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121_領主のグルメレポートを頼りに

依頼解決に向けて準備開始です。

今回物語が大きく動きます。

でもサブタイが・・・・・

121_領主のグルメレポートを頼りに


「ふふふん、ふんふん~~~」


「ご機嫌だね。列人お兄さん。」


クルツとの会談が終わったあと、列人達はハンターギルドで素早く狩りの成果を換金し、街の食堂街へとやって来た。

列人は今、クルツから掠め取ったグルメレポートを片手に鼻歌交じりでイグニの街の食堂を物色していた。

このイグニの街は国一番の食料生産地であると同時に国一番のグルメの街なのである。

これはクルツが行っている政策の一環で、豊富な食料を使ってレベルの高い飲食店を誘致することで街を活性化させようというものだ。

その為、ここには国中の美食家達が集まると同時に、数多くの料理人がここで人気店を出す事を目標としている。

そんな猛者達が日々凌ぎを削っている為、ここの料理は基本的にどの店も美味い。

その上、今回はクルツのグルメレポートがある。これはもはや勝ったも同然である。

だがここで問題が発生する。何処の店に入るかだ。

ここには王侯貴族が3人もいる。平民のようにみんなそれぞれ好きなところに行くと言った事ができない。

みんなで一つの店に入らなければいけない。

こいつらの好みはバラバラだ。これは戦争不可避である。


「どの店にするかな。俺は伝説のカツ丼を食いたい。」


「いや、それも悪くないが僕はこのスペシャルサンドイッチに心を惹かれる。」


「ダメだよ。ここは絶品刺身盛と魚介のフルコース一択だよ。」


「何を言っているのかしら。この極上ヘルシー野菜と果物のゴージャスセットしかありえないわ。」


「・・・・・・」


4人が火花を散らす中、ギルバートは一人グルメレポートを見ながらどこにするか未だ思案中である。

そんなギルバートに残りの4人が詰め寄る。


「これじゃ、埓があかない。ここはひとつギルに選んでもらおう。

伝説のカツ丼だよな。」


「スペシャルサンドイッチだよね。」


「絶品刺身盛と魚介のフルコースだよ。」


「極上ヘルシー野菜と果物のゴージャスセットよ。」


「・・・・これがいい。」


ギルバートはグルメレポートのある一点を指差す。


「えっと、『おにぎり専門店_極米』だと!」


「ギルバート、君は何故それを選んだんだい。渋すぎるよ。」


「私好みではあるけど、方向性が少し・・・」


「今からでも遅くないわよ、変更を。」


「いや、これがいい。それに私に選んでいいと言ったのは君達だぞ。」


「・・・・そうだな。ここはギルの希望の店にしよう。」


そして目的の店に着いた彼らの反応は、


「・・・嘘だろ、なんだこの異常なまでのおにぎりの種類は。」


「正気か。肉、野菜、魚、果てはスイーツまで、しかもどれとしてハズレがない。」


「なんだろう、この海鮮おにぎり。

魚介の旨みがたっぷり詰まっているのにお米がそれを全て受け止めてさらに一段階上の味を演出しているよ。」


「この野菜おにぎり。

野菜の旨み、シャキシャキ感が失われずそれとご飯のフンワリ感が一体になっているわ。」


「君達、確かに具材が入ったおにぎりもいいがここの真骨頂は塩むすびだぞ。

米と塩のバランスと旨みがおにぎりを至高の領域にまで引き上げている。」


「どれどれ、・・・・そんな馬鹿な、美味い、美味すぎる。これがおにぎりだというのか。」


「ギルバート、確かにここはすごい店だ。でもどうしてここにしようと思ったんだい?」


「レポートをよく見てみろ。この店はどんな好みにでも対応できるオールラウンドな店なんだ。

これだけ人間がいれば好みも分かれるだろう。ならば全てにおいて高水準のものを選ぶのが最適解だ。」


「そういうことか!クソ!自分の好みばかり押し付けようとしていた今までの自分が恥ずかしい。」


「全てを見据えて最善の道を選ぶ。これが王族の力だというの!」


「すごいよ!これは正にキングの力だよ!」


「さあ、みんなでキングを称えよう。それ。」


「「「「キング!キング!キング!」」」」


「他のお客様の迷惑になる。店内では騒がない。」


「「「「はい、すみません。」」」」


