神喰悠理の衝撃
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!?」
「うぉわっ!」
自分でも驚いてしまうほど大声で叫んでしまった。申し訳ない。
「な、なに!どうしたの悠くん!」
「すまない、明希。俺としたことが取り乱してしまったようだ。」
「大声で取り乱すのは今に始まったことじゃないけどね。」
「なんだと?」
ご機嫌様、有象無象の皆々様。
元々は大魔王として、ボイン星を支配していた魔王ユーリ改め、神喰 悠理だ。
前世では、貧乳派の勇者にやられてしまったわけだが、再び世界を支配する為死の間際に転生の秘術を行使し、この地球とやらに転生したわけだ。
まあ、俺の紹介はこれくらいにして中庭の隅にあるベンチで共に昼食を取っているこのナヨナヨした、女みたいな男はこの世界での俺様の右腕的な存在とでも言っておこうか。
いつも、一人で?可哀想だから?俺様の配下に加えてやったに過ぎない。名は朝霧 明希という。
色素薄めの一本一本がとても細いサラッサラの髪。
線が細く、抱き締めれば砕けてしまいそうなその肢体。
有象無象の女どもよりも、よっぽど整った面。
これで、アソコが無くて胸がデカければ?俺様の妾にしてやったのだが、そう上手くは行かないようだ。
「まあいい。明希、貴様の持っているスマートフォンはお飾りか何かか?」
「え?スマホ?あー、僕通知全部切ってるから気づかなかったや。」
「まったく、貴様はホウレンソウを知らぬのか?貴様には、俺様からの命を誰よりも!早く!知る義務があるのだぞ?」
「いや、僕、悠くん以外友達とかいないからさ…たまに来る業務連絡とかでゲームの邪魔されたくないしね。」
「生粋のインキャだな、お前は。」
「でもでも!安心してよ!悠くんからのメッセージは個別の通知音も設定してすぐ気づくようにしてるから!」
ほう?中々出来たやつではないか。いい心がけだ。
試しに何か送ってやるか。
『ハーハッハッハッ!俺様だ!ユゥゥゥゥリッ様だ!』
「うわっ、ビックリしたぁ。隣にいるんだから普通に話せば良いのにー。何々、オッパイ?もーまた、オッパイの話?」
「いや、何でもない。間違えただけだ。」
何という通知音だ、他にも色々あるだろうが!
「あ、なんか他にも通知来てるや。…なんでもこーせーぶ?なにそれ…えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「うぉっ!なんだどうした!」
「悠くん!悠くん!大変だよっ!悠くんなんだかよくわからない部活の部員にされちゃってるよ!?」
「あぁ、そうらしいな。」
「なんでそんなに落ち着いてるのさ!これはもうイジメだよ!悠くんいじめられっ子だよ!」
「だぁまぁれ!これはイジメではない!俺様は王だ!魔王だ!誰にも縛られず、何者の指図も受けない!そもそも下に生徒会長の印があるだろう!一生徒の悪戯ではない。」
「あ、ホントだ。おね…生徒会長って書いてあるね。じゃあ、これってマジのやつじゃん!」
「そういうわけでもないだろう。」
確かに生徒会長とあるがしかし、具体的な発足日、活動場所、顧問、部長も何も記されていない。
これは、俺様のことを恐れた愚民が出来る精一杯の警告なのだろう。ふはははっ、弱い。余りにも愚かすぎるぞっ!愚民が!
「あぁ、確かに何も書いてないね。そっか、そうだよね!よかったー、悠くんと遊べる時間が減っちゃうのかと思ったよー。」
「明希、貴様…」
なんてことを言うのだ、こいつは。コイツがボインの女体であったら俺は俺はっ!しかし、こいつは男、男だぞ!魔王ユーリ!
「まぁ、そぉいうことだ!初見では驚いたが、タネが分かればどうと言うことはない!さぁ、本日の予定を決めて行っ」
ピーンポーンパーンポーン
『全校生徒の皆様、お昼時に失礼いたします。生徒会長の朝霧です。既にご周知のことと存じますが、何でも更生部についての貼り紙に一部記載漏れがあったためこの場を借りてお知らせ致します。何でも更生部の発足についての詳細をお伝えしますので、1-D 神喰悠理、1-B 花崎れいあ、お二人は放課後、ホームルームが終わり次第、生徒会室までお越しください。以上です。失礼しました。』
ピンポンパンポン
「「…………」」
その日、放課後一人で帰路につく明希の背中はどこか寂しげな空気を漂わせていたように思う。




