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転生したら神になれって言われました  作者: 澪姉
第五章 神国篇
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59話 真なる光神の姿

『削った量が半分超えです、どんどん内部神圧が増大してますっ、ほんとに気をつけてっ!』


 ――穢れを削れば削るほど自由になる光の神力量が増えて厄介になるってとこがガンだよなっ、と!


 クルルの警告に念話で答えて、タクミは醜悪な穢れた多数の口を持って全身で噛み付いてくるアマテラスの為すがままで居ながら、全身の動作を一瞬たりとも止めず、制限なしの闇の神力と重力魔法の組み合わせでアマテラスの体表の肉を削り続ける。


 一撃ごとに莫大な量の血肉が吹き飛び、周辺を真っ赤に染め抜き蠢く臓物が飛び散るが、その破片すらも瞬時に手足と口を生やし、ぬらぬらと濡れた体表を脈動させながら近接戦を行うタクミ、リュカ、ミリアムらに襲いかかる。


 その雑魚は、最後方に位置するティースの八連銃棍の途切れぬ弾幕掃射と、手持ち銃棍のピンポイント射撃によって正確に駆逐されているのだった。


 しかし、どれほどまでにアマテラスの全身を覆い、既に元の体躯の数十倍までに質量を増やし、未だに無限の再生かつ増殖を続ける肉塊を削っても、その戦いはいつ終わるかとも知れず千日手の様相に陥りつつあった。


 その攻防の、一瞬の空隙に。


『全員神力防御!!』


 クルルの絶叫にも近い指示と同時に、アマテラスの肉塊の全身から硬質化した無数の触手が突き出され、それは終わりがないかのように全方向に高速でずるずると太さを増しながら伸びていく。


 ――リュカが捕まった! ククリ、根っこを狙って断ち切れ!! ミリアム、俺が左と正面を受け持つからなんとか接近し直して! タギツは俺と一緒にリュカの抜けた穴をカバー!


<了解であります!!>

〈あいっ!〉

《悪ぃ、この触手の表皮めっちゃくちゃ硬い! すぐ戻るから頑張っててくれ!》


 第一の門でタヂカラオの神器となり、折り紙付きの剛力膂力を手に入れたリュカであっても、宙に浮かされて大地を踏み締められず、またその膂力を持ってしてすらも折れぬ超硬度の手に掴み取られては抗う術もなく、一瞬で姿が見えぬほどの遠くに引き離されてしまっていた。


 自身にも大量に伸ばされた触手をタクミは咄嗟の重力渦の展開で全てを超重力により吸収しており、クルルも眼前に展開した神力重力渦で対処、ククリとティースはクルルの後方に位置する故に一切影響なく、ミリアムは斬れ味が神界最強のアメノハバキリにて切断に成功。


 ……対処法を持たなかったリュカだけが捕まったものだった。


 ――ちょっと予定早いけど、神力重力渦出す! クルル、ミリアムとタギツに影響範囲マーキング出して!


『了解ですっ! こちらも次の一手を?』


 ――まだ早いと思う、タイミングは任せるけどギリギリ粘って!


 クルルの了解を受け取りつつ、タクミはオモイカネのブロック開放によって完全に自由制御が可能となった神界最大最強のヒルコの闇の神力を全開でその全身から放出しつつ、極大の神力重力渦を生成し、次々にアマテラスの周囲に配置する。


 それは際限なく増殖を続けるアマテラスの全身の肉塊を超重力で吸引すると同時に、アマテラスの全身をその場に縫い付けるかのように固定する役割をも兼任した。


 その効果を確かめつつ、接近しあぐねていたミリアムの受け持つ右側に移動し、言葉を掛ける間も惜しんでミリアムに向けて更に伸ばされる触手を全て重力波を発する自身の全身で受け止める。


 ――ククリ、もういい! 上面の攻撃に戻せ! ミリアム、左に移動してハバキリで切断よろ! タギツはそのまま!


[とーちゃんすまんのだ、硬すぎて通らんのだ]

〈そおおぉぉぉぉぉいっ!〉

<分かりました! リュカさんもう少し辛抱を!>

《マジ悪い、今度シンディさんの甘味奢るから!》


 その会話の間も無数の触手に加え、呪詛を吐き出していた口は全て効果がないと悟ったものか、全方向に莫大な光の神力を含む光線を乱舞し始める。


 光すらも捻じ曲げる強力なタクミの超重力渦でそれを曲げて吸引しているものの、その防御圏内に居ない遠方に飛ばされたリュカは……。


 ――リュカ、予定通り?!


《問題ねェ! タヂカラオの絶対剛力防御マジすげェ、アマテラスなんぞの神力なんざ体表で弾いちまってる!》


 ――おっけ、でも火力足りないんで急いで戻って! 今からミリアムが根っこ切断する!


 目の端に、リュカを縛り付けて遠方に向けて飛ばし続けている触手にミリアムが神剣アメノハバキリを振り下ろすのが見えた。


 切断が行われたと同時に、ごおおぉぉぉん! と轟音を立てて巨大な質量となっていたのであろう触手が地に落ち、そして姿すら見えぬ遠方で、一瞬の緑の光と、それほどの遠方であるにも関わらず、天にも届きそうな勢いで大爆発を起こしたかのような巨大な土煙が上がるのが視認出来た。


《ん――なっろォ、よーっくもやってくれやがったなァ!?》


 音速を遥かに超える神速域まで達したリュカが、その身を宙に躍らせながら、大きく両腕を後方に振り被って叫びながら戻ってきていた。


『耐衝撃防御! タヂカラオの神力が炸裂しますよ!!』


 その言葉通り、極限の高空まで達したリュカが唸りを上げながら、更に空中で両腕に神力を展開しそれを空中で放つ反動により回転を始め、落下速度に加えて回転力を加算した剛力のかかと落としがアマテラスの肉塊の表面を叩いた、と思えた瞬間、その体表を幾重もの波紋が伝うかのように大きく波打ち、巨大なアマテラスの全身に浸透していく。


 そして、その中心部にあるリュカ――タヂカラオの剛力は、限界までアマテラスの肉塊を押し潰した刹那、その真価を炸裂させ、高性能爆薬が連鎖爆発したかのようにアマテラスの全身を次々に、かつ終わることなく無数の破裂を繰り返させ、そして、タクミの超重力渦に接触している重力渦の重力圏内にある肉塊部分を引き千切りつつ、アマテラス本体中心部を数十メートルほども後退させたのだった。


『アマテラス神力残り30パーセントを切りました! 本体が露出します!!』


 そのクルルの言葉通り、アマテラスの本体の体表を覆っていた肉塊は増殖を停止し、その血溜まりの内側から、――真なる光神が姿を現そうとしていた。



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