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116_研究バカのコル村探索

日常回です。

今回はジーニアスとフィオと言う少し珍しい組み合わせです。

116_研究バカのコル村探索


「さて、今日は久しぶりに村を見てまわろうかな。

作戦とか訓練とかでしばらくお預けになっていたからね。」


「ところでジーニーさん。なんで村の案内を私に依頼したんですか?

私はアルくん一筋だから、こういうのは困ります。」


「大丈夫だよ。そういう意図は無いから。

知り合いで村に詳しい人にお願いしたかっただけだから。

僕だってレットに殺されたくないよ。」


この日は列人がギルバートに村の案内と訓練をする為、エレメンタルズは休みである。

そこでジーニアスは前日からハンターギルドにある依頼を出していた。

依頼内容は以下の通りである。


・依頼人:ジーニアス=ウォルト

・依頼内容:コル村の案内、他の村と比べて珍しいものを見たい

・依頼形式:指名依頼

・指名相手:コル村ギルド職員_フィオ

・指名理由:村の情勢に詳しく依頼人と面識がある為

・報酬:1000万クレト


実はあまり知られていないが、指名依頼はハンターだけではなくギルド職員に対しても行う事ができる。

(ただしこちらに関しては内容によっては断られる事もある。)

今回、ジーニアスがわざわざギルドを通してフィオに依頼をしたかと言うと指名理由に書かれている村に詳しい知り合いという他に、列人関連の珍しいエピソードや列人が行った無茶の痕跡を知りたかった為である。

コル村でフィオほど列人に詳しい者はおらず、コル村の珍しいものは全て列人関連だと言っても過言ではないからだ。

ただしプライベートでお願いすると終始列人の惚気話になってしまう可能性が極めて高いため、ギルド職員の仮面を被ってもらう事にした。

報酬については適当である。(普通は1~2万クレトもあれば高い方である。)

どうやら列人のせいでエレメンタルズ関係者の金銭感覚はおかしな事になっているようだ。

ちなみに現在のジーニアスの預金残高は1億クレトである。これは以前行った土木工事のバイト代である。

あと、これは余談だがフィオの預金残高は現在3億クレトになっている。

フィオは土木工事時に図面引きや現場監督をしており、列人は技術料として皆より多めの2億クレトを支払っている。

その上、エレメンタルズの情報担当としての年間契約金1億クレトが支払われており、コル村の一般人の中では一番の高給取りとなっている。

これは列人がヒーローをしていた日本ヒーロー連合の事務局員の報酬に照らし合せて支払われているものである。


では説明も済んだ所で本題である。

ジーニアスはフィオに面白そうな場所のピックアップをお願いする事にした。


「では、オフィーリア。早速だけどコル村の面白スポットの案内をお願いしてもいいかな。

主にレット関連で。」


「ジーニーさん。まだそれ覚えていたんですか。皆、とうの昔に忘れているかと思ってました。」


「当然だよ。僕らの呼び名が決まった日に出てきた名前だからね。

そういうわけで今日の君はコードネーム:オフィーリアだ。」


「コードネームですか!!かっこいいです!」


「では、僕の事は隊長と呼ぶように。

これよりコル村面白スポット探検隊の調査を開始する。

オフィーリア隊員、案内を頼む。」


「はい!わかりました。ジーニー隊長。」


この二人結構ノリノリである。

どうやらジーニアスは大抵の人間と仲良くなる才能があるようだ。

研究バカで今まで使ってこなかっただけである。

最も一部トーマスのように相性が悪い人間もいるが。


まずフィオが向かった先はハンターギルドの入口である。


「まず最初のコル村の探索ポイントはこのギルドの扉です。」


「え!この扉かい?一見普通だけど?」


ジーニアスは困惑していた。それはそうだ。珍しいものの紹介をお願いしていきなり見せられたのがただの扉なのだから。

だがここでフィオがすかさず説明をする。


「いいですか、隊長。一見普通に見えますがこの扉、軽量魔法合金製です。」


「ええ!!ギルドの扉だよね、なんでそんなもの使っているの。

このギルドってどこかと戦争しているの?」


「以前、アルくんが扉の立て付けが悪いからと言って取り替えました。

しかも皆に気づかれないように深夜に。」


「彼は一体何がしたいんだろうね。しかもミスリルと軽金(アルミ)を主成分にした強度第一級の合金じゃないか。

これで鎧を作ったら1000万は下らないよ。なんでこんな馬鹿な使い方するんだよ。

しかも接合部が取れないように炎の術でガッツリ溶接している。

これ溶かすのにどれだけの熱量がいると思っているんだよ。」


「ジャブとしてはこんなものだと思いますがお気に召しましたか?隊長。」


「オフィーリア隊員、これでジャブなのかい。これは面白くなりそうだね。」


次に訪れたのはフィオの家の離れ

最近列人がある理由で勝手に増築したものである。


「次はこちらです。」


「何、これ。どこかの国に情報戦争でも仕掛けるの?」


そこにあったものは超大型の魔術情報端末である。

これはフィオがエレメンタルズの情報担当になった時に専用機として列人が買った物である。

本体の最新式魔術端末が1億クレトだったのに加え、凝り性の列人が本体の中身を改造したり、周辺機器をドンドン増設した結果、超大型の超高性能、総額10億クレトのモンスターマシーンになったのである。


