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新米冒険者

 「改めて、俺はこのギルドのギルドマスターをやってるガランドだ。じゃあ早速だが、さっき行った通りにお前の冒険者登録を始めるぞ。まずは、この紙に名前と職業とかその他、諸々書いてくれ。文字は………書けるか?」

 「うん、大丈夫」



 一瞬、文字の事を聞かれたときは、ヒヤッとさせられたけど、紙の文字はしっかりと日本語だ。異世界行きで困ることといえば、「文字の読み書き」が挙げられる。読み書きわかって転移や転生するパターンもあれば、逆に分からないままで異世界行きになることもある。もし、またそんなことがあるなら今度はちゃんと神様に聞いとかねば。いや、次がある事自体が困ることなんだけど。

 さて、さっきギルドマスターが渡してくれた紙に各項目は全部で3つ。名前・年齢・職業・魔法適性だ。年齢と職業、それと魔法適性は、まぁいい。そのまま書けばいいだけだから。だけど、問題は名前だ。さて、どうしたものか。勿論、前世の名前をそのまま使うのもいいだろう。でも、この際だし新しい名前というのも悪くないかもしれない。とはいえ、名前を考えろ!って言われてもすぐに書けるものでも無い。ということで、思いついたのが前世の名前を少しいじることだ。私の前世の名前は、「中野鈴音」。因みに、友達からは鈴ちゃんとか呼ばれてたりした。さて、鈴の音…鈴の音…リンリン……。というわけで思いついた私の名前!



 「リンか。中々、聞かねぇなだな。まぁ、そんなことは関係ねぇか。年齢が15に、職業が魔法剣士?それに、全属性の魔法適性持ちだと!!!!」



 あー。驚くのはそこなのね。わたしの名前は悩んだ末に、「リン」にした。理由は簡単、本名は鈴の音だから。それにしても、職業もそうだし魔法適性のあの反応も気になる。



 「魔法剣士って職業ダメなの?」

 「ダメというか、そんな職業はねぇよ。あるのは、剣で戦うことがメインの剣士。己の拳で戦う拳闘士。魔法で攻撃やアシストとかをこなす魔術師。罠を察知したりマッピングとかをこなすパーティーの縁の下の力持ち的な存在の盗賊(シーフ)。あとは、レアな職業だが回復要因の神官と"使い魔"を使役して戦ったりサポートもこなしたりできる召喚士。この6つの職業だけだよ。普通は。お前さんの言う魔法剣士ってのどんな職業だよ?」

 「名前のまんま、魔法と剣術の両方を使いながら戦うスタイルの職業…だよ?」

 「何で疑問形なんだよ……。だが、もし他の冒険者とかとパーティー組むとかになれば分かりやすくしておく必要があるからな。どっちかにしてくれ」




 却下されてしまった。確かに、既存の職業でないとパーティーからしてみれば勧誘とかの判断材料にも困るよね…。最も私は、パーティーを組んだりも入る予定も今のところはないのだけれど。さて、どうしたものか。魔法か剣術かを選ぶ訳だけど、私の格好は剣を振り回す感じよりは、どちらかと言うと魔女っ子っぽいんだよね。剣だっていつもは空間魔法で異空間に収納してるわけだから。寧ろ、魔術師登録しといたほうが、メリットが大きいかもしれない。魔法で出来ちゃうから!ってことにすれば、余程のことでない限りは言い訳も出来そうだし。剣も最悪は、水魔法から氷の剣でも作って戦えば何とかなる…と思う。そういうわけで、



 「私の職業は、魔術師にするよ。」

 「よし、了解だ。お前さんの職業は、ギルドの方では魔術師ってことにしとくよ。まぁ、固定じゃねぇから実際は好きにすればいいし、変えたくなれば剣士に変えたって、この場にいるやつならまずは文句は言わねえだろ。」



 うん、あれだけ一方的にボコってたらね。



 「だが、魔法適性が全部っていうのはさすがの俺もハイそうですか。ってわけには行かねぇな。」



 そういってガランドが取り出したのは大きな水晶玉だ。彼が言うにはそこに自分の持つ魔法適性が浮かび上がるらしいのだ。火なら赤、水なら青、風は緑、土は黃、光は白、闇は黒。ちなみに、無属性は特に反応を示しはしない。というわけで早速、水晶を使って魔法測定を始めたのだが……



 「赤…青…緑…黄…白…黒……、まさか本当に全属性魔術師だとでも言うのか!?」



 ガランドの驚愕の声がギルド内を木霊する。そして、その声を聞いた他のギルド職員や冒険者たちも彼と同じ顔をする。それもその通りだろう。神様のくれた知識によれば、全属性に適性を持つ魔術師は今は宮廷魔術師などでもそういるようなものではい。それに、基本的には一人にもつ適性は一つだけ。二属性の適正持ちならその100分の1。さらに、適性を持つならその100分の1。その上、光属性と闇属性に関しては適性を持つ者自体が非常に稀な存在だ。それなのに、全属性に適正があるということはだれの目から見ても受け入れがたい事実なのだろう。だが、鑑定した結果、事実である以上は納得するしかあるまい。



