第6話 【閲覧注意】ルーシーの死
ドラゴンと戦っていた時の配信枠はまだ生きていたみたいで、そこに再接続する形になった。
<コメント>
・あ、復活した!
・戻った?
・どうなってるの
・え、るーしー?
・ヤバくない!?
・何が起きた
・無事なの!?
コメントが流れ始めた。さっきよりも視聴者が増えている。戦っている途中でいきなり配信が途切れたことで、かえって注目されるようになったのかもしれない。
「えっと、みなさん、アリサです……」
私は状況を説明しようとした。
「ドラゴンとの戦いの途中でスマホが壊れちゃって、配信が途切れました……」
<コメント>
・生き残れたの?
・ルーシーどうなってんのこれ
・血が……
・うわああああ
・えヤバ
「何とかあの部屋からは逃げられたんだけど、戦闘でルーシーが大怪我しちゃって……もう助からないかもです……」
<コメント>
・ええええええええ
・は、ウソやろ?
・血出すぎだろこれ
・ルーシーーー!!
・早く助け呼べ!
・うわあああああああ
・え、死ぬの!??
「ダンジョン救命部隊には連絡取ったんだけど、契約者じゃないから助けないって言われました……」
こんなことになるなら、高い保険料を払ってでも契約しておくべきだった……。でも確か、昔契約を検討してた時、ルーシーがそんなのいらないって言ったんだっけ……。
<コメント>
・はあああああ?
・なんでだよ
・救命部隊……あいつらほんま金の亡者だな
・助からないの!?
・契約しとけよカス
・保険料マジで高いらしいな……
・ルーシー死ぬの……ウソでしょ??
・配信してる場合かよ
・最後にやることが配信ってヤバくね
・ルーシー!!!
・もっとズームして
・これ伝説になるでしょ
・ヤバすぎ
・え、これもう死んでない??
どんどんコメントが増えていく。
視聴者数も、今までとは比べ物にならないほど増えている……。
すごい、こんなに見てもらえることがあるんだ……いや、こんな時に何を考えてるんだ私は。
私はルーシーの容体を見た。
息が浅い。胸が上下しているのか、していないのか分からない。
呼吸は泡のように崩れて、喉奥で血が弾けるような音がしている……。
私が片手で圧迫しているけど、相変わらず体からの出血も止まらない。
回復弾の効果で、なんとか生きながらえてる状態のようだ。
でも、もう……。
<コメント>
・まだ撮れてる?
・逃げるなよ
・ズームして
・ルーシー死にそうじゃん
・視聴者数2万突破www
・もっと近づけ
・アリサは大丈夫なの?
「あ……アリサ……」
ルーシーが、今にもかき消えそうな声で喋った。
「何、ルーシー?」
私はスマホをルーシーの顔に近づけた。
「アリサ……止めないで。私の……最期の、生きた証」
<コメント>
・ルーシーーーー!!!
・もう死ぬじゃん……
・ルーシーかわいい…泣
・配信やめろ
・続けて!!
・ルーシーちょっとおかしくない?
・死亡配信とか肝が座りすぎてる
「ダンジョンは……自由、だから。私の死も……私が、選んだこと……」
「ルーシーお願い、死なないで……」
ルーシーは苦しみながら笑う。
息を途切れさせながら、配信を意識した言葉を吐く。
そして、ルーシーは、血まみれの口元で、いつもの無邪気な笑顔を作って言った。
「ねえ……バズるよ」
その言葉を最後に、ルーシーは何も言わなくなった。
ルーシーの呼吸の音が聞こえなくなった。
硬直。
ルーシーが、死んだ。
<コメント>
・うわあああああああ!!!!
・え、マジ!???
・死んだ!?
・やば
・はあああ??
・何言ってんの!?
・……狂ってる
・記念カキコ
・伝説の瞬間見てる?
・最高
・録画保存した
・ウソだウソだウソだ
カメラ越しの光だけが生きている。




