名モ知ラヌ社ニテ
*この作品はpixivで投稿していたもののリメイクとなります。
どのくらい走ったのだろうか。辺りを見渡すと僕は近所にある山の麓まで来ていた。
普段通る場所とは少し離れた位置に居た。僕はこの場所を知っているはずだ。しかし、見覚えの無い鳥居が目の前には建っていた。その向こうには奥へと続く石段。この辺りに神社なんてあっただろうか。
僕はその鳥居をくぐり、石段を登る。この奥なら一人になれる気がしたからだ。
石段を登り切るともう一つ鳥居があり、そこには古びた神社があった。
僕は再び鳥居をくぐり、真っ直ぐと進んでいき、古ぼけた賽銭箱らしき箱のそばに腰を下ろした。
そして、それまで抑えていた感情を吐き出した。涙が止まらない。裏切られた。信じてたのに。いつもそばに居てくれたのに。守ってくれたのに。
裏切られた。怒り、そして悲しみが嗚咽と共に溢れ出す。
暫くして落ち着きを取り戻した僕は家へ帰るため立ち上がった。
その瞬間、後ろから背筋が凍るような視線を視線を感じ、思わず振り返る。しかし、そこには何も無い。
僕は帰るために鳥居のある方へと向き直る。すると、そこにはさっきまで居なかったはずのナニカが立っていた。
その姿は黒いモヤで包まれ、人型であること以外は分からない。
僕は思わず悲鳴を上げる。しかし、声が出ない。さらに、重い鎖で縛られたかのように身動きひとつとれなくなっていることに気づいた。
「やっと、見つけた。」
黒いナニカがそう言った気がした。
直後、目の前のソレから影のようなものが伸び、僕を取り込んでいく。
視界が黒く染っていく。強い眠気のようなものが頭の中を埋め尽くす。
僕は、闇に染った意識を手放した。
どーも、帆楼です。
...うん、連続投下です。
なので特に言うことが...よし、〆よう!
それでは、ごゆるりとどうぞ!