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 『転生悪役令嬢小説』


 一世風靡(いっせいふうび)した?そのジャンルは、“前世で遊んでいた乙女ゲームのヒロインの恋のライバル令嬢に転生してしまった”、と言う……興味のない人からすれば「何を言ってるのかわからない」、わかる人には「悪役令嬢」の単語だけで理解できる世界観だ。


 因みに、初めて読んだ転生悪役令嬢小説は、友人が勧めてくる乙女ゲームのノベル化作品を読んでると思ったら、スピンオフのライバル令嬢(ただし中身別人)目線で進むライバル令嬢ハッピーエンド、しかもヒロインとも仲良しエンド、という謎結末のストーリーだった。

 後日に、転生悪役令嬢小説にドハマリしたもうひとりの友人から、大量の転生悪役令嬢小説を手渡されて、多種多様な設定のストーリーを読まされた。

 例えばヒロインも転生者で、不勤勉に生きたいがためにハーレムルートを選び、出来の良い悪役令嬢に断罪シーンでざまぁさせられる……というパターンもあった。


 私が気がついたときには、もう何番(せん)じなどと数えられることもない程に『転生悪役令嬢小説』が大量に生み出されていて、展開も多岐(たき)に渡り、かくいう私も友人と一緒にドハマリして読み漁った。


 正直、私自身は乙女ゲームなんてほとんどやらない人なのに、だ。


 今思えば、私の好み(ハピエン)を熟知した友人が、乙女ゲームを勧めてくるフリをして『悪役令嬢もの』を勧めていたのではないか……と思われる。


 もう、確認する手段もないけれど。


 で、何が言いたいかと言うと。

 自分の陥った状況を夢オチ?転生オチ?どっち?って、ずっと検証してたんだけど、寝て起きてもそのままの世界だし、ホッペタ(つね)ってみても痛いだけなので、実質転生したってことでOKですよね?

 そして、夢オチでなかった、ということは……私はこの世界で生きていかなくてはいけないわけだ。


 改めて思うんだけどさ。


「ラッキー!ヒロインに転生できるなんて!せっかくだから押しを攻略しちゃおう!なんだったらハーレムルート突き進んじゃえ!」


 ……とか思うわけないじゃない。


 なんで、悪役令嬢ものの小説のヒロインは、そんな短絡思考になれるんだ。

 ゲームの中だと思い込んでるから?


 いやぁ、前の世界に未練はあるし、ココにも大事なものはあるし、夢オチかと思って寝ても覚めても元の世界に戻らないし、怪我すりゃ痛みもあるこの状況で「今ココはゲームの中なんだ!」とか思い続けられる訳無いでしょ。

 あっちが夢の世界なんて……詳細を覚えすぎだし、私の頭では思いつかないような、この世界より進化した世界の記憶や、何より触れ合った人の顔や名前を覚えてるのに、そもそも夢だなんて思い込みたくもない。


 ……せめて、もっかい衝撃でも受けて忘れられないかな。


 ところで、私の数多く読んだ『転生悪役令嬢小説』の中で、該当しそうな小説を脳内検索でヒットさせたところ、おそらく『悲劇の悪役令嬢に転生してしまったので、BLを広めて私好みに住みやすくしたいと思います 〜布教活動は貴腐人たちで〜』だと思う。


 何を隠そう、とある友人の一番お気に入り小説だ。


 何でもかんでもBLにしないと気がすまない友人のお眼鏡にかなった一作品で、王子様(こないだの子の兄弟)と悪役令嬢のノーマル恋愛部分を愛する、もうひとりの友人とのカップリング攻防戦が記憶に残っている。

 かくいう私は、どっちかと言うと悪役令嬢とメイド(ほんのりガールズラブ)の関係が好きだったので、その攻防戦を遠い目で眺めていたんだけども。


 いや、私達の趣味嗜好(しゅみしこう)はこの際おいておこう。


 この『悲劇の悪役令嬢に転生してしまったので、BLを広めて私好みに住みやすくしたいと思います 〜布教活動は貴腐人たちで〜』は、悪役令嬢に転生してしまった女性が、前世で好きだったBLを貴族の女性たちに広めるべく、ペンネームを使ってこっそりBL小説を大量生産していく……しかもその世界での攻略対象同士(実在の人物)のカップリングで、と言うエッグい話だ。

 そしてもうひとり、乙女ゲームでは本来ヒロイン役だったはずの転生者は、この世界に転生したことに歓喜してハーレムルートをひた走る。悪役令嬢を囮役にして。

 そしてBLを布教し、世の貴腐人すべてを味方につけた悪役令嬢に、逆断罪されてしまうわけだ。


 なんでヒロインに転生したからって、歓喜した挙げ句にハーレムルートにひた走るのか、これがわからないんだけど。


 その転生悪役令嬢小説の中に出てくる、乙女ゲームのヒロインに転生した悪役ヒロイン、に転生したのが私だ。


 もう何がなにやら。


 ……ふて寝したい。そしてそのまま本来の世界に戻れないだろうか(※尚、既に試し済みの上失敗済み)。


ここまでお読みくださいまして、ありがとうございます。

続きもありますので、よろしければお読みくださいね。

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