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運送屋の交流記  作者: ねんねこ
第12話
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02.

「ミソラ、ちょっといいかい?」

「え、どうしたんですかフェリアスさん」


 足早にやって来たフェリアスさんは忙しいのか、それとも焦っている時はそうなるのか、少しばかりせっかちな様子で話し始めた。


「今日出掛けるなら気をつけた方が良い。というか、良い天気の日は気をつけてくれ」

「な、何ですか、そのふわっとした感じの忠告は」

「出先で君達を助ける事は出来ないよ。細心の注意を払って行動して」


 ――まるで何か起きる事を察知しているかのような言い方だ。というか、何か危険な事があるのなら疑いはしないから、「今日は行かない方が良い」と言ってくれた方がまだいい。何せ、ギルドマスターからのお願いだ。一介のメンバーである私がそのお願いを突っぱねるはずもない。

 案の定、相棒ことイザークさんも眉間に皺を寄せている。明らかに苛立った様子だ。


「何を話しているの?」


 別に何かを話している訳では無かったが、コハクさんが帰って来た。人差し指から依頼書がはみ出している。なお、両手には少し大きめの箱を持っていた。片手では持てないが、両手で持つ程でもないような絶妙な大きさだ。

 恐らくは私の依頼で間違い無いので自然とその箱へ視線が吸い寄せられる。怪訝そうな顔をしていたコハクさんはその箱を私に押し付ける。


「臭いがするから、多分食べ物。それで、これは依頼書ね。ちゃんと確認してから行きなさい、ミソラ」

「了解です」


 傍にあった机の上にまずは箱を置く。依頼書を開いた。届ける先は海の国、アルトブルー。


「海の国へは行ったこと無いような」

「あ?そうだったっけ?海の国は小さな島々が1つの国になっている、まあ、観光名所しかない場所って感じだよ。あとは漁業が盛ん。非加盟国だった気がする」

「ぐ、具体的な説明をありがとう。まあ、ちゃんとした住所なら何でもいいや。箱の中身は何かなー」


 よくよく見るとそれはケーキ1ホールを入れるような箱に似ていた。側面をそうっと開け、中を覗く。香ばしい匂いが鼻を突いた。


「凄い、ターキーだ!何かパーティでもやるのかな」

「自分の家で焼けって話だけどね」


 こんがり焼けた七面鳥の丸焼き。今は夏で、クリスマスとは正反対の季節とも言えるが何か祝い事だろうか。となると、サークリスの配達員は速達が可能だと知っているとしか思えないが。

 そうだ、とターキーの箱を凝視していたフェリアスさんが不意に我に返ってイザークさんを見やる。


「これ終わったら、イザークの研修期間は終わりにしようか。ちょっと長くやり過ぎたし」

「……はあ、どうも」

「今日で最後なんだから、ミソラの面倒をしっかり見る様に」


 片手を振ったイザークさんに押される形で、私達はギルドを後にした。


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