序章
大して宇宙の知識もないのに火星移住小説を書き始めました。
何か指摘があれば遠慮なく教えて頂けたらと思います。
時は3XXX年
人間が地球を棄て火星に移り住んでから、1000年が経とうとしていた。
火星の数ある国の1つ、ジパング。
その西南地方のアルゴン村には1人の少女が住んでいた。
彼女の名はキララ。
首都カスティリャから見れば辺境の地とも言えるその村で、キララは星を見ることだけを楽しみとする生活を送っていた。
村は500人ほどの人口で、社交的な性格でなくとも、村人全員と交友関係を結べるほどに少ない。
キララは村の数少ない子どもの1人として、多くの村人から愛されて育った。
しかし村にたったひとつある小さな学校から帰宅すると、他の子どもたちが元気に走り回るころに宇宙図鑑を広げ、自分とは遠く離れた星のことに、ひたすら思いを巡らせるような子どもだった。
周りの子どもたちはキララを「よく分からない子」と認識し、キララも興味を示さず、10歳になっても友達と呼べるような存在は誰1人いない。
その代わり、隣の家に住む一回り年上の青年、ソラには心を開いていた。
彼はキララが赤ん坊のころから彼女の世話をし、キララの共働きの両親が帰るまで一緒にいた。
彼がキララに宇宙を教え、キララの価値観を形成し、キララの絶対となる。
毎日星について語り、夜は屋根に寝転び星を眺めるか、天体望遠鏡を覗く。
その生活に飽きもせず自分を慕ってくれるキララを、ソラもまた必要としていた。
ソラは人に優しく、よく本を読み、勉強し、賢く頼りになる存在として同世代の子どもたちからは一目置かれ、大人たちからは期待の目で見られる。
そのことは嬉しくもあり、同時にプレッシャーでもあった。
キララを育てることも最初は義務感からくるものだったが、彼女が少しずつヒトとして、そしてソラ色に成長していくのを間近に感じ、親心に似た何かを抱き始めた。