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011_レッツ就活

毎日一話ずつ投稿できればと思ってます。

011_レッツ就活


その後、数件のご近所さんへの挨拶を済ませ、村にいくつかある商店を案内した。

どこへ行ってもスコット・アンナ夫妻と同様の誤解をする為、その弁解に時間が掛かったせいでもう昼過ぎになってしまった。


家に帰っている時間もない為、二人はハンターギルドに向かい、そこの食堂で食事をする事にした。

そこでついでに百香のハンター登録もする事にした。これは列人の職場を見たいと言う百香の希望によるものである。


コル村のハンターギルドは村の緊急避難場所も兼ねている為、村の中央部にあり、村で一番大きく頑丈な作りになっている。

とはいっても所詮は田舎なので二階建ての大きな家ぐらいなのであるが。

ちなみに一階が食堂兼受付となっており依頼は主にそこで受ける。

二階部分は会議室、事務所、資料室、ギルドマスターの部屋等、内部処理をする場所となっている。


列人達は食堂で食事を済ませ、受付に向かう。

昼時はハンターは仕事で出払っている事が多いので、そこまで混んでいない。


列人は近場の受付に声を掛けると受付嬢の一人が列人の対応をした。

茶色の目、眼鏡を掛けており、肩までないくらいの短めの栗色の髪、どことなく愛嬌のある少女が笑顔で列人に挨拶する。


「こんにちは、レットさん。今日はどういったご要件ですか?」


「おう、フィオ。今日は俺の後ろにいるこいつの登録に来た。」


「初めまして、フィオさん?

百香と申します。よろしくお願いします。」


「初めまして、モモカさん。

レットさんがおっしゃっていた通り、ハンター登録で間違いないですか?」


百香の自己紹介に受付嬢のフィオは笑顔で応じ、要件を確認する。


「はい、お願いします。」


「では、所定の用紙に必要事項をお願いしたいのですが、代筆は必要ですか?」


「いえ、字の方は問題ないです。」


百香は元々日本人であるが、転生先のモニカが読み書きや言語を習得しており、その記憶を共有している為、言葉の壁については問題ない。


「かしこまりました。わからない箇所がございましたら遠慮なくお聞きください。」


「ありがとうございます。ところで登録料とかっていくらですか?

今持ち合わせがなくって。無理なら今回は諦めるしかないんですが。」


「その件については大丈夫です。

ハンターになろうとする人なんてお金を持ってない人達ばっかりですから。

次回以降の報酬から天引きする形にできますので。

ただ、あなたの場合はレットさんの紹介ですので、払ってもらう必要はありません。

払いはレットさん持ちです。」


「え!そんなのまずいですよ。列人、自分で払うから、例え仲間でもお金の事はきちんとしないと!」


フィオの言葉に百香が慌てて是正を求める。百香はお金の事はきっちりしたい人間なのだ。

そんな百香に対してフィオが、


「いつもの事なんです。

エレメンタルズのメンバー候補だから先行投資だ、とか言って食い詰めた人の面倒見て、ハンターのいろはを教え込んだりするんです。

今回もきっとそういう事なんです!

決してあなたが可愛いからって声をかけたんじゃないんです。そうですよね、アルくん!」


と、説明する。なぜか後半部分の語気がやけに強い気がする。

それに対して列人が口を開く。


「すまん、フィオ。後半の言ってる意味がわからないんだが。

まあ、確かに百香にはエレメンタルズに入ってもらうつもりだぞ。

入隊試験はほぼ間違いなく通るだろうしな。あと仕事中は列人だ。」


「え!あの悪夢のエレメンタルズ入隊試験をやるんですか?

いや、やっぱり可愛いから試験はパスですか?

アルくん、私と言うものがいながら浮気ですか?」


「おい、フィオ。本格的に仕事モード剥がれてるぞ。

それからお前と俺がいつからそんな関係になった。

まあ、金は俺が出す予定だ、どうせ余ってるしな。

いいから、登録してくれ。百香も用紙を記入したみたいだし。」


異常にヒートアップするフィオを窘めながら列人は登録手続きを進めるよう促し、百香がフィオに登録用紙を渡す。

フィオは用紙を受け取ると仕事モードに戻り、記入内容を確認していく。


「ありがとうございます。

ええと、モモカ=トウリさん。

戦闘技術は植物系統の魔法及び棒術に特技は薬草学にサバイバル技術、結構多才ですね。

ハンターなんてしなくても食べていけそうだと思うんですが、まあ事情は人それぞれですしね。

その辺は詮索しないのがハンターのルールです。」


登録内容については予め列人と一緒に決めていたものである。

列人は新人ハンターの付き添いで何度もこの用紙の記入を手伝っているので、ギルド職員の次に用紙作成には慣れている。

ちなみに薬草知識についてはヒーローのサバイバル実習で一緒に叩き込まれる。

この世界は地球と植生がほぼ一緒の為、十分役に立つのである。


「特に問題ないようですね。

これからの指導はレットさんがやってくれると思いますが、カードができるまで時間もありますし、何か質問はございますか?」


ギルドでは身分証明書として独自のカードを発行しており、

これは魔法的な処理により様々な情報を取り扱う事ができる代物である。

カードができる間しばらく時間がかかる。

その間に登録者の疑問に答えるのもギルド職員の仕事である。


「ありがとうございます。

では先ほどのやり取りで列人とフィオさんが親しい間柄と言うのはなんとなくわかったのですが、具体的にはどのような関係ですか?」


百香からまさかの個人的な疑問が飛んできた。

百香は礼儀正しい言葉の中にどこか列人をからかう感じでフィオに質問する。


「そんな親しいだなんて。アルくんと私は幼馴染で、子供の頃から将来を誓い合った関係なんです。」


「おい、フィオ。後半部分は虚偽の証言だぞ。裁判所に訴えるぞ。」


「もう、アルくんのいけず~。」


「はぁ、それからさっきも言ったが仕事モードに戻れ。ここでは俺は列人だ。」


「あ、いけない。ごめんなさい、レットさん。」


体をくねらせながら虚偽の証言をするフィオに対して、列人はため息をつきながらツッコミを入れる。


「まぁ、俺とフィオは幼馴染だな。」


「なるほどね。あなたがぼっちじゃなくて安心したわ。」


百香のこの発言に列人は僅かに怪訝な表情をする。


「なんでそんな疑惑が生まれるんだ。」


「だってあなたの過去ってかなりヤクザじゃない。」


「あのな。俺はこれでも村ではそれなりに信用あるんだぞ。」


そんな馬鹿話をしている間に百香のカードができ、無事にハンターの仲間入りを果たすのだった。

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