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2.ピンクの雰囲気

全然進まないので2話投稿します





高校の入学式の日の朝の事だった。


少し早めに登校しようと家を出たところ、突然ネグリジェの美少女に告白された。


全く知らない女の子だ。


だが何故だろう。

何処かで会ったことがある様な感覚がある。


「あの〜。どちら様ですか?

突然、告白だなんて……」


竜也のその一言にネグリジェの少女、もとい小鳥は唖然とした。


まさか自分が竜也に認知されていないとはも思っていなかったのだろう。





「え、えぇと…梶くん。

私だよ。私。」


「え?何?新手の私私詐欺?」


「違うよ。ほら!私だよ!

杉本小鳥!中学生の時、いっぱい遊んだ仲じゃん。」




両手をパッと広げて自己主張する小鳥。


その姿はまさに美の女神。


中学生の時の様な醜い姿など微塵もなかった。


「……え?す、杉本だと?……

そ、そう言えば、小学生の時のあの憎たらしい面影があるな……」


「…その節は……ごめんなさい……」


小鳥は竜也の言葉にこうべを垂れて謝罪した。


そして、小鳥は

「こんな謝罪程度で許してもらえるなんて思ってません。

私があなたにした事は……許される事じゃないです。でも、その許してもらえなくても、……」

と延々と謝罪の言葉を繰り返した。



その表情はまさに後悔を体現した様な感じで、瞳には涙さえ浮かんでいる。


竜也はそんな彼女の謝罪を

「いや〜。ジョークジョーク。

もう気にして無いから。」

と遮る。


本当にジョークのつもりだったが、どうやら小鳥はそれをジョークとは受け取らなかった様だ。


これがブラックジョークというやつだろうか。


竜也は苦笑いを浮かべて、頭を掻いた。


「と、取り敢えず、その格好じゃあれだろ?家に入れ。姉貴か妹の服を貸してやっから。」


竜也は小鳥を家に入る様促した。


ネグリジェの美女をそのまま家に返すわけにはいかないと考えたのだろう。


小鳥は自分のパジャマ姿に赤面し、小さく頷いて

「お、お邪魔します。」

と玄関に足を踏み入れた。



家の中は、しんと静まりかえり、薄暗い雰囲気を浮かべていた。


現在の時刻は7時30分頃と、かなり早い時間帯なのにも関わらず、人の気配が微塵もない。


というのも、竜也ファミリー(母、姉、妹)は基本的に出勤・登校が早いのだ。

7時頃にはもう竜也以外誰も、家には残っていない事が多い。


「ほら、そこ座ってろ。」


リビングに入ったところで、小鳥を椅子に座るよう促す。


「う、うん。」


小鳥は中学生の時に何度も竜也の自宅にお邪魔した事があるのだが、今の彼女は赤面し緊張しているように見える。


キョロキョロと周りを見渡し、まるでそこに来たのが初めてかのように、新鮮な表情をしていた。


「取り敢えず、お茶。

どうぞ。」


竜也は小鳥にマグカップに注がれた緑茶を差し出した。


「あ、ありがとうございます。」


竜也は小鳥の対面に座し、赤面している彼女を見た。


すると、小鳥は竜也の視線に気づくとみるみる顔を火照らせていく。


竜也は不覚にも

(ナニコレ、可愛い。)

と感じてしまう。






「なぁ、お前、本当にあの杉本か?」


「はい……あの杉本小鳥です。…」


小鳥は身体を縮めて、細々とした声でそう言う。


「…いや、おかしいだろ。

失礼かもしれんけど、お前、昨日までかなりのブスだったじゃん。」


「う、うん。面と向かって言われると、心にくるね。……でも、本当に私は杉本小鳥だよ。

なんか今朝起きたら、こうなってて。

私にもわからない事だらけで……」


竜也は怪訝の視線を小鳥に向ける。


「ほ、本当だよ……」


「本当か?…信用できんな。」


竜也の反応は普通だった。

ある日突然、ブスな女子が超絶美人になって現れたのだ。


現実にそんな事が起こって、誰がその事を信頼できると言うのだろうか。


「じゃ、じゃあ、私と梶くんしか知り得ない2人の秘密を…言う事ができたら、信じてくれる?

私が杉本小鳥だってこと。」


「なるほど。ふむ。

試してみる価値はありそうだ。」


「じゃあ、何を言おっか。

………あっ。あれにしよ。」


小鳥はウキウキしながら、竜也との日々に想いを巡らせた。


彼女の竜也への愛情は本物なのだろう。



「去年の7月6日18時23分の事。」

と小鳥は話し始めた。


(しょ、詳細すぎません?)

