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守護獣とともに  作者: ふるしき
2/3

02

「たった今ただいまーっと」

「・・・何言ってんだお前・・・シェルー!」


二人に連れられてきたのは森のはずれある趣のあるロッジ風の家。

なんだってこんなところに住んでるんだ。

もしかしてこの世界は人類が極少数の世紀末だったりするのか?


(もしくはこの二人が、世捨て人だったりするのかねぇ・・・。)


と多少失礼なことを思いながら

第二村人に抱きかかえられながら相変わらず手をわきわきしてる。


「ははっ、こいつまた手を振ってるぞ。顔も面白いな。」

「暢気なものだな。」


とこちらも多少失礼である。


(子供だと思って言いたい放題か。)


そんなやりとりをしていると家の奥から第三村人が顔を出す。


「おかえりなさいませアイギス様、ベティ様・・・」


(おお、第三村人も負けず劣らずのダイナマイトボディ)


なんだこの世界。美形しかいないのか。

そしてアイギスとベティって第一村人と第二村人の事か。

第一村人がアイギスで第二村人がベティ、第三村人がシェルだな。

覚えた!

と満足げにしているとシェルが俺を見て驚愕の色に顔を染める。


「っ!?」


(なんだ・・・どうしたんだ急に・・・)


すわ転生者だって気づいたのか?

気づくものなのか・・・気づかれたら何かやばい事が・・・

そもそもこの世界って転生者とか、そんな概念あるのか・・・?

とか色々考えながら俺が焦っていると


「お二人とも!今すぐ謝罪しにいきましょう!!」


と涙ながらに言ってきた。


(はっ・・・?)


呆けた俺を尻目にシェルは大量に涙を流しながら

アイギスの胸倉を掴みガッシャガッシャと激しく揺らす。


「誰から奪ってきたのですか!こんな年端も行かない子供!

 見た感じ1歳にもなっていないじゃないですか!まだ乳飲み子ですよ!

 母親が恋しい筈です!お二人の事は尊敬しておりますが

 まさか人の子供を攫ってくるような悪人だとは思いませんでした!!」

「あばばばばばば」


とまくし立てた。

アイギスは激しく揺らされている為あばばとか言ってる。

しかし急な大声と、美人の泣き顔に衝撃を受け

精神が幼児に引っ張られているのか俺は泣きそうになった。


「ふぇ・・・」


ふぇ・・・とか言っちゃった!32歳のいい大人が!恥ずかしっ!!

そして同時に思ったのは


(盛大に勘違いしてらっしゃる・・・)


転生関連じゃない事に少し安心したが、善性が過ぎるなこやつら。

と少し心配になった。


ベティが落ち着けとシェルを宥める。


「シェル・・・まぁ少し落ち着け。

 あまり大声を出すとこの子が泣いてしまうぞ?」

「ああっ!・・・申し訳ございません。」

「うむ」


泣きそうな俺を見てシェルは我に返り、深呼吸をして落ち着いた。

ベティはシェルの様子と俺が泣きそうにない事を確認し

俺をシェルに渡すようなしぐさをする。


嫌がるそぶりを見せない俺にシェルは俺を受け取り

大事そうに抱きかかえ、笑顔であやしてくれる。


(シェルさんふっかふかやな。)


最高か。

しかしやはり俺の事が気になるのかシェルはどうしたのか聞いてきた。


「それで、この子はいかがなさったのでしょうか?」

「拾った」

「・・・」


・・・それだけ?


(ベティさん説明する気ないな・・・)


と思ったが、シェルさんの反応は違った。


「・・・っ!・・・まさか・・・」

「そう、あの森で()()()んだよ。」

「そんな・・・」


おや・・・?

なにやら雲行きが怪しいぞ。

そして話を聞く限り、こういうことだった。


・頻繁にはないがあの森には赤子が捨てられる事があるらしい。

・捨てられた赤子は大体が忌み子であるらしい。


とのことだった。

ほうほう・・・厄介ごとっぽくない?転生者云々抜きでも!


と思いながら悶々とする。


しかし現時点で悩んでもしょうがないのでシェルのふかふか具合を堪能する。

そしてベティとシェルが会話している中、アイギスが復活し

俺を育てる旨をシェルに伝えた。


「まぁ厄介ごとかもしれないが・・・

 俺はこの子を俺の子供として育てることにした。」

「だそうだ。」

「そう・・・ですか・・・」


そんな俺を尻目に三人の話し合いは続く。

が、アイギスはちょっと頭おかしいのか爆弾を落とす。


「まあ俺の子供として育てるにあたって俺が父親なのは当たり前なんだが・・・」

「はい」

「母親はシェルがいい。」

「・・・っ!」

「ほぅ・・・?」


その時点でおれは「おや?」となる。


「お前は私という伴侶がいながら母親をシェルにするのか?」

「あー・・・うん、まぁなんだ・・・許せ。」


アイギスとベティは夫婦なのか。

それなのに俺の母親にシェルを指名するって・・・どういうこと?

シェルに手を出そうとしてるのか。

俺をだしに?

けしからんな!


シェルも満更でもないようで顔を赤く染めてる。

しかしベティからは暗黒オーラが出てる。


(怖っ!!)


シェルは号泣したり顔を赤く染めたり百面相だな。


「大きい胸が好きだからしょうがいない。」

「貴様、その下半身たたき切ってやる。」


チャキ

と得物をアイギスに突き立てるベティ。


「ぎゃあ!?まてまて!!」

「問答無用!」


焦るアイギス。

迫るベティ。

俺を抱きかかえながら俺をあやすシェル。


(誰か!アイギスを!ウチのパパンを助けて!!)


まだ父親ではないがアイギスが宣言どおりベティに半殺しにされる様子を

無力な俺は傍目で見ながら


「ママですよー」


とかいうシェルに旋律を覚えつつ。

またしても


「ふぇ・・・」


と情けない声でどうにかアイギスを助け出そうと泣く準備をしたのだった。


またしても守護獣関係ない2話。

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