思い出す
「ただいま」
どうせこっそり入ってもバレるのだ。
堂々と帰宅した。
「ちょっとキララ!?なにしてんのあんた学校は?」
案の定飛んでくる母。
「質問終わったから帰った」
授業まであと1時間以上あるのに、あいつと2人きりなんて耐えられない。
「いつもの時間に家、出なさいよ」
「嫌だ」
今日は何も頭に入らないだろう。
「寝る、夕方起こして」
「あっ!こらキララ!」
母はいつだって元気だ。
「キララ、もう6時よ」
布団を剥ぎ取られ、眩しい電気に目がくらむ。
「…あさ?」
「あんたが夕方起こしてって言ったんでしょう」
夕方か…
「星見る。ごはんできたら呼びに来て」
天体望遠鏡を担いで、窓枠に足をかける。
「もう、自分の要望ばっかり!女の子なんだからたまにはお手伝いでもしなさいよ」
そう言って母は部屋を出た。
「女の子がなんだよ」
私は女扱いされるのが嫌いだ。
男尊女卑とまではいかないけど、やっぱり社会は男を優位に見てると思う。
「…あ」
新月だ。
田舎のこの村に、街灯はほとんど無い。
今日は星がよく見える。
「ソラが行った日も新月だったっけ」
そう呟いて、私は屋根に寝っ転がった。
望遠鏡も良いけど、こうしてただ空を見上げるのも好きだ。
満天の星空
今日の空は、その言葉がよく似合う。
「ソラ、都会でもちゃんと空見えてる?」
聞こえるはずのない声をかける。
「ちゃんと休みもらえてるのかな」
ソラは没頭すると周りが見えなくなって、倒れるまでやり続けるところがあるからな。
「ソラ、今どこにいる?」
…会いたい。
今日は久しぶりに人とソラの話をした。
「ソラがくれたこれ、まだちゃんと使えるよ」
そして、お下がりでボロボロの望遠鏡を覗き込んだ。
「…わ」
何度見ても、宇宙には驚かされる。
肉眼でたくさんの星を眺めるのも綺麗だけど、望遠鏡で1つの星を見るのはすごく感動する。
赤い星、青い星、白い星
それをハッキリと見る時が好きだ。
「キララ、知ってる?星は燃えてるんだよ。生まれた時から死ぬまでずっと」
「青い星はまだ若くて熱いんだ。逆に、赤い星はもうお年寄りで温度も低いんだよ」
そう言って笑うソラを思い出すから。




