幽霊が廃業する日
さぁーて、今夜はどうやって驚かしてやろうかしら。
私は廃墟に住み着く幽霊よ。
人を驚かすのが楽しくて楽しくて。
最近では、この廃墟は出るーって有名な心霊スポットになってるみたいで、
まぁ、来るのよ毎日のように。
ほら、今夜も声が聞こえて来たわ。
隠れて準備しないとね。
はーい、皆様こちらが有名な心霊スポットの廃墟で御座いまーす。
暗いので足下にきよつけて私に着いてきて下さいね。
「本当にでるのかなー」「何かワクワクしちゃう」「でも、こんなに大勢で来たら何か怖くないかも」ザワザワザワ…。
ちょっと、こんなに沢山の人間が一気に押し寄せて来たら、どうやって出て行けば良いのよ。
それに、ザワザワ煩くて私の出す音や声が聞こえないんですけど。
あぁーもう嫌。昔はもっと少人数で来て、
私がちょっと首筋に息を吹き掛けたり、
音を出したりしただけで、
驚いて怖がってくれたのに。
もう、幽霊廃業して成仏するわ。
さようなら。
その後、心霊スポットになっていた廃墟は、
幽霊が居なくなった事により、
誰も寄り付かなくなったとさ。