07話 お好み焼き
「オカミ! 我も冒険に出る!」
「ミツハ、流石にそれは早すぎるであろうよ。いや、能力的な問題ではなく、外見がな」
――えっと、とりあえず一緒に連れて行ったらどうでしょう?
クラオカミさんにそんなことを言われて、目に見える感じで拗ねてるミツハくんがかわゆすぎて、あたしは思わず念話越しに助け舟を。
目をきらきらさせてあたしとクラオカミさんとを見比べてる、150センチ程度の低身長なあたしの股下までくらいしか身長がない御年五歳の水龍神さま、クラミツハくん。
前の戦争のときにちょっとした事故があって、神格の上では妹にあたるクラオカミさんから前の肉体を再構築して生まれ直したのが、五歳くらいの活発な男の子の外見なクラミツハくん、って話らしいんだけど。
神様たちのことはよく分からないけど、とりあえずミツハくんをすごーく可愛く思ってるのは女王親衛隊のあたしたち全員の共通してるとこ、みたい。
カムスサさんとの戦闘訓練で傷が付きまくって使い物にならなくなった魔道騎は全部、製造元のドワーフ王国にククリちゃんの神力ゲートでまとめて修理に出しちゃったので、今は久しぶりにフィーナの裏側で精神体になってるあたし、アリサはのんびり休養中。今は緑目のフィーナ=アリサだね。
なんだかんだで王宮に入ってから三ヶ月、魔道騎の試験が中心だったからあたしがずっと表に出てる感じになってて、精神的な疲労が溜まってたのも事実で。
この身体、あたしとフィーナが共同で使ってるけど、本来はフィーナひとりの身体にあたしが間借りしちゃってる感じなのが本当のところで、あたしがずっと表に出てるっていうのが異常な状態だったんだよねー。
でも、カムスサさんと娘さんたちの戦い、凄かったなあ。正直フィーナとクラオカミさんの魔法談義はちんぷんかんぷんだったから、あたしは意識を飛ばして戦闘訓練の方をずっと見学してたんだけどさ。
カムスサさんと娘さんたちは三人とも前衛で、三人の周りをくるくる回ってたちっちゃな妖精? シフォン、って呼びかけてたっけ。そんな子が背中に生やしたちっちゃな羽根で自由に飛び回りながら後衛、って役どころだったみたいだけど。
そういえば、アゼリア王国は冒険者上がりの傭兵王国ってだけあって正規の剣術習ってる純粋剣士って凄く少ないから、あんな風に三人の剣士が連携しあって戦ってるのを見るのは珍しくって、連携の仕方が凄く勉強になったなあ。
体術と片手用の魔剣を併用して動き回るカムスサさんを中心にして、片腕に光の剣を生やした娘さんたち二人が飛び回りながら凄い速い攻撃を繰り返して、でも、妖精さんが物凄い威力の水魔法を撃つときは綺麗に敵だけ効果範囲に残して自分たちは影響範囲から離れちゃってて。
タイミングとか駆け引きが凄い上手くて、あたしは声を出すのも忘れるくらい見入っちゃってたな。
カムスサさんたちは旅路の途中で寄っただけ、って話だったので、あたしたちがこっちに移動するときに別れてそれっきりになっちゃったけど。
ああ、もっかい会えたらパーティに少しだけ体験で入れて欲しいなあ、なんて。あたし、戦闘に入ると周りが全部見えなくなっちゃう猪突猛進タイプだから、あんな風に全体でひとつの生き物みたいにぴったり連携出来る戦士の人たちって無条件に尊敬しちゃったりして。
今はククリちゃんとレアちゃん、サクヤ姫の王族三人娘は近在のエイネールの街に出かけてるところで――、って説明が足りてなかった。
アスラ王国シーンの街郊外にある、クラオカミさんが住んでる竜神のねぐらと、そこから南に下った、川の終端で湖の近くにある、ミツハくんが一人で過ごしてるディルオーネ王国港町のエイネールは相互にゲートで繋がってて、いつでも行き来出来るそうで。
フィーナが覚えた魔術を実際に使用してある程度経験を溜めた方がいい、っていうクラオカミさんの話で、ちょうど冒険者ギルドの冒険者カードを持ってるフィーナとクラオカミさんが適当な依頼を受けてこなそうか、って話になって、あたしたちはエイネールに移動して来てて。
ククリちゃんはクラオカミさんに新規で作って貰った、真紅の眼帯がお気に入りになって見せびらかしに行ったみたい。っていうか、何故か今、ちょうどエイネールの道路舗装現場にタクミさんが来てるそうで。そうだね、お父さんのタクミさんとお揃いだ、って喜んでたもんね。
でも、工事現場だから建築屋さんの社長さん? みたいな立場のタクミさんが作業してても不思議はないんだろうけどさー? クーリ公国の大公さまな立場のタクミさんがほいほい他所の国の作業現場で一般作業員に混じって土仕事とかやってるのってどうなんだろうね?
