異世界転生
私は死んだ。いや、死んでしまった。眼の前で土下座をしている神物のせいで……………
「本当に申し訳ありませんでした!!!」
どういうこと?話が読めない。私が死んだ?それは、いい。いや、よくはないけど、まぁ、この際置いておこう。んで、なぜこの神様が土下座しているかというと……………。
「死んだ人の魂を私は、浄化して、その魂を輪廻転生の輪に再び戻すというのが、私の本来の仕事なんです……。でも、うっかり生きている貴女の魂を抜き取ってしまって………。(グスン。」
なるほど、要するに私は、間違って殺されたわけだ。というか、自分でグスンとかいうな!
「なので、こうして直接お呼びして相談することにしました……。」
相談、といってもどうするかということなのだが。次にどのように生きるか二択のうち好きの方を選んでいいらしい。
まず一つは、来世は何不自由のない生活を送ること。食べ物にも娯楽にも何不自由ない生活を送れるように生活基盤に関しては、整った家に転生させてくれるらしい。因みに、蘇らせるということは、不可能らしい。予想はしてたが。だが、一つ大きな欠点がある。それは、転生した私は、私ではないということ。正確に言えば、浄化(洗浄)された私の魂をもった人がハッピーな人生を送れるわけであって、私自身がハッピーな生活を送れるわけではないということ。つまり私への還元はないという訳だ。
そして二つ目というのは…………
「こことは違う世界で、生きてもらいます。その時は、今のままの貴女………つまり、人格はそのまんま転生していただきます。こちらは、文字どおり異世界転生というやつです。」
うん、だと思ったよ。だが、どちらにせよ私の答えはすでに決めた。いや、決まっている。異世界転生できる機会を逃すような馬鹿はいない!と。
「分かりました!じゃあ、異世界転生するにあたっていくつかの知識を最初に与えましょう。」
そういうと、神は私の頭へ手をかざす。すると、頭の中に一気に知識が流れ込んでくる。転生先は、ド定番の剣や魔法のファンタジー世界で皆さん、お馴染みの冒険者が存在する。是非ともやってみたいところだ。それと、時代で言えば中世から近世にかけてといったところだ。だが、決して不便ではない。それは、魔法の存在だ。火をつけるならガスや電気の代わりに火魔法を使えばいい。お風呂に入るなら水と火魔法で調節すればつかれる。ケガをしたなら光魔法で治癒できる。うん、概ね予想通りだね。これで、一先ず異世界の情報は把握できた。
あと、異世界転生といったらお決まりなのはステータス……というか、初期設定だ。今回は神様の手違いってことで死んでしまったため、神様が最大限、私の望みを叶えてくれるらしい。気前いいな。なら……
「今度は、怪我してもすぐ治るような丈夫な体と魔法があるなら色んな魔法をたくさん撃てるようになりたいです!」
魔法がある世界なら魔法は絶対に使いたい。でも、だからといって肉体そのものが貧弱すぎてはうっかりどこかでポロリと殺されてしまうかもしれない。それは、困る。だから、こそのこのお願いだったのだが。すると、神様は少し考えると。
「分かりました!その2つですね!お安い御用です!それと、オマケで少し肉体の自体も丈夫にしておきますね。」
あっさり、OKされた。ついでにオマケまで付いてきた。うん、ラッキーだね。すると、神様は転生先の私について教えてくれた。どうやら、転生と言うから0からのスタートかと思ったが、違うらしい。何でも、冒険者だろうがなんだろうが、成人した15歳からではないと仕事を受けられないらしい。最も、それが0才スタートではなく何故15才スタートの理由になるかはわからないが、早くから冒険者をやれるならそれに越したことはない。私は、その後も神様の話をうんうん、と言いながら聞いていた。だが、その時の私は知らなかった。神様の言っていることの本当の意味を…………。
「これで説明は終わりです。何か最後にお聞きしたいことはありますか?」
「いえ、大丈夫です。」
「分かりました!では、どうか有意義なセカンドライフをお過ごしください!」
そこまで聞こえると私の意識は闇の中へと沈んでいく。よし、ついに始まるんだ!私の異世界生活が!!