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転生したら神になれって言われました  作者: 澪姉
第一章 冒険篇
12/120

11話 お試し期間終了

HDDいっこ飛んじゃったのでクラさんvsタクミくんのお話が全部消えました(´・ω・`)

まあ大筋には影響ないのでそのまま次話を。

「タクミくんのおかげで帰りは早かったわぁ」


「ええ、ほんとに。普段なら帰りもあの行程を歩きで帰りますからね。お祖母様に頼んでくれたタクミくんに感謝です」


 ……と、朗らかに告げるシルフィンとフープさんたちとは裏腹に、俺の気持ちは暗い。


 ダンジョン最下層のクラさんの住居兼稽古場からクラさんのテレポートで地上まで一気に戻って来た俺たちだが、その直前の出来事がなあ。


「小僧、手も足も出なかったことで悔しいかえ?

 まあ戦闘は慣れとセンスじゃが、小僧はそのセンスが絶望的じゃ。

 ……なれば、場数をこなして慣れるしかなかろう」


 とは、俺をシルフィンたちの後の個人指導でぼっこぼこにしてくれたクラさんの言。


 日本刀 vs 短剣二刀ツインダガーじゃリーチの差がありすぎて勝負にならないからって素手になってくれたのに、それでも一発も入れられなかった。


 戦闘そのものが付け焼き刃にならざるを得ないから、武術の心得なんかがあるはずもない格下の魔物相手なら俺TUEEEE出来ても、少しでも武術やってる相手と相対すると欠点だらけで使い物にならないって話だ。


「それなら俺もクラさんに弟子入りして師匠って呼びたいわ……」

「その話は先程も断ったであろ? 儂よりも遥かに強いアメノウズメさまに教わるが良い。

 何より、剣術と魔術併用の『サムライ』である儂と、小僧の拳術は相性が悪い」


 そう。クラさんの話に拠れば、クラさんと旦那さんは魔法と剣術を同時に使う侍なんだとか。


 この世界じゃ女性蔑視とかはないんだな。


 しかし日本刀使いながら同時に魔法撃てるって何それかっこいい。弟子になりたい。


 ……剣道は中学のクラブ活動でちょっと体験したっきりだけど。


 街の中に直接テレポートする、なんてのは龍神の名を持って水脈管理をやってるクラさんの素性がバレて目立って動きにくくなる、ということで。


 テレポートで移動したのは洞窟の入り口。今はこないだ薬草採集に行った、洞窟と街の間にある森をてくてく街に向けて歩いてるところ。


 クラさんはあまり騒がれたくないという話で、女侍の姿の上にすっぽりと頭まで隠れる真っ黒なローブと、目以外見えなくなる深いマフラーで全身と顔を隠している。


 ――そっちの方が余計目立つような気がしてならないんだけど。


 稽古で発生した負傷はクラさんとティースさんとシルフィンの水魔法で完治してるけど、使った体力は休息でしか回復しない、ってことで。


 ティースさんは疲れすぎてお兄さんのフープさんに背負われて熟睡中。


 そのフープさんは稽古中最初から最後まで盾役こなした疲労のせいで、青い顔でぐったりしてる。


 あと、シルフィンも言葉は元気だけど魔力使いすぎたのかよーく見ると肩で息してる気がする。あんまり会話に絡んで来ないのも疲れてんだな、多分。


 あ。そうだ。フープさんに腕に貼って貰ったステータスカード、確認するのを忘れていた。こんなとこも素人だな俺。


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PARTY:【ON】

登録名:オキタ・タクミ

種族名:神器 / 12歳

HP/MAX:160/160

MP/MAX:400/2600

クラス:短剣二刀ツインダガーLv.2

   :拳術パンチングLv.6

筋 力:70

知 力:130

俊敏性:210

耐久性:80

抵抗力:20

魔属性:身体強化Lv.1

言 語:共通語

固 有:状態変化無効、魅了眼、魔力走査

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「お? MPがすっげえ減ってる。ほんとにリアルタイム更新なんだなこのカード。――あるぇ? ステータス変化してるような……」


「知の神オモイカネの加護があるからの。

 どれどれ……、耐久性と抵抗力が落ちたんじゃな。感覚を戻した影響が出たな。

 ……しかし、なんぼなんでもその抵抗力はないじゃろ。精神系魔法の一切に耐えられんぞ。精進せい」


 ぺたぺたと俺は自分の身体を触って確かめてみるけど、あまり外見上は変わった感じはしてない。


 あ、目は開けられなくなったか。魔力検知? 魔力走査? が固有能力になったってことは意識しなくても使えるんだろうか?


 まぶたを閉じたままってのは目立つからって、クラさんが目を覆う眼帯を作ってくれた。


 ――思うんだけど、こっちの方が余計目立ってなくね?


「小僧の身体能力は魂の力に完全に依存しておるのう?