あたしの中での社長さんって、会社の中で広い社長室の中で立派な椅子に座ってふんぞり返って部下を顎でこき使ってるイメージが凄く強かったから、なんかタクミさんみたいな自分も作業をやる達人級な職人さんって、結構好感度上がりまくりだったりして。
あっ、でも。タクミさんの方はあまり気にしてないっぽいけど、ハヤヒさんがあんな風に突っかかるのはどうしてなんだろうなあ。あたし的にはせっかく知り合った好きな男性同士があんな風に雰囲気悪くしてると、なんかちょっと引っかかるというか。
――あっ、えっと、好き、っていうのはそういう好きじゃなくて、えっと、んっと、なんていうか、そう、好意的、みたいな意味で!
《??? 突然どうしたのアリサちゃん? もしかしてミツハくんに恋しちゃった? でもまだ五歳だから、変なことしちゃだめだよ?》
――あっ、ごめん、考え事してた! そしてミツハくんは可愛いと思うけど、いくらなんでも歳が対象範囲外だから変な誤解しないで!
うっかり念話でフィーナに丸聞こえさせちゃって、慌てて否定。あたしの念話を感じたらしいクラオカミさんが苦笑してて、ミツハくんが不思議そうな顔で小首を傾げてる。
今はフィーナがクラオカミさんから教わった念話網で全員の精神を繋いでる状態で、それぞれ脳内で念じるだけでお互いに無線みたいに会話が通じる状態になってて。それで、精神体になってるあたしの声もみんなに伝わるんだよね。
これ、フィーナが持ってる無尽蔵の魔力使うと、大陸の端から端まででも届いちゃうって優れものの術みたい。凄いなあ。これも広めたのはタクミさんらしくて、流石『魔法王』略して『魔王』の称号は伊達じゃないってことかな。
あたしと同時期にこっちの世界に来た人なのに、なんかやることなすこと全部あたしなんかとはかけ離れた物凄いことやり切っちゃってて、もう嫉妬すら起こらないみたいな。あれはきっと、あたしみたいな普通の人間とは違う神だよねきっと。
……そうだ。この世界って、神が普通に身体持って生活してる世界なんだよねー。今、フィーナの横を歩きながらフィーナと難しい魔法談義してるクラオカミさんや、子供姿のミツハくんも神様で、そもそも英雄譚に出てくる六王も、ククリちゃんもみんな神だ、って説明されてるけど。
――なんかあたしのイメージだと神様って神々しくて全知全能で何でも知ってて何でも出来て、困ることなんか何一つ無い、って思ってたから、ここら辺が元の世界とこことの一番の違うところかなあ?
