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新しいダンジョンマスターになる

 ダンジョンを生み出すダンジョンマスターについても、わかっていることは少ない。


 そもそも、ダンジョンマスターが本当に生き物なのかすらわかっていない。

 彼らは、外見こそ人型であったり、四足歩行の獣型だったり、鳥型だったりするが、共通して見たこともない素材の鋼の鎧を纏っており、倒されるとその姿を光の粒に換えて消えるのだ。


 そして、ダンジョンマスターが消えたダンジョンは、魔獣の出現、領域拡大などの機能を停止する。


 これはどの人種、どの国でも共通の認識だ。

 たまに例外なダンジョンマスターもいたらしいけれど、ボクが生きている間には一般的なダンジョンマスターしか出現していない。


 これまでは。




「ダンジョンマスターの代替わり、って言うのかな。本来ならそういったことはできないけれど、ある程度以上の魔力があって、なおかつダンジョンマスターの資格みたいなものがあれば、ダンジョンの新しい所持者になれるんだ」

「初めて聞きました!」

「うん、これを知っているのは、ごく一部の人間だけだからね」

「一部というと?」

「一部の専門家と、魔王を含めた、各国の王族です。それから、その直近の、信頼の置ける家臣でしょうか。ボクの場合は、誰もいないんですけれど、先代魔王の直近の家臣には、知っている者もいるかもしれません」


 恐らく、メルティは知っているだろうな。

 彼女は先代魔王の信頼する家臣の一人だったらしいから。


 後は、多分、料理主任あたりは知ってそう。あの人なら、この秘密を知っていてもおかしくない。


「あれ、でも待ってください。私たち、今、聞いちゃいましたけれど」


 カナンが小首を傾げ、ヨシコが少し顔を青くした。


「大丈夫だよ。ハナオカさんには助ける上でお伝えするべきと思ったので話しています。カナンも、信用できるし、信頼しているから話しているんだ」

「魔王様……!」


 カナンは目を輝かせた後、ビシッと音が出そうな勢いで敬礼してきた。


「絶対に誰にも話しません!」

「うん、そうしてもらえると助かるよ。ハナオカさんも、ボクやカナン以外の前では、話さないでもらえると助かります」

「わかりました」


 ヨシコが今日何度目になるかわからない安堵の息を吐いた。


「ところで魔王様。ダンジョンマスターの資格って何なんですか?」

「これだよ」


 マントの内側のポケットから、資格となる物体を取り出して、机の上に置いた。


 淡い赤色をした、手のひらサイズのガラス玉にしか見えないソレを見て、カナンは目を瞬かせる。

 けれど、ヨシコの反応は大きかった。


「アーネスト様、これってもしかして、ダンジョンコアですか?」

「ご明察です」

「ダンジョンコアって、ダンジョンマスターの心臓じゃないですか!」


 カナンもぴょーんとソファから飛び上がる勢いで反応した。

 まあ、雑誌に載ってるダンジョンコアの写真って、粉々になった後の欠片だったりするから、想像つかないよね。


「そう。これを使えば、ダンジョンの新しい所持者になれる。そして、ボクはこれを使って、新しいダンジョンマスターになる」

「「え?」」


 二人の声が重なった。

 ボクはそれに苦笑しながら、魔法で机の上に周囲の簡易地図を描いた。


「ここが、ボクたちがいるオーガスト城で、こちらが城下街です。ここから東へ少し向かった場所に、森があります。ここはオーガストとヒューマンの国々を大きく隔てる場所となっておりまして、国境も森に入って一キロの範囲、となっております。そこから先には、強力な魔獣が生息しているため、自然の緩衝地帯となっています」


 森の中、オーガストの領土の境界線から少しだけ先の方に、光の丸を付けた。


「そして、ここに、一つだけダンジョンがあるんです。ここは数年前に攻略され、今は知る人も少ない、封鎖されたダンジョンという迷宮構造だけが残されています」

「アーネスト様は、ここのダンジョンマスターになろうとしているんですか?」

「はい。今のところ、目的のために使える攻略済みダンジョンは、ここしかありませんので」


 一応、候補は他にもあるけれど、安全かつ誰にも文句を言われない条件となると、ここしかない。


「でも魔王様、ダンジョンマスターになるのは百歩譲って目を瞑るとしてです」

「うん」

「それが、ハナオカさんを帰すのに、どう影響するんですか?」


 あ、しまった。

 ついダンジョンについて話すのに夢中で、一番大事なところを後に話してしまうことになった。


 いけない、いけない。

 結論から最初に述べないといけないって、母さんにもよく言われていたのに。


 でも、ヨシコもカナンも話に興味をたくさん持ってくれてるし、場が温まっていると見てもいいだろう。

 話すには丁度いいかもしれない。


「ダンジョンコアにはね、ダンジョン内部の魔力を集めて溜める機構が存在するんだ。これを使って、ハナオカさんを元の世界に戻すための魔力を溜めるんだ」

「そんな機能があるんですかっ?!」

「うん、あるんだよ」


 そう、これが、ヨシコを元の世界に戻すための方法の要だ。

 これがなければ、何も始まらない。


「このコアは、この攻略済みダンジョンのダンジョンマスターを倒した際に手に入れた物だ。他のダンジョンのコアでも稼働できるけれど、手元にあるのは生憎これだけだからね。相性もいいだろうし、丁度いいだろう」

「でも、待ってください。そうなると、アーネスト様が、新しいダンジョンマスターとして、皆さんから攻撃を受けませんか?」


 ヨシコが慌てた様子で尋ねてくる。


 確かに、その恐れはあるけれど、仕方ない。

 ヨシコを助けるため、あの人への恩返しのためには、この方法しかない。


 でも安心して欲しい。

 ちゃんとリスクヘッジは施すさ。

ダンジョンを攻略したのは、アーネスト様とその従姉と料理主任のメンバーです。

盾役(タンク)支援魔法役(バッファー)がアーネスト様、攻撃役(アタッカー)が従姉と料理主任です。

なお、全員回復魔法持ちなので、全員が回復役(ヒーラー)として活躍できますが、無傷踏破なので誰も回復魔法を使いませんでした。

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