恒例イベント
「お邪魔しま〜す、冒険者になりたいんだけど……」
ギルドの扉を開けると、中の人達の目線が私へと集中する。何かこの感じは嫌な予感が……。
「おい、てめぇ見てねぇ顔だな」
はい、来ました恒例イベント〜。初めましての人がくると必ず行われる自称(笑)先輩冒険者の洗礼と呼ぶべきイベントだ。となるとついでに来るのはアレ
「おい、何か言ったらどうだ?」
「ビビって何も言えねぇのかよ」
「ガキは黙ってママのおっぱいでも吸っててくんねぇかな?」((イラッ))
ヤバいどうしよ、無性に腹が経ってきた。マジで一発デカいの撃ち込んでやろうかな。周りのギャラリーもざわついてきた。
「おいあれ大丈夫かよ?」
「あいつ、新米冒険者潰しのアークだぜ」
「私も新人のときやられたわ〜」
どうやら、こいつはすでに大量の前科持ちらしい。なら多少仕返ししても問題ないよね?
「あっ、ごめんなさい。あんまりに弱そうだったから視界に入らなかったわ」
私も白々しく言い返す。すると、、
「このっ、クッソ野郎ぉ!!」
ププッ!元がつるっぱげのオジサンだったから、頭に血管が浮かび上がって、頭全体がドンドン赤くなっていく。丸で真っ赤なメロンパン。
「おい!ギルド内で騒ぎを起こすんじゃねぇ!」
おや?ギルドの受付の奥から偉いゴッツイオッサンが降りてきた。もしやギルドマスターか?だいたい、こういうパターンだとギルマスが来て止めるということが多いんだけど……
「てめぇら、騒ぎ起こすくらいならギルド裏の戦闘訓練場にでも行ってこい!!」
まさかの仲裁ではなく、何故か決着をつけろという意見。これが、このギルドの風習なのだろうか?すると、あのメロンパン男が取り巻きを連れて、私についてこいという合図をして奥へ行く。後ろの方で、「頑張れ〜!」「応援してるぜ!」と、歓声が聞こえる。そう言うくらいなら、ぜひ、止めてもらいたいものだ。
男たちについてった先にあったのは、正しく闘技場とでも呼ぶべき場所。そして、上の方にも何故か観覧席までついている始末だ。因みに、これはあとから知った話なのだが、これと同じものがあと5つほどあり、昇格試験の審査や定期的に開かれるお祭りの時などにも使われるそうだ。どうりでバカでかいわけだ。
「さて、そこのクソ生意気なガキ。お前のその自信満々な力を見せてもらおうじゃねぇか?」
「ええ、勿論よ。そちらは、3人いるみたいだし多少のハンデにはなるんじゃない?」
「おいその減らず口もすぐに叩けなくしてやるよ」
まさに、小物感満載だね。けど、さっきのロビーの雰囲気だとこれでも、周りの人が手を出すのを躊躇う程度の実力はあるようだ。その取り巻き2人も、恐らくはメロンパン……もといアークとやらと互角までは行かなくともそれに近いくらいの実力はありそうだ。アークは、武器としてロングソードを持っていて体格も大柄だし恐らく剣士だろう。魔法剣士の可能性もあるけど、見た感じだと単純なパワータイプだと思う。そして、取り巻きAは純粋な魔術師かな?魔石の入った長めの杖を片手に持っているし、他に隠してる可能性も低そう。そして、取り巻きBは金属の武具を手足に装備してるが、武器らしい物は見当たらない。さしづめ、拳闘士と言ったところだろうか?
「試合の合図はどうするの?」
「はっ!そいつはな………」
「そいつは?」
「これで始めんだよ!」
さて、小手調べと行きましょうか。
今度はもう少し早く投稿します……
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