「そうじゃな、何でも出来はするのじゃが、人や獣人に魔物の生活を阻害してまで自由に振る舞う気がないのが我ら神族での。厳密には、『世界の理』に従ってさまざまにそれぞれが世界を護る役割を持つ故、アリサの元の世界でも神々の生活は同様であったぞよ」
あっ。また念話ダダ漏れしちゃった。でも凄い丁寧にクラオカミさんが教えてくれて。クラオカミさんやミツハくんは元々は日本のどこかの滝壺に住んでた竜神さまで、それで日本のことにも詳しいんだとか。ていうか、神様って基本的に自由自在に日本とこっちの世界を行き来してるらしくって。
こっちの世界に居ない神さまは向こうに居るか、神界っていうもうひとつの異世界に帰ってのんびりしてるんだ、って説明された。神様もちゃんと帰る家があるんだなあ。あたしはどうやら、フィーナの中のここにしか居場所がないみたいだけど。
「おかえりなのよー?」
「遅かったね? そろそろ夕飯時だからね、作ろうか食べに行こうかって話をしてたんだよね」
「作るなら腕によりを掛けて作っちゃいますよぉ? サラディンが大好きな焼肉ぅ!」
「つーかお前、何でもただ焼くか炒めるだけじゃん? それで得意料理ってどうなのよ」
宿のドアを開けるなり、一階の待合室で雑談していたらしい女王親衛隊の四人が一斉に声を掛けて来て。フィーナの念話網に四人が加わって、あたしも混ざってちょっと賑やかな空気に。
こういう、ちょっとした雑談でも、魔道騎なしであたしとフィーナが同時にみんなと話せる時間って実は結構貴重なので、あたしもフィーナも凄く嬉しかったりしてる。今まではあたしかフィーナが伝言みたいに表に出てる方の口から伝えるしかなかったもんね。改めて、念話網を開発したタクミさんに感謝することしきり。
でも、女王親衛隊が女王ほっぽり出してこんな風に自分たちだけでのんびりしちゃってる現状もどうなんだと思わなくもないんだけど。実はこういうお忍びみたいな冒険旅行はみんな頻繁にやってて、それぞれ貴族身分を隠して割りと自由に過ごしてるんだとか。
この宿も、ちゃんとこの国が用意してくれたお忍び用の口の固い高級宿で、こういう宿はアゼリア王国と繋がりがある国なら結構あちこちにあるらしくって、あたしたち以外にもよく利用してる各国の王族や貴族が多いみたい。なので、ここの中で会ったり話したりした内容は従業員もだけど、あたしたち客の方も秘密厳守、って説明されたんだった。
ククリちゃんはあんな『残念美少女』でも一応神様で王族で、しかもタクミさんの娘で雷神ティースさんとの間に出来た子ってことで事実上傷を与える手段がない、ってくらいの強力な神様で、力関係で言えばむしろあたしたち人間の方が守られる側らしい。
もしかして、女王親衛隊って「女王に親身になって守って貰ってる近衛隊」って意味だったりして?
どんっ!
……って感じで突然後ろから押されたフィーナがバランスを崩してつんのめったのを、どうやら後ろからぶつかっちゃったらしい剣士風の身なりの男の人が素早くフィーナの左腕を支えて倒れるのを防いでくれたらしくて。
「あっ、ごめんな、大丈夫だったか? もうっ、フェル! よそ見して歩くのは止めなって何度言ったら!!」
「……悪い、姉貴。まさか玄関開けてすぐに立ち止まってる女の子が居るなんて予想外で。……悪かったなお嬢さん。大丈夫だったか?」
そう、ぶつかってしまったらしい男の人と、どうやら連れの女性で姉弟らしいお姉さんっぽい女性の言葉で、あたしたちはうっかり入り口を塞ぐ形で立ち話をしていたことに気づいて、慌てて二人の通路を開けるために左右に別れた。
「いえ、大丈夫です! ごめんなさい、通路を塞いでしまってたことに気づかなくって」
フィーナの方もそれに気づいて、謝罪を。みんなも一斉に頭を下げて、逆に男の人たちの方が慌てちゃったみたいで。
「……いや、俺も姉貴との話に夢中になってあまり前を見ていなかった。……お互い様ということにしないか?」
「フェル、アンタが注意しときゃ起こらなかった事態だろ、アンタが一方的に悪いんだよ、反省しな! それでも左腕かっての」
「……右腕に言われるとは耳が痛い。姉貴には敵わない。……ああすまん、こっちの話だ。俺はフェル、こっちは姉貴のニア。俺たち姉弟は暫くここに泊まってるから、もし何か手が必要なことがあれば声を掛けてくれ、一応冒険者をやってる。それでお互いにチャラにしないか? ここに泊まってるんだから、お互いに訳ありだろう?」
フェル、と名乗った剣士の人が言い出した条件に、あたしたちは顔を見合わせて。
――そう、王国が用意した専用宿にわざわざ泊まる客、ってことは、もちろんお互いに訳ありってことで。フェルさんがチャラにすることに拘るのはきっと、そこら辺も理由なのかな?
