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紅の嵐姫 藍の淑妃  作者: 大雪
過去編
22/35

第十八話 品物と代金

「さてと、日も暮れてきたし、そろそろ戻りましょう」


 『左』の店に滞在して二時間。

 王妃様の言葉に、紅藍も素直に頷いた。


 だが、そこで一悶着起こる。


「いりませんっ!」

「払いますっ」


 料金などいらないと言う『左』。

 自分で食べた分の料金は払うと譲らない王妃。


「王妃様に代金など支払わせたら、俺が怒られます」

「何ですかそれっ! 特別扱いは駄目よっ」

「王妃様の分は予め貰ってますから」

「じゃあ、私達の分は払いましょうか」

「そうね」


 楓々の言葉に紅藍が頷き財布を取り出す。

 そこには、侍女見習いで稼いだ賃金が入っていた。


「お二神の分もいりませんよっ!」


 すかさず『左』が言う。


「どうして?」


 それに疑問を覚えたのは、紅藍だった。


「ここは食堂でしょう? 食堂というものは、食べ物を提供する場所で、提供された食べ物を食べたらお金を支払うものじゃないの? それとも、ここに来るお客さん達は全員お金を支払っていないの?」

「っ! そ、そんな事は」

「私達はここにお客として来たんだから、支払う義務はある筈よ。だから、私は『左』の言う事の方がおかしいと思う」

「そ、それは」


 『左』が言葉を詰まらせた。


「紅藍姫の言うとおりです。予めお金をって言うけれど、今の私達はお忍びで来ているの。王妃としてではなくて。だから、王妃として生活する為のお金からそれが出されているのだとしたら受け取らないで」

「王妃様」

「紅玉ですよ、『左』」


 王妃様が『左』を制する様に言葉を続ける。


「今の私は自分の我が儘で王都に降りてきているの。だから、自分の支払うべき代金は自分で稼いだもので払うわ」


 そう言うと、王妃様もまた財布を取り出し、『左』に詰め寄る。


「いくら?」

「っーー」


 根負けしたのは、『左』の方だった。

 そうしてすごすごと代金を手にし、哀しげに自分達を見送る『左』に、店内に居た彼の部下達は何事かと内心大騒ぎになっていたと後に知るがーーとりあえず、現段階ではそんな事には全く気づかず紅藍達は店を出た。



