表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/120

幕間9 『第30とんで4回奥様会議』

「と、言うわけでっ。今晩からタギツちゃんが正式に第四夫人として奥様会議に参加されることになりましたっ。はい、奥様方、拍手拍手ー、ぱちぱちぱちっ」


 などと、やや薄く背景が透けて見えるちびクルルによる宣言に、やや複雑な表情を浮かべたリュカとティースが拍手でタギツを迎えたのだが。


 きょとーん? という擬音が脳裏を駆け巡ってそうな、大きな枕を抱いたタギツが、自分のことだと分からぬまま、皆を真似て拍手をしているところだった。


「なあ。ほんとにいいのかな? こういう状態の子をタクミの部屋に一人で行かせる、って」


「間違いはないだろう、とは思うんですけども……。ううん、そこのところが心配なのはクルルも同じでして。ティースさんは?」


「なんというか、一夜の過ち的なことにはならないんじゃないか、とは思うんですけども……。その胸も猫耳も、正直申しましてタクミさんの好みにぴったり過ぎるでしょう? タクミさんって、激しいときは無尽蔵に激しいですから、その、そうなったときが心配ですわよね?」


 ちびクルル、リュカ、ティースの三人の奥方が眉を寄せて深々と頷くのを、相変わらず不思議そうな面持ちで見つめつつ、タギツは小首を傾げた。


「でも、ですねえ? 最初に決めましたものね、『奥様の順位は永久不動、立場は対等』って。ですから、タギツちゃんがキスだけ、というのも私たちの平等性の理念的にどうなのかなー、と思うところもありまして」


 うーむ、と神妙に唸り声を上げる三者を、にこにこと笑いつつ抱えた大きな枕に顎を預けるタギツ。


 今夜はタクミが久しぶりに家族の館でもある拠点……、アゼリア王国新自治領クーリの領主館内にあるタクミの寝室に帰宅しているとあって。


 ――タクミの身柄が長期間、テテルヴェアやドワーフ王都ローンドーフなどを飛び回って仕事三昧だったこともあり、タギツとの婚儀詳細が決まってから伸び伸びになっていたこともあって、タギツを投入することは事前の決定事項、ではあったのだが。


 ちらっ。


 先輩の奥様方が新妻となるタギツを見れば。


 タギツは大きなキングサイズのベッドの上で膝を曲げておしりをつけたぺたんこ座りで、胸に抱いた大きな枕にあごを預けており。


 クシナダさん渾身のセレクト! という薄手の黒レースなネグリジェ着用だが上半身の大半は枕で隠してしまっていることから、その衣装が何を狙っているのかも理解していないだろうことは明白であった。


 ていうかお母さん。末っ子にその衣装選択はどうなんですか。などとツッコミを受けかねない、中身と衣装のアンバランスさが何とも言えない。


「んー、間違いはないってタクミを信じてるけど、一応な……?」


 ベッドの上を四つん這いでタギツに這い寄りつつ、リュカがタギツの耳たぶをぱくっ、と口に含み、舌を這わせる。


「ぴゃっ?!」

「……えーっと、オレんときはこんな感じで、耳を集中的に攻めて来るから。――まあ頑張れよ?」

「クルルのときはですねえ……」


 ちびクルルがふよふよと宙に浮かびつつ、耳を片手で抑えつつ枕を取り落としてしまったタギツに背後から近づき、おもむろにその薄いネグリジェごしに見える、形の良い巨大な張りのある双丘を「もにゅるりん♪」と抱え上げるように揉みしだきつつ、先端を指で摘むようにして同時に刺激を与える。


「ぴぃっ?!」

「……と、このように胸に固執して弄びますので。――まあ頑張って?」

「わたくしのときは……」


 クルルと同じく椅子ごと宙に浮かんだティースが、両腕で大きな胸を隠すようにして頬を染めるタギツの滑らかな首筋から肩に沿って舌を這わせつつ、背中の筋に沿って両手で撫で回すことを繰り返す。


「ぴゅぅっ?!」

「……こんな風に首筋と背中周辺の刺激を集中されますねえ。――まあ頑張って下さいませ」


 ――と、三人の先輩奥方に指導されたタギツはと言えば、既に両手で自身の肩を抱きつつ羞恥と混乱の極地にあったりしちゃったりなんかしちゃって。


「ぴゅぇ……ぴょっ? ――一緒にお布団入って抱っこして貰ってキスしておねむ……だけではダメなのです?」


「「「その純真な心を永久に失わないで」くれよ!」下さい!」ませ!」


 超絶心底に熱の籠もった奥様方の謎の激励を背に、タギツはタクミの待つ寝室へと送り出されたのであった。


――――☆


 ――翌朝。


「ぴゃああ、ううーん、凄かったぁ……」


 既にタクミがゲートにて現場に直接出立した後に、着衣の乱れたままで、放心状態に近いぴよぴよ状態でベッドに寝かされていたタギツを発見した先輩奥様方一同は、そのようなタギツの呟きを耳にするや否や、即座にタクミの帰宅後にきつく一夜の内容を問い質そう、と決意を新たに団結したのであったが。


「ああん、タクミさまの体捌きって凄すぎるのですぅ。震脚に神力がばっちり乗ってて全身の脈動がひとつになって一撃に集約されるとか……、あれは理解は出来ても真似出来ないのです……。それに、抱き締められただけでおっきな神力に包まれて幸せだったのです」


 ……という、その後に続いたタギツの言葉は耳に入らなかった様子である。



seitakanoppoさんのリクエストで『ある日の奥様会議の内容』でした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