開きが生まれたのだ。

亜美はその事に思い至り、列人に聞き返す。


「じゃあ、私と列人お兄さんの命を天秤に掛ける時、お兄さんは自分の命を優先してくれるの?」


「・・・・この話は終わりだ。索敵に集中しよう。」


「・・・・・」


この人は本当に勝手だ。他人の命ばかり気にして自分の命をなんとも思ってない。

こっちの気持ちを知っていてそれを無視する。

だからこそ私達がこの人を守ってあげないといけない。

この人は何かの拍子で簡単に死ぬ人だから。

亜美が少し考え事をしていると、索敵をしていたジーニアスからの声が届く。


「皆、前500mくらいの場所に魔力の乱れの中心を発見したよ。

もう少し近づいてみよう。」


「待て、ジーニー。俺が先に様子を見てくる。

皆は俺の少し後方を進んでくれ。絶対に俺が歩いた場所以外は歩くなよ。」


そう言って列人が先行して進む事200m

魔力の乱れの中心を目視できるようになった。

そこにはローブを着た男が1人立っており、地面には魔法陣らしき円形の文様が描かれていた。


「ミランダ嬢、あの地面にある円の正体がわかるか。」


「今調べるわ。『ディテクトトラップ』」


「おい、不用意に魔法を使うな!!」


ドンッ!

ピカッ!!


ギルバートの疑問に答える為にミランダが探索魔法を使用した。

列人はそれに危機感を感じ制止しようとしたが間に合わず、地面の円から眩い光が放たれ、ミランダを覆い尽くそうとしている。

咄嗟に列人はミランダを突き飛ばし、変わりに自分が光に包まれてしまう。

しばらくして光が収まった時、全員が愕然とする。


「・・・嘘、列人お兄さん。」


「・・・・レット、どこなの?」


そこには本来いるはずの列人の姿は存在しなかった。

さて、忽然と姿を消した列人の行方は如何に。

そして取り残された亜美達は。

次回に続く。



補足

列人の『火之迦具土神』の女性殺しの力はかなり絶大です。

プロローグの顔なしの化物とこの力無しで戦った場合、列人どころかエレメンタルズ全員で戦っても全く歯が立ちません。

この力のおかげで全員死ぬ所を3人生き残る事ができたと考える事もできます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