 その後、『左』の店が見えなくなった所で王妃様がこそっと紅藍の耳元に囁いた。


「ありがとう、紅藍」

「王、じゃなくて紅玉様?」

「紅藍が手助けしてくれたおかげよ」


 王妃様が柔らかく微笑み、それが先程の代金の件である事に気づく。


「べ、別にーーただ、私もそれがおかしいと思っただけですから」

「そうね。でもーー」

「紅玉様?」


 ぽんぽんと頭を撫でられ、紅藍がギョッ目を瞬かせた。


「最初の頃を思い出したの」

「え?」

「最初のお忍びの時よ」


 王妃様の言葉に、紅藍はしばし考え込みーーそしてカァァァと顔が熱くなった。


「あ、あれはっ!」


 今思い出しても恥ずかしい記憶だが、紅藍の思いは届かなかった。


「あれれ? あんた、この前のお嬢ちゃんじゃないかいっ!」

「え? あ」


 突然聞こえた商神特有の張りのある声に振り向けば、そこには日に焼けた筋肉質な中年の男が一神立っていた。

 その顔に、紅藍は冷たい氷を飲んだ様な感覚と共に思い出す。


「げっーー」

「げっ、とはご挨拶だなぁ? ってか、今日は買い物かい?」


 まずいーーと逃げだそうとするが、所詮百戦錬磨の商売神に敵う筈も無く。


「今日も良い物揃ってるよ!! ああ、ただし無料じゃねぇからな?」


 ニカッと笑った男ーーその店の店主に、紅藍の顔がボンッと更に熱を上げた。


「っ~~!!」

「あ、この前は失礼しました」


 王妃様と楓々がそれぞれ頭を下げれば、店主が目を丸くした。


「あれれ? あんた達も一緒だったのか~、いや~久しぶりだねぇ。なんか、別の店には顔を出してたみたいだけど、ここには全然来ないからな~、寂しかったよ」

「そ、そうですか?」

「そうそう、ってか、あんな事は早々ある事じゃないしなぁ」

「あ、あう」


 この地に店を出す事ウン年。

 青果の店として、新鮮な野菜や果物を仕入れて客達に提供してきた。

 その間、色んな客がこの店を訪れたし、目の前の少女の様な客も居た。

 だが、たいていそういう場合はこちらの腹が煮えくりかえるだけで終わったが、その時は全く違った。


 目の前の少女を見る。

 あの時と全く変わらないがーー。


「そういえば此処でしたよね、あれは」

「ですね」


 友神らしき二神の少女がうんうんと頷く。

 それを見ながら、店主はそれを思い出し、紅藍もまたその時の事を思い出した。


 あれは初めてのお忍びでの事だった。

 後宮に来る行商神達が並べる品物を買う経験は何度かあった。

 しかし、『店』という場所での買い物をした事もなければ、『店』自体に行った事もなかった紅藍にとっては、王妃様が王都巡りをする以上に初めての物に対して興味津々という状態だった。

 何を見ても珍しく、何もかもが初めての物ばかり。


 書物で『店』というものは知っていたし、王都には『店』というものが溢れているという事も知っていた。


 ただし、それは全て『知識上で知っていた』に過ぎなかったという事を、後々周囲は思い知らされる事となる。


『言っとくけど、この程度の品なんて街にはごまんとあるんだからっ! そしてもっとお手軽な値段なんだからっ』


 なんて言っていたが、それすらも『単なる書物での知識』。


『私は外で買い物なんてした事ないですけどねっ』

『うっさいわね! した事なくたって知ってるのよっ!』


 もはやその言葉に全てが集約されていたと言ってもいい。


 そもそも紅藍は貴族の姫として、欲しい物は言えば手に入るという身分に居た。

 だからこうして自ら『店』に来る必要はなかった。


 そして、『店』というものの知識もかなり偏り歪んでいた。

 それは、紅藍が実際の『店』の姿を見た雑誌というのが、『高級店』しか載っていない様なセレブ雑誌だった事。


 そしてそこには、店先に品物がおいてある様な店は載ってないし、ましてや食べ物が外に並べられている様な店もなかった。


 いわば、初心者が『上級』レベルを学んでしまった様なものである。

 

 だからだろう……。

 紅藍は、一般常識ーーそう、平民の常識では考えられない事態を引き起こした。


「ちょっ! 紅藍様何をっ」


 奴隷であった楓々ですら分かっていた『店』を間違った方向で理解していた紅藍は、その『店』を『店』として認識せず、事もあろうに店先に並べられている果物を手に取ると、そのまま代金を支払わずに立ち去ろうとしたのだ。


 それに声を上げたのが、青果店の店主だった。

 毎日新鮮な野菜や果物を仕入れ、それを店先に並べて売りさばく。

 そんな仕事を長年してきた店主にとって、お金を払わないで去ろうとする客は何神も居たから、それなりの対処は出来た。

 だが、彼はこの後、心底驚く事となる。


「紅藍、それは買うの?」

「買う?」


 紅藍は店先からとった果物を手に首を傾げた。


「買うって? もしかしてこれは売り物なの?」

「……」


 王妃様ばかりか、店主すら驚いた。

 まずそこからなのかと。

 という事は、ただの物盗りでも貧しさゆえの犯行でもない、もう一つのタイプ。

 そもそも貧しさゆえというには、身なりが良すぎたし、手は自分の妻の様な荒れた手ではない。


 だから、どこの金持ちのガキかと店主は心の中で悪態をつく。

 たいてい、こういうタイプは自分が間違っている事は認めず、強引に商品を持っていってしまうのだ。



 ーーそこに置いてあったなら取って下さいと言っているようなものだろう


 ーーこんなのが商品なのものか。ゴミとして捨ててあったものを取って何が悪い


 ーー五月蠅い!お父様に言いつけるからなっ!