 本来は状態変化無効を持つのじゃから、身体能力の一切は全く変化しないのが神器じゃ。

 そこのシルフィンも契約中は契約時状態を保っておったし

 。――感覚を一部戻したことで、弱点が増えた、ととりあえずは考えるが良い。

 以前に戻すことも出来るが、魂の消耗が早まるぞえ」


「んー、いつかは戻すこともあるかもだけど、俺としては以前の感覚が戻ることの方が有り難いので、なしで」


 上がったステータスは俊敏性だけか? これ、以前のステータス数値メモっとけば良かったな。固有能力も増えるものなんだ。


 魅了眼とかは前はなかったよな。魔力走査も覚えたときに追加されたんだろうか。他には……。


「おお? 短剣のレベルが上がってるや。クラさんとの稽古の成果か。ありがとうございます」


「礼は要らん。本来はアメノウズメさまに習えば良いことじゃ」


「てか、何回も聞いてるけどほんとにクルル――アメノウズメさま? って強いの?

 俺の中じゃかわいい子猫から人間の姿になった不思議少女、って認識から動かないんだけど」


「小僧、産みの親に失礼すぎるじゃろう……。これは本来、儂から教えるべきことではないがのう」


 言葉を切って、クラさんが俺の方をきっ、と睨む。そして一呼吸置いて、教えてくれた。


「小僧も拳術を嗜むのであれば、戦いに於いて重要視すべきはリズム、ということは知っておろう?

 アメノウズメさまは芸能の神じゃ」


「リズムとか間合いとかタイミングですよね。――あれ? それって踊りとかダンスと一緒?」


「踊りとダンスは同じものではなかろうかの。

 かく、ウズメさまは芸能の神であるからして、芸事に関する全てを司る神じゃ。

 その権能には当然、武術も含まれる。

 ――突き詰めれば、最良の瞬間に最良の選択を行う行為の連続が武術じゃからの。

 そこを極めれば、それに膂力や防護なぞ必要ない。

 本来なれば……」


 俺の身体の上から下までをじぃーっと舐め回すように見るクラさん。


「本来なれば、最高の神器の肉体を得て魂の力と釣り合いが取れておれば、儂など指一本使わずとも圧倒することが可能な肉体を、人の穢れた魂の力で最低能力にしてしまって居るのが小僧、ということになる。

 ――これ、落ち込むでない、莫迦にしたわけではないのじゃ」


 がっくりとその場で両手と膝を地面についてしまった俺を、クラさんが慰めてくれるけど。


 つくづく役立たずだな、と思っていたところに、弟子にして欲しいとまで思ったその人本人にばっさり斬られるのはかなりクるものがあります、先生。


「じゃから、本来であれば、仙人修行を終える程度のことまで修めた清廉潔白な穢れなき魂を器に迎えて神器になり、更に神器の……。無限の耐久性の在る器に更に力を得る修行を経て神に成るのが王道なのじゃが。

 何事も例外はある。

 小僧の場合も何か相応の理由があろうよ。

 ――炎に対する恐怖心なども影響しておるのであろ」


 武力に関係する神なら武術修行が不可欠だけど、力を得るってのはそういう意味だけでなくて。


 魂に刻み込まれるだけの人知を超えた執着対象? なら何でもいいらしい。


 冒険者カード全てに加護与えてる知識の神オモイカネってのは神になった何千年も後に円周率に出会ったばっかりに、高天原で延々と円周率を求めてるらしいし。


 何兆桁まで行ってるのかいっぺん聞いてみたい気もする。


 しかし脳筋の俺にそんな高尚な対象選択は無理。伊達に五段階評価で体育以外オール1の通知表貰ってないぜ。


 ……自分で言ってて悲しくなってきた。


「炎は確かに恐ろしいが、使いこなせば役に立つ。

 魂に刻み込まれるまでの恐怖を現に持っておる小僧に言うのは酷じゃが、神敵カグツチのように炎に取り込まれ炎に魅入られ無尽蔵に神族を増やし、邪神として世に破壊を振り撒くよりはよほどマシじゃ。

 ――見えて来たの。

 あれに居わすは、アメノウズメさまではないかえ?」


 並んで歩くクラさんを見上げて、視線の先を辿ると……、街の外門前で閉じられた扉に背を預けていたクルルが。


 目聡く森から出てきた俺たちを見つけて大きく手を振っていた。ちょっと予定より遅くなったし、心配かけたかな?


 一日とは思えないくらい濃い冒険になったけど、そういえば3回のお試し期間も無事終了したし。


 冒険者ギルドに報告したら晴れて冒険者か。


 でも、なんだかどっと疲れたし、今日はもうゆっくりベッドで眠りたいわ。そう思ったところで、大きなあくびがこみ上げてきた。


 これも耐久力低いからなのかね?



つぎの話で第一章終わりの予定です。予定通り進むといいなあ。

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