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第四十一話 暗躍

■エリーザ視点■


「急に呼び出してなに? うち、昨日は遅くまで起きてたから、眠くてテンサゲだけど」

「夜更かしをしていたら、その美しい美貌が台無しですよ」

「はぁ、きも。思ってもねーこと言うなしマッドサイエンティスト」


 今日は学園が休みだから、気持ちよく寝ていたというのに、こいつに叩きこされて研究施設にある監視室に連れていかれたうちは、寝ぼけ眼を擦りながら、深い溜息を漏らす。


 昨晩は手ごろな男を町でちょろっと誘惑して連れだして、夜明けまで散々いたぶって遊んだから、眠くてしょうがない。


 ていうか、結構頑丈そうで無駄に偉そうな奴がいるっていうから、超絶可愛いうちが直接行ってやったってーのに、想像以上に脆くてテンサゲだわ。


 もう少し楽しめるなら、うちの暇つぶしコレクションに入れてやっても良かったけど、つまんねーから即効でサンプル送りにしてやった。後で誘拐したのをバレないようにしておかねーと……だるー。


「良いニュースと、面白いニュースがありましてね。急いであなたにご報告をしようと」

「なにそれ、普通は良いのと悪いのがあって、どっちか選べってやつじゃね?」

「あなたの選択肢がなぜそうなったのか、よくわかりませんね」

「わかれし。んで、なにがあったわけ?」

「思わぬルートから、希少な素材を手に入れましてね。これで研究が捗りそうです」


 へぇ~、うちには魔法の素材とか、全然イミフだから興味ねーけど、研究が進むならウェルカムってね。


「それが良いニュースな感じ? んじゃ、面白いニュースって?」

「その素材を入手する際に、バーンズ家という家の家長の弟と取引をしましてね」

「バーンズ家と? へー、それで?」

「その彼と一緒にいた女性が、大変興味深い」

「もったいぶるなし。その女って誰?」

「ミシェルという、ハーフエルフの女性です。ハーフエルフとわからないように、見た目は魔法で普通の人間に変えてましたが」


 ハーフエルフなんて、随分と珍し――今、なんて言った?


「ハーフエルフのミシェルって言った?」

「はい。あなたなら覚えがあるでしょう?」


 覚えがあるもなにも、そいつはうちをずっといじめていた、勘違いバカ女のことじゃん! なになに、生きてたの? 家を追放されたっていうのは聞いてたから、てっきり死んでると思ってたのに!


 それに、どうしてあいつがバーンズ家の人間と一緒にいるわけ? スチュワート家とバーンズ家って、そんなずっ友な関係だったっけ?


「私も少々驚きましたよ。話には聞いておりましたが、彼女は随分と温厚になられてました。それに、傍から見た限りでは、彼と随分うまくやっているようです」

「なにそれ、あの女が幸せになってるかんじ? うっざ、マジ萎えぽよなんだけど」

「まあ、それよりも私は、ハーフエルフである彼女を研究したくて仕方がありませんでしたが」

「はぁ……確かにハーフエルフは珍しいけど、純粋なエルフを調べた方がよさそうな気がすんのはうちだけ?」

「なにを仰るのですか! あなたは何もわかっておられない!」


 あ、やば……変なことを言ったわこれ。こいつ、変なスイッチが入ると、キモイテンションでベラベラと話しだす。そうなると、もう面倒で仕方がない。


「エルフというのは、人間よりも頑丈で魔力に優れますが、受胎能力に優れないせいで、元々個体数が少ないうえに、閉鎖的な一族です。しかも、異種族である人間との間に子供が出来る確率は、極めて低い! そんな貴重な存在が目の前にいれば、研究したくなるのは、研究者の性でしょう!」

「はいはい、わかったわかった。ハーフエルフが欲しいなら、手に入れればいいじゃん」

「それはそうですが、無理に連れだそうとしても、彼に邪魔されるのが関の山でしょう。大規模な魔法をかけたら、気づかれる可能性もあります」

「なら、こういうのはどう?」


 悪知恵を働かせて思いついた方法を、ニヤッと笑いながら話すと、男もうちと同じ様に笑った。


「……ふむ、なるほど。それなら合法的に彼女を手に入れられますし、簡単な暗示をかける程度で済むので、気づかれる可能性は限りなくゼロでしょう」

「ついでにうちの気が更に晴れるって寸法よ。んで、上手くいきそ?」

「お任せください。人の絆など、少々手を加えてやれば、脆く崩れ去るものですよ」


 絆とか、アホくさくて反吐が出るわ。他人なんて、不幸になっているところを見てテンアゲするためだけの生き物っしょ。


 え、うちの性格が悪いだけ? うちは内面も完璧美少女だから、そんなのありえねーし。


「さて、実験の時間が削られるのは嫌ですが、少々彼らについて情報を集めましょう。いくら私の魔法が優秀でも、つけいる弱みがあった方が、事が上手く運ぶでしょうしね」

「随分積極的じゃん」

「それほどハーフエルフは欲しいですからね」


 そう言い残すと、男は珍しく足早に部屋を去っていった。


 くすくす……これは面白いことになりそうじゃん! ミシェルの幸せを奪って、あいつ自身を手に入れた暁には、うちのコレクションに加えて、うちをいじめてた分の百倍にして返してあげないと!


「なにをすれば、いい声で鳴いてくれるかな……今から楽しみで仕方ない……!」

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