 なんていう罵詈雑言はほんの一部。

 本当にわけの分からない客はどこにでも居たし、実に多かった。


 そしてたいてい、自分が泣き寝入りする方向となる。

 店主は今回もそのパターンかと溜め息をつく前で、同行者の女性が果物をとった少女に何やら言い聞かせていた。


 その余りに懸命な姿に、自然と耳を傾けていた。


「行商で買い物をした事は今までにも何度かありましたよね?あれと同じですよ」

「全然違うわよ、だってあれは地面に布を広げた上に沢山物があったもの」


 それはごく一部の形式である。

 というか、買い物自体はした事があるのかと店主は驚いた。

 しかし、「行商で」と言う事は、今まで買い物をした場所はごくごく限られた場所しか無かった事は疑いようもない。


「そもそも行商と『お店』では販売形式自体が違うんですよっ」


 と、問題の少女と同行していた女性が懇懇切々と説明を始めた。


「つまり、ここは『お店』で、物を売る場所で、売っている物はお金を支払って買わないとならないって事なのね?」

「そうです」

「でも、普通『店』というのは立派で大きな建物が建ってて、品物はその中に置いてあるんじゃ」


 立派な建物じゃなければ『店』とは呼べないのか。

 逆に言えばそうともとれる様な失礼な発言をする紅藍に、王妃様は一つずつ説明していく。


「建物は確かにそうですけど、立派とか、広さとかそういうのは関係ないです。いえ、確かに必要な事もありますが、最低限商売をするには、衛生とか別の方面が大切になるので――というか、そちらはまあ後にしましょう」


 そう言うと、王妃様は紅藍の両肩をガシっと掴んだ。


「とりあえず、ここは『お店』なんです。許可も得ている正真正銘の『お店』ですし、店舗という建物もあります」

「けど、外に物を並べるなんて、本には書いてなかったわ」


 だから、それは紅藍の中では落ちている物も同然であり、代金を支払うなんて考えも付かなかった。

 行商も外に商品が並べてあったが、あれは行商というもので、商品として売っていると聞いたから、代金を支払う義務があると紅藍は知っている。


 でも、これは行商とは違うから、そんな義務はない。

 そんな単純な考えだった。

 しかし王妃様はそんな紅藍の考えを一刀で両断する。


「ここはそういう形式をとっているんです。そして外に並べては駄目というルールは特別な限りは、この海国王都にはありません」


 もちろん、時と場合によるが。


「確かに商品は基本的には中にある『店』が多いです。ですが、それ以外にも外に並べておく場合もあるんですよ。いわゆる、一つの客引きみたいなものです」

「客引き……」

「普通の客引きの意味とは違いますけどね。でも、並べられた商品に興味をもった相手が店の中に入って更に買い物をしてくれれば万々歳でしょう?それに、そもそも店頭に並べられていた方が、気軽に見て買い物が出来るという利点もあります。ここの『お店』はそのパターンでしょう。それに、行商は外で品物を並べていたじゃないですか。あの行商での買い物と同じですよ」

「行商と同じ……」

「ええ。店舗を持たずに顧客の居そうな所に行くのが主に行商と呼ばれます。そして、『店』はその場に店舗を構えて、客の方から出向くという形式がそう呼ばれています。つまり、ここは何度も言うように『店』なんですよ。正真正銘の」