「これって凄いんですよ。国中の情報をあっと言う間に検索できますし、誰かが置いていった『イタズラ』にも全然引っかからないですし、おかげでアルくん達が獲ってきた素材の販売先とかあっという間に見つかりますし、連絡先だってすぐにわかります。

ジーニー隊長の情報もこんな感じで「わああ~~~!!僕の個人情報がダダ漏れになってるよ。」」


「ちなみに今のは隊長の情報を『学園』の端末から引っ張ってきました。」


「オフィーリア隊員。サラッと恐ろしいことしないでくれる!!」


ジーニアスはサラッとフィオの犯罪行為を見せつけられて驚愕していた。

フィオ相手にプライバシーもへったくれもあったものじゃない。

エレメンタルズを敵に回したら絶対に逃げられず確実に狩られる。

そんな言い知れない恐怖を感じたと同時に味方で心強いとも思った。


「さあ、次行きましょう。」


「そうだね。今度はもう少し心臓に優しいやつで頼むよ。」


次にやって来たのは村の中央にある広場の納屋

そこには一台の厳つい魔道具が鎮座していた。


「これって、結界装置だよね。」


「はい、そうです。」


「普通と違うんだけど、もしかしてレットが。」


「はい、アルくんが改造しています。」


列人曰く魔道具は電気回路にそっくりなのだそうだ。

回路の法則さえわかれば自分好みに改造する事も容易なのだとか。

勿論列人が電気回路について詳しいのは22世紀の馬鹿げた教育水準の賜物である。

その結果、この結界装置は村全体を満遍なくカバーし、低燃費、高出力を実現。

これは列人達が預かり知らないことだがこの結界内に魔族四天王が入ると大幅に戦力が低下し、『魔人化』ができない状態になる。

『魔人化』つまり怪人にならなければ四天王など列人達の相手にならない。

コル村は列人達にとって完全な安全地帯なのである。


「しかし恐ろしい腕前だな。これって多分ゴブリンの魔石1個で一日持つよね。

つまり1日たったの1000クレトで村全体の安全を確保できるわけだ。」


「はい、そこに目を付けるとは流石隊長です。

他の街だと一日に100個はないととてもじゃないけど持ちません。

アルくん曰くランニングコストは極力押さえるべきなのだそうです。」


「技術者にありがちな性能ばかり追い求めてコストを考えない輩とは違うね。

僕もレットが暇な時に色々教えてもらおうかな。」


「流石は私の旦那様です。」


ジーニアスが列人を褒めるのに対して、何故か得意気なフィオ。

すっかり女房面が板についている。

二人で列人の事を褒めながら次の目的地に向かう。


次にやってきたのはエレメンタルズの秘密基地にあるグレートサイクロン号の格納庫である。

この基地自体がエレベータだのオーバーテクノロジーの宝庫なのだがその事はジーニアスも知っている。

当然見るのはグレートサイクロン号である。


「ええっと、オフィーリア隊員。このグレートサイクロン号、前と様子が違ってない?」


「はい、先日アルくんが改造しました。」


前のグレートサイクロン号は本当にただの巨大な大八車だったが今回のグレートサイクロン号は席の一つに色々ついている。

具体的にはハンドルとアクセル、ブレーキペダル、ギア、サイドブレーキ、つまり運転席になっている。

その上、車体の両横側には今までなかった筒状の物体が付いている。


「では、早速グレートサイクロン号を外に出します。」


「え!ちょっと待って。ここにはレットもバクラさんもいないよ。どうやって出すんだい?」


「私が出します。ジーニー隊長も乗ってください。」


そう言ってフィオが運転席に乗り込む。

ジーニアスがフィオの言う通り座席に着くとフィオがポケットから魔石を取り出す。

大きさからいってワイバーンのものだろう。

それをハンドルの下にあるくぼみにセットする。

するとグレートサイクロン号の座席が光りだす。そして!