この『おにぎり専門店_極米』はグルメの街イグニにおいてもトップに君臨する超人気店である。

それはみんなが少しおかしなテンションになるくらいに美味いのである。

あの常識人ミランダすらここのおにぎりの味力には抗えなかった。

とてもじゃないけど自分の好物のおにぎりを選びましたとは言えないギルバートである。



お腹も満たされたところで次は情報収集である。

被害にあった家畜の所有者への聞き込みを行った。

被害者達の証言は以下の通りである。

・犯行時刻は全て深夜。

・だいたいの被害者は家畜の悲鳴と家畜を喰らう咀嚼音で被害に気づく。

・このことから犯行は獣もしくはモンスターと推測されるが、歯型から獣にしては大きすぎる為、大型のモンスターが犯人と思われる。

・犯行現場に駆けつけた被害者から大型のモンスターの目撃情報はなく代わりにローブを着た人物が逃走する姿が目撃されている。

・ローブの人物と事件の因果関係については不明。

・ローブの人物は必ず街の東の森の方向に逃げる。


聞き込みを終えた後、一旦情報を整理する為、列人が話を切り出す。


「以上が犯行現場に関する情報だが何か気づいた点はあるか。」


「まず、一番に気になるのはローブの人物だよね。全ての現場で目撃されているらしい事からまず何らかの関係はあるだろうね。」


「犯行が深夜というのも気になるな。単に犯人が夜行性なのか、犯行を目撃されるのを恐れてなのか。」


「でも目撃を恐れているなら、なんで悲鳴や咀嚼音を隠そうとしないのかな。」


「そうね。人間がやったならまず家畜を殺して運ぶ方が自然だわ。」


「その辺りはなんとも言えないな。だが逃走先の東の森は調べる必要がありそうだな。」


「そろそろクルツ男爵が資料を準備し終えている頃だろう。

そちらの情報と合わせてから今後の方針を決めよう。」


「そうだな。ひとまずクルツの所に行くか。」


5人は情報を得るべく、一度クルツの屋敷に向かうことにした。


「資料はそれで全部だ。持ち出しは禁止だからここで頭に入れてくれ。」


そういってクルツが資料を列人に渡してきた。

列人達は資料を確認しながらそれぞれに意見を口にする。


「被害者の証言とほぼ一致だな。」


「そうだね。ただ被害にあった場所が街の東側の結界の端に集中しているね。」


「やはり東の森が怪しいか。」


「じゃあ、取り敢えずは東の森を調べるか。」


調査の方針が決まった所で列人はひとつ気になっていた事をクルツに尋ねる。


「クルツ、そういえばエリーお嬢様はどうしたんだ。」


「は!エリーとは誰のことだ?」


「何言ってるんだ。俺達と一緒にいただろう。エリー=アンスバッハ。」


どうもクルツの態度がおかしい。

列人の発言に対して、ひどく困惑しているようだ。


「お前こそ何を言っているんだ。アンスバッハ家には娘は一人しかいないぞ。

俺は面識はないが彼女はナタル=アンスバッハではないのか?」


「お前!本当に何言ってるんだ。じゃあなんで面識がないのに彼女がアンスバッハだと思ったんだ。

誰も彼女がアンスバッハだと紹介してないぞ。」


列人がクルツの行動の矛盾点について指摘する。

クルツはこの時初めて自分の行動に矛盾があったことに気づき、ひどく狼狽する。


「・・・言われて見れば、何故俺は彼女をアンスバッハだと認識したんだ?」


「・・・・これはおかしいぞ。クルツ、彼女がどこに向かったかわかるか。」


「今、見送りをした者に確認する。」


そう言ってクルツが席を立つ。

そこで列人は王侯貴族3人に向けて質問を投げかける。


「なあ、お前達。本当にアンスバッハ家にはナタル以外の娘はいないのか。」


「確かにいないな。でも不思議と私は彼女をアンスバッハだと疑わなかった。」


「そうね、私も彼女がエリー=アンスバッハだと疑わなかったわ。」


「僕もだよ。これは明らかに異常だ。」


全員が困惑する中、青い顔をしながら亜美が一言疑問を口にする。


「ねえ、みんな、エリーさんの顔思い出せる?」


「・・・・どんな顔だったっけ、思い出せないな。」


「言われてみれば、目の色とか口の形とか全く思い出せないわ。」


「私もだ。肌の質感は綺麗だったがそれ以外は何も思い出せない。」


「元々顔がなかったんじゃないかな。」


「「「「!!!!!」」」」


