合流
権蔵以外の3人は浜松へ向かうためにのった新幹線から富士を仰ぎ見た。すでに冠雪はなく、山頂から白い煙が細くたなびいている。権蔵は槍を持っているため、一人山道を歩いていた。
「珠緒さん、どうやってわしらの居場所を知った。」
法六は疑り深そうに珠緒の顔をのぞき込んだ。
「わたしにとりついていたのと同じ、玉緒の妖気を感じました。それで、いても立ってもいられず、近づいているほうへ向かいました。」
「嘘じゃなさそうだな。行商をしていると、人の嘘を見分けるのがうもうなっての。」
御嶽山周辺の駅は、避難する人でごったがえしていた。
「うえーん。」
親とはぐれたのか、こづかれたかはわからないが、そこかしこで、子供の泣き声がする。一人駅前でなきじゃくる女の子に、法六は紙風船を渡した。
「ほーれ。きれいじゃろ。」
「なんですか?うちの子にこまわないでください。もしや、誘拐?」
突然子供を抱きかかえる女性に、法六は面食らった。
「わしは、ただ・・・。」
そういいかけたが、すでに女性と子供は改札をくぐって行ってしまった。
「なんじゃ、せちがらい世の中じゃのう。こんな連中の生活を守るためにわしらは戦うというのか。」
法六が嘆くのも無理からぬことであった。
山への道には検問がしかれ、通行規制がされている。
「さて、どうやって近づいたものか。」
麓の宿で数日過ごしていると、権蔵がやってきた。
「木曽はまたぎの間では、一度はおとづれてみたいあこがれの地よ。時代は違っても、話は通じるじゃろ。頭領にかけあってやろう。」
木曽でまたぎをつづけている一軒の家で、入山の手引きだけはしてもらえることになった。
「おまえ達が何者かは知らんが、明日、住人の避難確認の仕事がある。それに紛れて連れて行ってやろう。話の内容から、少なくともこの世界の者ではないということはわかった。他言するな。仲間には迷惑はかけられん。」
その日は、公民館に泊まった。翌日は、早朝からまたぎ仲間しかしらない獣道を通って山には入って待機していた。やまの中腹まで森の中を進み大きな道にでた。。
「案内は、ここまでだ。ここからは登山道をゆけ。ヘリコプターにみつからないようにな。事が済んでおまえ達がもとの世界に戻れるように祈ってるよ。」
男は、一同を見送ると、何食わぬ顔で帰っていった。