 紅藍は自分の知っている行商を脳裏に浮かべ、そして改めて『店』と呼ばれるものを見る。


「……店」

「そうです、これは店なんです」


 そして王妃様が紅藍に正しい店というものを説明する。

 それは行商の様な移動販売から始まり、道端の屋台である露店、そして市場やらへと続き、最後は今問題となっている『店』へと繋がっていく。


「……そうなんだ」


 そう呟くと、キョロキョロと辺りを見回す少女に店主も困惑した。

 今度は何を言い出すのだろうか。

 

「じゃあ……ここも物を売り買いする場所ーー行商とは違う、『店』というものなのね」


 そう呟くと、少女は懐から財布を取り出した。


「これ、いくらですか?」

「へ?」

「紅藍、その前に」


 また、同行者の少女が口を出す。


「その前に、やる事があります」

「やる事?」

「そうです。紅藍は今、知らなかったとはいえ、売り物をお金も払わずに持っていこうとして、店主さんに迷惑をかけたんです。それは盗神同然です。ですから、それをまず謝らなければ」


 少女が手に持った果物と財布、そして自分を見る。


「……そうか」


 そう呟くと、少女が自分の前へと歩いてくる。


「ごめんなさい」

「……」

「勝手に商品を盗ってごめんなさい」


 少女がペコリと頭を下げ、謝罪する。

 その姿に、周囲で様子を見守っていた者達も度肝を抜かれた。


 その後、少女がこれを改めて買い取らせて欲しいと言い、自分はそれを許可しーーようやく我に返った時には少女達は立ち去っていた。


 それから間も無く、聞こえてきた騒動。

 奴隷を虐げる貴族の子息を、その少女が打ちのめしたと聞いた。


 『店』というものをきちんと理解していなかった少女だったのにーーなんて思いつつ、「おかしな娘だ」と呟き、また来ないかなと思う様になるまでそう時間はかからなかったーー。