《わっ、アリサちゃん鋭い、珍しい! たぶんそう思うな。貸し借りを残したくない感じがする》
フィーナの念話返信にみんなで目配せしながら頷いて、あたしたちはとりあえず名前だけ出して自己紹介した後で、フェルさんの条件を飲んだ。それで、その場は収まって、フェルさんとニアさんたちはそのまま二階に上がってっちゃって。
あたしたちもとりあえず外食にしよう、ってことで、そのまま部屋に戻らずに外出することにしたんだけど。他の親衛隊のみんなはまだ念話に慣れてなくて、思考と念話を分離出来ないから声に出さないとダメなんだよね。そのうちこれ、徐々に慣れて行かないと、戦闘中以外でも面倒なことになりそう。
――――☆
「……何故粉物?」
「え? これエイネールの名物料理なんだけど。ってか俺が広めたんじゃなくて、元々粉物文化あったよ、ここ。たこ焼きが存在してたくらいだし」
慣れた手つきで熱い鉄板の上に広げた生地を、ヘラでこね回すタクミさんとあたし、アリサ。フィーナはこういう見たこともない食事は結構恐れが強くて、何故かあたしに交代するのが子供の頃からの役割分担になってるのよね。
土木作業が終わって酒場兼食事処に作業員全員で繰り出す話になった、っていうタクミさん率いる土木集団と、タクミさんにくっついて帰って来たククリちゃんたちと、ちょうどクラオカミさんが行き付けだっていう食事処がものの見事に同じ店で、ついでだし会計まとめちゃえ、ってことで今日の夕飯はタクミさんの奢り、って話になっちゃって。
「あー、ククリ、レア、サクヤ。食事の準備してるときにくっつくのはやめろ」
言いながら、軽くほっぺや額にキスしながら三人を身体から引き剥がすタクミさんと三人娘が可愛くて。ククリちゃんは相当なファザコンみたいだけど、他の二人も結構タクミさんのこと本気で慕ってるみたいだなあ。
レアちゃんなんかおでこにキスされたときに目がハートになってたくらいだし。あれっ、サクヤ姫ってタクミさんのお兄さんの娘なんだから、タクミさんとは叔父と姪になるのか。叔父さんに抱っこやキスをねだる13歳ってなんか可愛いな。ちょっと幼い感じもあるけど、こっちの世界じゃそれくらいが普通なのかも。
「豚玉がないのが残念ですねー」
「ああ、そりゃ俺も思うんだけど、この世界って豚が居ないんだよね。野生のイノシシは魔物化してるから家畜化しても無駄だろうし」
「魔力入ったら全然違う食感だし、人によっては魔力に染まった肉食べたら魔力中毒起こしちゃいますもんねー」
みんながきょとーん、としてるけど、これは日本の食生活を知ってるあたしたちにしか分からない話題なんだよねー。
エビ玉やイカ玉は水場が近いから似た食感のものは穫れるらしいし、キャベツや山芋の代わりになる植物はそれなりに栽培してるから問題ないんだけど、お肉みたいな固有動物の食材は、その生物が存在しないとどうしようもないよねー。せいぜい、似た味の食材を代用するくらい? でもそれだと『豚玉』じゃないし。
あたしは日本に居た頃でもあんまり食にうるさい方じゃなかったし、お腹が膨れればいいや! くらいに大雑把な方だ、って自覚してたんだけど。いざ、日本から離れてみたら、かつお出汁やご飯や梅干しに味噌みたいな、純日本食ってときどきすごーく食べたくなっちゃうのはやっぱり日本人のサガなんだろうな。
でもあたし、お好み焼き程度の混ぜて焼くだけ程度のご飯は作れても、味噌や醤油がどうやって作られてるか、なんて全然知らないからこの世界じゃ再現しようがなくて、今まで作ったことはないんだなー。ていうか、いっぺん卵かけご飯をやろうとして生卵食べてお腹壊したときに懲りた。産みたての新鮮な玉子って普通、殻も中身も雑菌まみれらしい。