亜美の発言に皆、驚愕の表情を浮かべる。

顔がない女性、これが指し示すところはひとつ


「・・・なかった。彼女に顔はなかった。」


「おかしいでしょう。なんでそんな異常を私達は平然と受け入れていたの。」


「じゃあ、ミラの記憶では彼女はどんな顔だったのかい?僕の記憶でも顔がないよ。」


「なかったわよ。だからおかしいって言ってるのよ。」


「・・・・魔王『無貌の女神』」


「「「「!!!!!」」」」


「これはまずい事になったな。すぐにエリーを見つけないとなにが起こるかわからんぞ。」


あまりの異常事態に皆が困惑する中、列人の口から出た言葉が皆に追い打ちをかける。

そこへクルツが戻ってきた。


「おい!レット。先ほどのアンスバッハ令嬢だが、どうやら東の森に行ったらしい。

しかも一人でだ。

うちのメイド長が止めようとしたのだが、すぐに見失ってしまったそうだ。」


「はぁ!見失ったって、ここのすぐ外って見失うような遮蔽物はなかったよな。」


「そうなんだ。瞬きした瞬間にもういなくなっていたそうだ。」


「・・・・マジかよ。」


全員が困惑する中、列人は今後の方針を考える。

そこに亜美が列人に提案する。


「ねえ、列人お兄さん。今って凄く危険だと思うの。

ギル達を逃がした方がいいと思うんだけど。」


「おい!アミ。私達だって君達ほどじゃないけど戦えるのだぞ。」


「そうよ。ギルの言う通りよ。決して足手纏いにはならないわ。」


「・・・・」


亜美の提案にギルバートとミランダが憤慨しながら異議を唱える。

それに対してジーニアスは考え込みやがて口を開く。


「いや、アミの言う事に僕は賛成だ。

はっきり言うけど僕達は足手纏いだ。」


「「!!」」


「もしエリーの正体が魔王とするならそれは先日モカ達と戦った四天王以上の化物ということだ。

僕も四天王と対峙したがはっきり言って次元が違った。

あれから少しは強くなったけど、正直あの四天王の相手ですら不足だ。

この中で魔王とまともに戦える可能性があるのはエレメンタルズの2人だけだよ。」


「くっ」


「・・・ジーニーが言うのだったらその通りなんでしょうね。」


ジーニアスの言葉にギルバートとミランダが悔しそうに俯く。

そこでようやく列人が口を開く。


「まあ待て、今回おそらく魔王は手出ししてこない。

いや、正確には『俺がいる所では』だがな。」


「何故、そう言える。」


「俺は敵さんにとっては一番の危険人物なんだ。

おそらく魔王の目的は敵情視察だ。

その証拠に『エリー=アンスバッハ』なんて居もしない人物に成りすましている。

魔王が直接俺達を始末する気なら、初めてあった森でやるのが最も効率的だったがそれをされていない。

つまり、今は実力で訴える気がない、もしくはそうできない事情があるんだ。

おそらく魔族が言っていた力が完全ではない事に関連しているんだろう。

以上を踏まえた上で今後の方針を話すからよく聞いて欲しい。」


ここで列人は1拍呼吸をいれて全員の注目を集め、再び話始める。


「現状最も恐れないといけない事は俺と残りの皆が分断される事だ。

魔王の復活の為に王家の嘆きを集める、つまりギルとその関係者を害する事が考えられる。

その上、亜美ちゃんは最重要のターゲットの一人『癒しの聖女』だ。

つまり俺が居なくなれば、すぐ襲われてもおかしくない立場にあるんだ。

だから俺と他の皆が一緒に行動する、これが大前提だ。

その上でこの街の家畜被害とエリーの関連性についても調べる。

エリーの目的を知る事は必須だ。」


「つまり、どうするの?」


「引き続きイグニの街の調査だな。

ただし必ず全員一緒に行動する事。」


「うむ、結局やる事は変わらないということだな。」


「そういう事だ。取り敢えず夜になる前に東の森を調査するぞ。

これはある意味チャンスだ。ようやく魔王の尻尾が掴めるかも知れないんだからな。」


列人の前向きな号令と共に彼らは再び行動を開始する。

魔王を倒し日常を守る為に。

なんと助けた『エリー=アンスバッハ』に魔王疑惑。

果たしてエリーは本当に魔王なのか。

そしてエリーの目的とは。

乞うご期待。

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