「思い出したか?」

「……」


 自分の思い出したくもない過去を引きずり出され、紅藍は恥ずかしさの余り顔から火が出そうだった。


 というか、どうして行商を知っていたのに。

 行商で買い物もしていたのに。


 『店』を知らなかったのか――。


 いや、知っていたが――間違った理解をした挙げ句、認識そのものも間違えだらけだった。


 その上、行商を知りながら、『店』と結び付けられなかった。

 それどころか、初めてのお忍びで沢山の『店』を見ながら、それらを全て『店』とは違う何かとして見て居た紅藍。


 とんだ箱入り娘、いや、世間知らずだと露呈した黒歴史だ。


 けれど仕方が無い。

 買い物をした事がない、いや、そもそも『店』というものを知らない時間の方が長かったのだから。


 それに知識も所詮付け焼き刃だった。


 なんて自分に言い訳をするも、言い訳すればするほどなんだか哀しくなる。


 いや、もうここは正直に言おう。

 ようは馬鹿なのだ。


 一を知って十を悟るどころか、一を知っても全くそこから他に結び付けられない。

 応用に繋げていけない。


 本で『店』を知っても、実際に目にした『店』を見て、これはごく一部で他にも様々な種類の店があるのだという考えに至れない自分の認識の甘さに。


 紅藍は恥辱で死ねると思った。


「それに、紅藍ってばあそこに来たばかりの頃は買ったものにお金を払うという事自体知らなかったですよね?」

「そ、それはっ」


 紅藍の恥ずかしい思い出パート2が暴露される。


 それは、紅藍が後宮に来てすぐの事。


 その時の紅藍こそ、まだあらゆる意味で貴族の姫だった。


 それを後宮の者達が思い知らされたのは、初めての行商が来た時の事。

 やはり王妃様に連れられて行商の元に行った紅藍は、その時はまだ初任給が出ていなかった。

 だから、とりあえず気に入ったものを取り置きしてもらい、後でお金を払うという買い物システムを使って貰おうと王妃様は思っていた。


 しかし、紅藍はそこでぶっ飛んだーーいや、ごく一般的な貴族的思考を披露した。


「これ頂くわ」

「え?! これって……紅藍姫、これは流石に姫の賃金では買えないわ」

「賃金?」


 賃金というもの、そもそもお金というものすら知らない事に、その時初めて後宮の住神達は気づいた。


 そして本物のお金を見せ、その定義と価値、どう使うのかを説明した。


 紅藍にとって、『買う』は『貰う』と同意義だった。


 紅藍の家にも品物を売りに来る者は居た。

 そして広い客間に並べられた豪華な品々を前に、姉達は気に入った物を選んで言うのだ。


『これを貰うわ』


 その言葉と共に品物は渡され、姉達はそれを持って部屋を出て行く事もあれば、侍女達に運ばせていった。


 その時、姉達は誰一神として代金を支払わなかったし、侍女達もそういう素振りはなく、品物を売りつけにきた者達も請求する姿は見られなかった。


 ただ品物が欲しいと言い、受け取って終わり。

 そこにお金というものはなかった。

 そしてそもそも、お金というものすら見た事がなかった。


 だから、紅藍はお金を知らず、それを使って行う買い物も知らない。

 欲しいといえば、貰えるーーそれだけしかなかった。


 そしてそれが、紅藍にとっての『買う』、『買い物』だった。


『お嬢様、また商神が品物を売りに来ました』

『今回はどの様なものにしましょうか?』

『あのくだんの令嬢はこれを買われたそうですわ』


 売る、売る、売る。

 買う、買う、買う。


『これを貰うわ』 


 貰う、貰う、貰う。


 お金なんて、払わない。

 ただ、貰っていく。


「これ一つ商品にするにも、凄い苦労があるんです。まずは商品の材料を手に入れる為にーー」


 初めて教えて貰った。

 どんな物だろうと、誰か彼かの手がかかっている事を。


 果物や野菜は野生の物であればそれを採るために山に分け入り、栽培で手に入れるには栽培に必要な経費がかかり。

 そして加工品は加工する為の手間がかかり。


 何一つとったって、沢山沢山苦労して。


 そうして、ようやく商品として並べられる。

 だからこそ、商品には沢山の価値がつき、それが値段となって買い手はその代金を払う。


 それだけの品物を提供してくれるから。

 それだけの、思いが込められているから。


 ただ品物を買うのでは無く、その思いごと買う。


 紅藍はそこで学び、そしてーー。


「このお店でも学ばせたもらったんですよね?」

「……」


 コクンと頷いた紅藍と呼ばれる少女に、店主はニカっと笑う。


「あんた、やっぱり面白い子だな」

「も、もうあの時の事は忘れて下さいっ」


 顔を真っ赤にする紅藍に、店主はまた笑った。


 たぶん、いや、絶対にこの少女は良い所のお嬢様だろう。

 今まで沢山の者達を見てきた店主だからこそ、間違いない。


 けれど、今まで見たどんなお嬢様とも違う。


 侮辱したと言われて扇で打ち据えられた事は数あれど、こうやってぽかぽかと顔を真っ赤にして自分の手で叩くお嬢様など初めて見たのだから。


「紅藍、落ち着いて。あ、今日も美味しそうな果物ばかりですね。これ一つください」

「あいよっ」

「って、それはあの桃っ!」


 戦く紅藍を余所に、王妃と店主は売り買いのやりとりをする。

 そうーー王妃の手にある桃こそ、紅藍が「美味しそう」と思いながら代金を支払わずに持っていこうとした、『モノ』。


 恥ずかしさが臨界点を突破した紅藍は、王妃様が他の果物もお土産として購入しているにも関わらず、そこから距離を置くべく店から離れた。

 といっても、そんなに離れているわけではなく、せいぜい三軒ほど隣の店。

 装飾品の置いてある店の前で品物を見ながら王妃様達を待つ事にした。


 そこで、起きる騒動も知らずにーー。



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