タクミさんの方はこれ、どうやって解決したんだろ、って疑問に思ってたら、なんとタクミさんたち神様って、人間の食事は基本的に食べられないそうで。今作ってる食事も、みんなに食べさせるために調理してるだけなんだって。
穢れがどうとかの関係で、そのまま食べると毒物を食べてるのと同じで後で凄く気分が悪くなるんだって。それはそれでなんだか大変そう。でも、美味しいものを食べてる人たちから伝わってくる感情がそのまま満腹感になるから、よくこういう大人数での食事会をやるんだ、って話してた。
例外がアゼリア王国の王都アグアに本店があって大陸中にチェーン展開してるクレティシュバンツ商会の甘味処で、そこで出される甘味は全部製造段階ですごい品質管理されてて人間が介在すると必ず混じるっていう穢れが存在しないので、神様たちがよくこそっと食べに来てるらしい。
この食事処も、クレティシュバンツ商会の直営で甘味だけは神様が食べられるそうで、ククリちゃんたち神様はこのお好み焼きの後で出てくる甘味がメインディッシュ、ってことなのかな。
……ひとつ謎なのは、その甘味は人間が作らないで一体どんな方法で作られてるのか、ってことなんだけど、まあ美味しい甘味が食べられるのならあたしには文句ないし。
――さ、焼き上がったからあとはフィーナがちゃんと味わって食べるといいよ? 美味しいよ?
《変な味しない? 後で変なことになったりしない? 師匠の料理みたいに》
――大丈夫だって。あたしが素材からいじってるとこ見たでしょ? 何か変な味がしそうなもの入れた?
《入れてない。確認した。ほんとにほんとーに大丈夫だよね?》
――他の人達も普通に食べてんじゃん? 大丈夫だって、騙されたと思って一口だけでも食べてみて!
言いながら、フィーナと交代して赤目が緑に。隣で同じように慣れた手つきでヘラを使ってお好み焼きを切り分けてたタクミさんが交代したのに気づいたみたいで、ヘラの端に乗せた小さく一口サイズに小分けしたお好み焼きのかけらをフィーナの口元に運んでくれるのが分かる。
うっ、と少しだけ引きながら、それでも目をつむってぱくっ! と噛み付くように食べたフィーナ、偉いっ。正直食べたことない食べ物に極端に恐怖するようになったのって味音痴すぎた師匠が原因なんだろうと思うけど、大丈夫だよ、逆に言えばあんな食べ物に耐性ついたんだから、世の中の食べ物の大抵のものは食べられるよっ。
まだ熱すぎたのか口元を押さえてはふはふしちゃってるフィーナが可愛い。それはみんなも同じだったみたいで、みんなの方は食べ慣れちゃってるのか普通に自分で焼いて食べてるけど、微笑ましいものを見る目つきでフィーナの初お好み焼き体験を見守ってる感じがなんだかなあ、フィーナほんとに可愛いよっ。
一口で安心したフィーナが慣れない手つきでヘラを手にフォークと併用でお上品に勢い良く口に運び始めるのがまた。
そう言えば、フィーナはみんなとは違って他所の国のムーンディア王国出身だからナイフとフォークが基本だけど、アゼリア王国の人でお箸使う人って結構多い感じが。こんな細かい日本文化まで広めちゃってるんだなあ、って考えたら、このタクミさんって人ってさり気なくいろんな方面に強い感じがして、ちょっとだけ尊敬ぽいものを。
で、ふとタクミさんの方を見たら、やっぱり食べられないみたいで、奥の壁際でククリちゃんとふたりで並んで座って、お揃いになった眼帯を見せ合いっこしてた。仲がいい親子だなあ、ほんと。
これ、ハヤヒさんも食べたことあるのかなあ? 鉄板と材料さえあればあたし程度の料理音痴だってすぐ作れるし、一度食べさせてあげたいな。――いや、手料理とかそんなんとは違くて、純粋に日本の食事を味わってみて欲しいな、っていうことで!