「では、発進します。シートベルトをしっかり締めてください。」


ブルルルルゥゥ~~


「うわ!本当に動き出した。」


「このまま、エレベータに向かいます。」


フィオがそう言うとグレートサイクロン号はゆっくりとエレベータに向かって走り出した。

エレベータに着くとフィオは一旦グレートサイクロン号の動力を切り、エレベータを起動、秘密基地の外に出る。


「・・・これって絶対やばい奴だよね!!」


そう、この世界の技術力は中世程度、まだ馬車が普通に走っている時代なのだ。

その時代に自走する車など、産業革命どころの騒ぎではない。

研究バカのジーニアスですら諸手を挙げて喜べる状態ではない。

こんな物が世に出たら世界のパワーバランスが崩壊する。

ジーニアスの冷汗は止まらなかった。


「まだまだですよ。ここからが本番です。」


「え!まだ何かあるの?」


そう言ってフィオがグレートサイクロン号を少し広い誰もいない場所まで移動させる。

ここでフィオは先程までセットしていたワイバーンの魔石を取り替える。


「ではジーニー隊長、前方にある木に注目してください。」


「木、と言うとあれでいいのかな。」


「はい、そうです。ではいきます。」


ズド~ン!!ズド~ン!!


「えええええええ~~~~!!!!!」


フィオが合図したと同時に先ほど指し示した木の幹が10センチほど抉れ窪みができる。

グレートサイクロン号の両横側に付いた筒から圧縮された空気が放たれ木を抉ったのである。

これにはジーニアスも絶叫する。

列人は一体誰と戦争をする気なのだろう。よくよく考えると今まで見た物が全て物騒に感じる。

そこでまたしてもフィオがワイバーンの魔石を取り替える。


「では、ジーニー隊長。一旦格納庫に戻りますね。」


「ああ、オフィーリア隊員、頼むよ。」


あまりの出来事に半ば呆けながらフィオに言われるままに格納庫に戻るのを待つジーニアス。

そして格納庫に戻ってきたジーニアスは思いの丈を絶叫する。


「レットのバカ!!!なんて物作ってんだよ!!!こんなの世に出たら戦争が起こるよ!!」


「落ち着いてください。ジーニー隊長。アルくんが言うにはこれって失敗作なんです。」


「え!」


取り乱すジーニアスをフィオがなんとか宥めようと意外な事を口にする。

それにジーニアスは驚く。こんな化物マシーンが失敗作というのが意味がわからないからである。


「先ほどの結界に通じる話なんですが、グレートサイクロン号を自走させるのってもの凄くコストが掛かるんです。

実は今さっきの動作だけでワイバーンの魔石が3個も使い潰されたんですよ。

とてもじゃないですけど、普通に運用できる燃費ではないです。

ワイバーンの魔石って一つ20万もするんですよ。」


「ほっ、よかった。これは向こう200年は世に出てはいけない代物だったから。」


「実はこの魔石ってアルくんから預かったもので、ジーニー隊長の前で使って意見を聞いてくれって言われてたんですよ。」


「やっぱり世に出す気じゃないか!!ねえ、君の旦那様は大馬鹿なの!」


「やだ~、ジーニー隊長ったら。アルくんが私の旦那様だなんて、そんな当然のことを。」


「そこじゃないからね。今、論点にすべきはもっと別の所だからね!!」


「私は燃費の悪さもそうですが、空気砲の発射軸を調整できないのも問題だと思うんですよ。」


「違うよ、確かにそれは思ったけど、そこでもないからね!!!」


ジーニアスが珍しく研究に関する事でツッコミに入る。

ジーニアスは研究成果に責任を持つタイプである。

こんな世に出したらやばい代物を止めるのは当然の判断だと言えよう。

疲れ果てたジーニアスは少し早いが今日の案内はここまでとしてもらった。

内心これ以上やばいものを見たくないのである。


そんな状態でハンターギルドに戻っている途中、村の広場で列人とギルバートが模擬戦を始めようとしていた。


「レットがあんな所にいる。これは文句を言ってやらないと。

オフィーリア隊員、行くよ。」


「はい、今行きます。ジーニー隊長。」


「じゃあ、行くぞ。『赤刀』」


「こちらも行くぞ。『ファイアブレイド』」


「え!!炎の剣!」


列人が炎の刀を出したのを見た途端、ジーニアスのさっきまでの疲れた顔は何処へやら。

王族でもないのに炎の剣を扱える列人に興味津々になる。


「お、なんだ。アルと新入りが組手を始めたぞ。」


「2人とも炎の剣を出しているぞ。なんかすげえぞ。」


「え!レットって炎の剣が使えたの。そんな面白いこと僕に内緒なんて酷いな。」


「きゃ~、アルくん。素敵~。流石私の旦那様です。今すぐ抱いてください。」


ジーニアスは列人に文句を言うのも忘れて今は炎の刀に目が釘付けである。

結局の所、ジーニアスは研究バカだった。

列人の魔道具作りの腕ははっきり言ってこの世界でも飛び抜けて高いです。

列人はきっとこれからも色々とヤバイものを作っていく事でしょう。

そしてジーニアスも絶叫しながらそれに付き合うに違いありません。

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