表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その配信は【閲覧注意】~ダンジョン死亡配信録~  作者: にとはるいち


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/17

第5話 最期のお願い

「ごめんなさいルーシー、私のせいで!」


 そう言いながら私は、出血を減らそうと持っていたタオルや服で傷口を圧迫した。

 でも、全然血が止まらない。布地がどんどん血の赤に染まる。


「アリサ……悪くないよ……」


 細切れになった言葉でルーシーが呟く。


「もう喋っちゃダメ!」


 ここで、私はすぐさま助けを呼ぶべきだと思いつく。


「そうだ、ルーシーのスマホ!」


 ルーシーのポケットに入っていたスマホを取り出す。

 ダンジョンの中には、普通の救急組織は来てくれない。

 だから、藁にもすがる思いで、「ダンジョン救命部隊」に連絡を取る。


 ダンジョン救命部隊は、ダンジョン内での怪我人を救助してくれる組織だけど、公的機関ではなく民間の営利組織だ。

 そして、事前に契約して高い保険料を払っている人しか助けないらしい。

 契約者ではない私たちを助けてくれるかわからないけど、とにかく電話をかけた。


「ダンジョン救命部隊ですか!? 仲間が死にそうなんです! 三層Bブロックの奥です!」

『契約番号は分かりますか?』

「すみません契約はしてないんです! でもお願いします、助けてください!」

『契約者ではない方の要請には、お応えできませんね』

「後でいくらでもお金払います! 一千万でも、二千万でも!」

『繰り返しになりますが、契約者ではない方の要請には、お応えできません。さようなら』


 そこで電話が切れた。


「そ、そんな……」


 一縷の望みだった救命部隊も来ないらしい……。

 ルーシーはこのまま死んじゃうの……? そんなの嫌だ。


「アリサ……大丈夫…だよ」


 息も絶え絶えでルーシーが言う。


「だって……ダンジョンは、自由、だから。私……後悔してない」

「ダメだよルーシー、死なないで……!」

「自由は、痛みよりも……価値が……ある、から」

「やめて、ルーシー……!」

「あの、ね……お願いがあるの……」

「な、何……?」


 私はルーシーの口元に耳を近づけた。



「私が死ぬところ……配信して」



 ……え、今なんて言ったの。



「ルーシー? 何、言ってるの……?」

「……だから、……私が、死ぬところ……配信して、ほしいの」


 その言葉を聞いた瞬間、私の中で何かが壊れるような音がした。


 死ぬところを配信してほしい?


 どう考えても異常だ。


 でも、もしこの様子を配信したら、とんでもない注目を集めるかもしれない。いや、何を考えてるんだ私は。


 でも、ルーシーが配信することを望んでいる。

 他でもない、ルーシー本人の最期の望みだ。


 なら、応えてあげるのが私の役目なんじゃないの……? だって、ルーシーが望んでいるんだから。


「わ、分かったよ……ルーシーが言うなら」


 私は、ルーシーのスマホを持って自分たちが映るように画面に収めた。


 そして、配信ボタンを押した。


 RECの赤いサインが、血よりも赤く染まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