ギルドへ
中々に動きやすい。いや、よく動けすぎる。それが、身体強化魔法なのだが、かけすぎるとこうなるの?と思ってしまう。実際どうなってるのかというと、少しパンチしようと思ったら意味分からないスピードでパンチしているのだ。いやいや、何言ってんの?と思うかもしれないけど、それが事実なのだ。なので、パンチされたあとの衝撃も勿論デカイ。ゴブリンにパンチした所にどんどん風穴が空いてお亡くなりなのだ。お陰で知らぬ間に最後の一匹までになった。でも……
「これじゃ、ちっとも練習相手にもならないよね……」
それが本音だ。ゴブリン相手じゃ流石に物足らなさすぎる。以前、魔法の実験をして遊んでたときにたまたまあったドラゴンさんの方がいい遊び相手になってくれたのに……。
いちいち、死体を解体するのも面倒なのでサクッと闇属性魔法で作った空間にゴブリンの死体を放り込む。何故こんなことをするのかというと、彼らの死体はお金になるのだ。もう少し、正確に言うと彼らの素材がお金になるのだ。最も、神様のくれた情報によるとゴブリンの場合は、素材に使えそうなところはたいしてないが、討伐した証として体の一部をギルドに持ち込むことでその討伐数に応じて報奨金を得られるという仕組みなのだ。なので、素材としての利用価値が低いゴブリンは、そのまま持ってくより運搬コストを考えれば、討伐した証として体の一部のみを切るなりしてギルドに提出するのが通説らしい。だけど、端的に言えば、触りたくない。先ほど身体強化のみで戦っていたけど、汚れたくないのと万が一に備えて体には風魔法を使ったバリアも貼っていた。だから、あんな結果になってたのかもしれないけど。
まぁ、余談はともかくそういうわけでゴブリンはそのまま持っていくことした。
「やっとついたぁ!」
ゴブリン死体集めから数時間歩いたらようやく一番近くの町にまで到達した。町全体は特に変わった様子はなく、町に入るときに、身分証を持っていないため通行税を徴収されたくらいだ。身分証というのは、文字通り身分を証明するためのもの。そして、それはギルド証でも代用出来るらしいのだ。ならば、ここはやることは一つだ。
「ギルドへ行こう!」
こうして次の目的地が決まった。