ハジマリ
*これはpixivで投稿した作品のリメイクです。
その日、僕は夢を見た。夕焼けの如く紅く染る里、黒く塗り潰されるナニカ。
どこか懐かしく、そして...
ピピピピ...
耳元で鳴るアラームで目を覚ます。
僕は体を起こし、カーテンを開ける。
突然、視界が白く染まり、思わず目を瞑る。
目を開き外を見ると白が朝日を反射し、煌めいていた。
雪、積もったんだ...そんなことを考えながら部屋に掛けられたカレンダーに目を向ける。
今日は始業式、またあの日々に戻ってしまうと思うと憂鬱な気分になる。
親は既に仕事へ行き、家には誰もいない。
僕は支度を進めながら昨日見た夢を思い出す。と言っても夢の内容なんて殆ど覚えていない。
けれど、一つだけ、僕の記憶にはない光景。そして懐かしさを感じていたことは覚えている。
僕は家を出て学校に向かうが、その足取りは重い。
だって、学校へ行けばまた始まる。戻されてしまう。
物を取る、隠すは当たり前。根も葉もない悪い噂は絶えることは無い。
止めてくれと意志を伝えようものなら複数人で囲まれ、殴られ蹴られ。
クラスメイトはそんな光景を止めようともせずむしろ笑っている。こんな事をして、何が面白いのだろうか。
担任は見て見ぬふりで助けてくれず、それどころか何か問題が起きれば僕のせい。こんなの理不尽だ。
そんな日常だから僕は出来れば学校なんて行きたくない。でも、行かなくては親に迷惑をかけてしまう気がする。
しかし、そんな僕にも友人と呼べる人が居る。周りの事なんか気にせず僕に手を差し伸べてくれる友人が。
教室の扉を開け、自分の席へ向かう。
今日は珍しく特に何も起こらず時間が進んでいく。始業式が終わり、下校の時刻になる。
席から立ち上がり鞄を持ち、扉へ向かう。すると僕の視界が一瞬加速した。
どうやら突き飛ばされたらしい。僕はそのまま倒れ込んでしまう。
誰かが僕の鞄に手を伸ばし、中から筆箱を取り出す。
僕はよろめきながらも立ち上がり、ため息混じりの声で言った。
「ねぇ、僕の筆箱返してくれない?」
「返す訳ねーだろ、バーカw」
筆箱を取った奴が笑いながらそう返答した。
まぁ、そうだよね。返してくれないよね。
筆箱を取り返そうと奪ったやつの方へ向かう。するとそいつは他の奴に筆箱を投げ渡す。必死に取り返そうとするが、人数が多いためなかなか取り返せない。そんな中、近くにいた友人に筆箱が投げ渡される。友人は考えるように立ち止まった、そして僕と目が合った。
返してくれるのかな?
僕はそう思った。友人から笑みがこぼれた。それは普段見せてくれる優しい笑顔では無かった。僕を虐める奴らと同じ、黒い笑みだった。
そして友人は、いや、友人だと思っていたそれは僕の筆箱をゴミ箱へと投げ入れた。
周りから嘲笑うかのような声が聞こえる。
僕はその場から逃げ出した。校門を飛び出し、ただひたすらに走った。
どーも、帆楼です。
こちらでは初投稿となります。
前編だった部分は一気に投稿しますが、後編はもう暫くかかりそうかな...
少し早いですが〆と行きましょう。
それでは、ごゆるりとどうぞ!