 「まさか、本当に嘘じゃなかったとはな……。全魔法属性に適正があるなんてこと、伝え話や書物くらいでしか見たこともねぇ。」

 「これで証明にはなったかしら?」

 「あ、ああ。これでお前さんがホラ吹きとかじゃなく、紛れもない全属性魔術師だってことがよーく、判ったよ。」



 半ば呆れたような口調でそういう。ともあれ、これで私もギルドの一員となれたわけだ。そして、ギルドカードも手に入ったわけだが、さて次はランクについての説明だ。ギルドランクにはG〜SSランクまでの9段階がある。

 まずはGランク。Gランクは、ギルドに登録したばかりの初心者に分類されるランクの一つだ。ギルドに登録だけして実力試験は受けないため、一番下からのスタートとなるのだ。最も、このランクからスタートする人はそうそういないのだが……。

 次にFランク。これもGランクと同じく初心者に基本的に与えられる初めのランクだが一様実力試験にて多少の実力を披露することが出来たならOKだ。この多少というのは、魔術師ならある程度の威力の攻撃、もしくは支援系の魔法。前衛なら、身体能力でチェックされる。初心者の半分くらいはここからのスタートが多いらしい。

 そしてEランク。これもF,Gランク同様初心者向きだが試験内容が違う。Eランクの実力試験は、模擬戦だ。その模擬戦で、"ある程度"の実力を示せれたらこのランクからのスタートだ。ただ、ある程度とは判定者の裁量次第。そのため、そこまでの実力じゃなさそうな人や逆に本来ならここに区分されるであろう人もいるわけだ。最も、対戦相手をKOしたら間違いなく試験は合格なのだが。

 次はDランク。初心者が最初になれる最高地点だ。これ以上のランクは、いくら実力を持っていようと依頼をコツコツ達成していかなければ到達しないのだ。因みに、D→Cランクへの昇格に必要な条件は、連続で依頼を10件クリアすることだ。

 そしてCランク。これが、一般的な冒険者たちが生涯かけて到達できる最高地点と呼ばれる。その理由は、簡単に言えば先程のランク昇格にかかる必要条件だ。この10件連続依頼クリアというのが何気にネックなのである。依頼を連続でとなると、途中で強力なモンスターに偶然出くわした、とか、戦闘中にドジをふんで仲間の命が危険になりやむなく撤退することなどもありえる。前者は兎も角、後者は10回くらいやれば1回くらいならあり得るのだ。そして、C→Bの条件はD→Cよりも難しい。それは、依頼を20回連続でこなし、かつCランク相当の魔物を50匹討伐。もしくは、Bランク冒険者との模擬戦で勝利すること。これが条件なのだ。

 そのため、Bランク冒険者は周りから尊敬の眼差しを向けられるのだ。余談だが、ここのギルドマスターさんはBランク冒険者なのだとか。胸を張ってそんな事を言うギルマスなのであった……。 さて、それはひとまず置いといて、B→Aへの昇格方法なのだが、これは意外とシンプルな物でAランク冒険者との試合で一本取ること、そしてもう一つはギルドから出される特別クエストをクリアすることの2つだ。至ってシンプルだが、特別クエストというのが少し気になる。

 そして、Aランク冒険者。この世界のほんの一握りの人たちしかなれないようなレベルの領域。そのため、一流冒険者とも呼ばれる。今のこの世界には10〜20人程度。そのため、Aランク冒険者が出向くような依頼とは逆に相当ヤバいことが起きてるとも周囲は捉えたりするのだ。最も、ここまで少ないのには他にも理由があったりするのだが……。

 さらに、Sランク。Aランクよりさらに上の領域にいる冒険者。現在、Sランクは5人だけ。Sランクの実力者ということは、Aランクの魔物であるドラゴンを単騎で容易に討伐することが出来るような次元のそれこそ化け物のような力を持つ。そして、相性の有無次第では、ドラゴンより上の竜とも渡り合える強さをも持つ。それゆえ、各国も彼らを引き抜こうと躍起になるのだ。

 そして、最上位のSSランク。これは、あるようでないようなランクなのだ。なぜなら、このランクは「勇者」と呼ばれるもののために用意されたようなランクなのだから。実際は別に勇者以外でも理論上はなれる、がそれと同等の力を持つ存在などあり得るはずも無い。そのため、実質的にはSランクが最上位と思っても相違ないようなものだとか。因みに、Sランクに上がるにはギルドが認めるような凄まじい功績を上げることという、何ともアヤフヤな昇格判定なのだ。



 「っとまぁ、ギルドランクに関しちゃこのくらいだな。お前さんの実力であるなら、Bランクは軽く越えてくだろうな。とはいえ、規則は規則だ。特別扱いは出来ねぇ。だから、Dランクからのスタートになっちまうな。」

 「いや、規則を重要視するのは管理者として当然のこと。貴方が気にする必要はないわ。」

 「それは、ありがてぇな。」



 ギルマスとの話は、丸くまとまった。当面の目標はいち早くのCへの昇格。それと、この町での生活基盤の形成だ。暫くは、宿に泊まることになるだろうが、いつか必ず自分の家を手に入れてみせよう!

 さて、これから私の冒険者稼業のスタートだ!

遅くなり申し訳ありませんーー

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