と竜也はツッコムが声には出さなかった。



「私と梶くんが一緒に下校してる時に、一緒に将来の話ししたよね。

私はその時から、り、梶くんのことがす、好きだったから。

"将来は梶くんみたいな人と結婚したいな"って言ってみたけど、梶くんは"ははは。冗談はよせよ"なんて言って…普通私みたいブスにそんなこと言われたら、気持ち悪くてしょうがないはずなのに、梶くんってば笑ってくれて、ちょっと残念な気持ちだったけど、本当に嬉しかったな〜。

それから、私が"じゃあ梶くんはどんな女性と結婚したいの?"って、勇気を出して聞いてみたら、"金持ちで、生活に困らなさそうな子"なんて言うから、びっくりしちゃったよ。

えへへへ。」


「…………」



(………いや、いつの話!

覚えてねぇわ!!そんな日常会話!)


日常会話を長々と覚えている人間がどこにいるだろうか。

竜也は何故か嬉しそうに回想する小鳥をジト目で見つめることしかできなかった。


「……よし。ふたりだけの秘密作戦はダメだ。

ピンポイントすぎてワカンねぇ。」


竜也はニマニマと口を緩めている小鳥にそう切り出した。


「え!覚えてないの!梶くん!」


小鳥は驚愕した。

竜也も当然覚えていると思ったからだ。

天然なのかはたまたただのバカなのか。

とにかく、その仰天は御門違いであった。


前にも述べたように、竜也が覚えてないのは当然のことなのだ。


「覚えてねぇよ。日常会話なんて。」


竜也のその一言に、小鳥は"とほほ"の精を抜き取られたように萎んでしまった。


「うーん。どうすっかなぁ〜。……

あっ。そうだ。杉本。

お前、首筋にジョースター家の星型みたいなアザあっただろ。

それを見せてくれよ。」


「!!な、ないよ!首筋になんて!

私のアザは、腰の……ところに一つだけ。。。」


小鳥は蒸気を発しながら俯いてしまう。


小鳥の腰。

特に右半身の方に小さなアザがあったのだ。

それも、ハート型で、小鳥だけの固有な特徴であると言える。


「あ、腰だっけ?まぁ、場所はどうでもいい。

取り敢えず、見せてくれ!」


「え、ええ!ここで?」


「うん。ここで。」


「は、恥ずかしいよぉ〜。」


最大限に赤面し、魔人ブゥかの如く、頭から大量の蒸気を放出する小鳥。


「じゃ、俺はお前が杉本だって認められないな。」


「う、ぅぅー。……わ、分かったよ。

み、見せるから信用してね。」


小鳥はそう言って、徐に椅子から立ち上がった。


そして、スカートの形状のネグリジェをたくし上げていく。


「ゴクリ。」


竜也は固唾を飲んで、それをガン見する。


(決して杉本のパンツを見たいというわけではない!

これは杉本が杉本であるということを確認するための儀式!

やましい心など一切無い!決して!)

という大義名分を打ち立てる竜也。


彼は頬を赤くする小鳥のことを穴が開くほどじっくりと見つめる。


客観的に見れば、その図は本当にシュールなものになっていた。



布が擦れる音が僅かにリビングに反響し、心なしかピンクの雰囲気がその場を支配しているように感じる。


時間の感覚が無くなってしまうほどに、その空間は濃厚で、そしてHであった。


まずは細くて白いふくらはぎ。

次に細いがムッチリとした太もも。

こじんまりとしているスベスベの臀部と、それを隠している薄ピンクのパンツ。


徐々にそれらが姿をあらわす。


竜也は恥じることなく穴が開くほどガン見している。

いつもは気だるげな表情をしているが、その瞬間は目をかっ開き、心なしか活き活きとしているようだ。


そして、ついにくびれのある腰部分が視界に入った。



「あ…ハート型のアザ。」


薄いアザだが、竜也にははっきりと見えた。

彼女が、杉本小鳥だと言うことの証拠を。


「はい!もう終わり!見えたでしょ。」


小鳥はたくし上げたスカートを勢いよく下ろして、再びイスに腰掛ける。


その姿は愛らしく、どうしようもない程に、守ってあげたいと思ってしまうほどだ。


そんな小鳥を見ながら、竜也は

(おい、まじかよ。ガチで杉本だったのかよ。)

と驚愕していた。


中学生の頃の面影など無いその美貌。

決して整形による人工的なものでは無い滑らかさ。


何故そうなったかを説明することはできないし、普通起こるはずのない事象でもある。


だが、竜也は眼前に腰掛けている少女を杉本小鳥だと認めざるを得なかった。

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