第8話 その後の反響
次の日の昼過ぎ、私は病室で目を覚ました。
まだ少し体が痛むけど、日常生活には問題なさそうだ。
その時、ピコン、とスマホの通知が鳴った。
確認してみると、おびただしい量の通知が来ていた。
[通知]あなたのチャンネルの登録者数が5,000人を超えました。
[通知]あなたの配信アーカイブの再生回数が100,000回を超えました。
[通知]あなたの配信アーカイブに500件の高評価が付けられました。
[通知]あなたのチャンネルの登録者数が10,000人を超えました。
[通知]あなたの配信アーカイブに10件のコメントが届きました。
[通知]あなたの配信アーカイブに50件のコメントが届きました。
[通知]あなたの配信アーカイブに200件の低評価が付けられました。
画面をスクロールしても、まだ通知が続く……。
見ていると、なんだかめまいがしてくるような気がする……。
[通知]あなたのチャンネルの登録者数が50,000人を超えました。
[通知]あなたの配信アーカイブに100件のコメントが届きました。
[通知]あなたの配信アーカイブに500件のコメントが届きました。
[通知]あなたの配信アーカイブに500件の低評価が付けられました。
[通知]あなたの配信アーカイブの再生回数が500,000回を超えました。
………………
…………
……
怒涛の勢いの通知に、理解が追いつかない。
これは全部、昨日の配信に対する反応のようだ。
ルーシーの死は、彼女の最期の言葉通り、バズったらしい。
その時、私の中で、何とも言い難い奇妙な感情が芽生えた。
通知が示す数値のインフレに、背中がゾワゾワとする。
……違う。駄目だ。何を考えてるんだ。
ルーシーが死んだっていうのに、増えていく数字に高揚感を覚えるなんてどうかしてる。
「そうだ……コメントはなんて言ってるんだろう……」
私は、後から配信アーカイブに投稿されたコメントを見てみることにした。
私たちの行いに対して、みんなはどんな評価をしているんだろう。
◆◆◆
[魔素まんじゅう]
・ダンジョン配信史に残る伝説回だと思う
[戦士さん]
・どう考えても挑むべきじゃなかったでしょ。自業自得
[Jun]
・相方の死さえ配信の素材にするとか頭おかしい
[ダンジョン廃人]
・ルーシー自身が望んでたんじゃないの?
[タヌキッス]
・ダンジョン内は法律が適用されないとはいえ、倫理すらないのはちょっと……
[背骨マン]
・助けられなかったの?笑
[ヤヤコ]
・やりすぎだけど、配信者としてはセンスあるよ
[ADS]
・個人的には神回。チャンネル登録した
◆◆◆
案の定、賛否両論だった。コメント欄は、擁護、批判、称賛、誹謗中傷で混沌としている。
あんな行い、とてもじゃないけど褒められたものじゃない。批判されて当然だ。
でも一方で、あの配信に対する高評価の多さにも驚いた。
そうか、こういうのも、みんな見たがっているのか……。
そういう野次馬精神は、分からないでもないけど、いざ自分が当事者になるとなかなか受け入れられない……。
コメントの中には、私に対して明らかに誹謗中傷と言えるくらい激しく人格批判するものもあった。
私は苛立って、反論しようと一瞬思ったけど、手が止まった。
ルーシーのことが頭に浮かんだ。
ルーシーだったら、批判なんて気にせず、無邪気にバズったことを喜ぶのかな。
そう思うと、反論する気が失せた。それに、私が何か言い訳したところで、火に油を刺す結果にしかならないだろう。
私はうんざりした。スマホを放り投げて、眠りにつくことにした。
これからどうしたらいいんだろう……。




