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短編集  作者: 仮名
1/1

人形劇

今回のキーワード

・活性化

・三日月

・魔物


月明かりのない夜、突如魔物の群れが街を襲い、静まり返っていた街は阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。

悲鳴があちらこちらから響き渡る。

男どもは武器を手にして女子供のいる場所を懸命に守ろうとしたが、魔物の攻勢は衰えなかった。

誰もが諦めかけていたその時、暗い街並みを大きな火球が照らした。

火球のほうに目を向けるとそこには剣を天に翳した勇者の姿があった。

「私たちが来たからにはもう大丈夫だ。魔物は私たちが倒して見せる」

その言葉と共に火球が地に落とされ、多くの魔物が焼き尽くされた。

魔物と勇者たちの戦いは三日三晩続き、ようやく人間が勝利した。

街中で勇者を讃える声が上がり、勇者はそれに応えるように笑顔を振り撒き人々に安心を与えた。


人形使いは勇者の人形を操り、口角を上げることでそれを表現していた。

人形使いの前で多くの子どもたちが話の盛り上がりと同時に歓声を上げていた。

人形使いは器用に人形を操り、勇者の黒い瞳が陽に照らされるたびに赤く輝き、夜を表す黒い背景と相まって躍動感あふれる劇となっていた。


「よしっ、これで今日は終わりにするか」

最後の魔物の首を落としたところで、男たちは狩りを終えた。

腰に吊るした袋にはすでに大量の戦果が入っていた。

男たちは地に倒れた魔物の胸元に剣を刺し、魔核と呼ばれる黒い石のようなものを取り出した。

ハンターたちはこの魔核を魔物狩の戦果として提出することで稼いでいる。

魔核は光の当て方次第で赤色にも輝く性質があり、宝飾品に使われることもある。

「しかし、バカだよな、勇者を讃える市民どもは。踊らされているのが自分たちだってことも知らずに呑気に人形劇なんかに心躍らせて」

「まあ、そのおかげで俺たちは魔物が弱体化するタイミングを狙って狩れるんだから都合いいだろ」

「そりゃそうだな。人形使いが語り継いでくれるおかげだな」

男たちはにいっと笑い、僅かに照らされた顔には月と同じ形をした口が浮かび上がった。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

習作となりますので、ぜひ感想(良い点・気になる点)をいただけると幸いです。


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