38グリカゴン戦 前編
補足しておきます。
主人公たちは高校生です。
現実ではこんなことはありえないですが
物語を進めるために少し強引にしています。どうか温かい目で読んでください
麻2が解錠された。
前みたいな感覚で分かるようなスキルの詳細の確認ではなく、視認で分かる。
先生が言っていたこととは違っている。感覚でわかるという話じゃなかったのか?
そういえば先生はこういうことも言っていたな。
「私は偶然、情報獲得の瞬間に知れました。必然的な見方をするには、目を閉じて、頭でスキルの詳細を知りたいと思うことです」、みたいなことを言っていたな。
俺が勝手に感覚でしかわからないと誤解していたようだ。
視覚的に見えたのはこれが初めて。どうやって見えるようになったかは分からない。
普通に瞬きしてただけだし。
とりあえず麻2の詳細だ。
麻2「束縛」
最大六本の鎖状の物体、もしくは鎖状の不可視の物体をこの世界に顕現させることが出来る。
破壊不可能、使用者の意思で距離制限の範囲内であれば自由に顕現できる(一本目)距離制限は3000km。
麻3の解錠条件は麻2解錠と同じく、前の麻のスキルの解錠は前提条件か。
そしてもう一つ麻1の100%解放、こっちは条件の規則性みたいなのはなさそう?そもそも「麻1」が解錠された理由が分からんし。なんかの条件をクリアしたんだと思うけど....考えるだけ無駄か。
「麻1」の100%解放ってマジどうやるんだ?分からんこと多すぎん?
とりあえず使ってみるか。
「麻2」を使ってみると一つの鎖のようなものが出てきた。
何か手から出てんだけど。
手のひらを見てみると黒紫色の鎖がくっついていた。
正確に言えばくっついているというより出ている。
何言ってるかわかんない。
右手に一つ出てきた。最大六本とか書いてあったし左手からも出せるんじゃね?
左手から一本出ろ、って念じてみた。
出ない。念じるだけだったら出ないのかな?
一人で試行錯誤しているといつの間にか足が止まっていた。
くごーと最賀がそれに気づいて俺の方を向いた。
傍から見ると急に俺の手から黒紫色の鎖が出ている。
変な性癖を持っている人、と勘違いされる程度には鎖は目立っていた。
「界野、なんだそれ...」
「ん?」
人目を考えていなかった俺は最賀の一言で狭まっていた視界が広くなった。
「麻2」のことを考えすぎて、周りが見えていなかった。
咄嗟に隠そうと思ったがもう遅いかもしれない。
そういえば鎖状の物体、もしくは鎖状の不可視の物体を顕現出来るみたいなことが書いてあった気がする。
それをしようとしたが、もう視認されているように見えた。驚いた表情でこっちを見ているし。
どうやら遅すぎたみたいだ。
「黒紫色の鎖?界野そんなスキルが使えたのか⁉」
「あ、うん。ちょっと使ってみたくなってな」
今さっき使えるようになったことは内緒にしておこう。
「麻2」は使い方がよくわからん。「麻1」はただ消すだけ、みたいな感覚だったから簡単に発動できたが「麻2」の能力が「束縛」と言われてもあんまりイメージがわかないので一般化が出来ていない。
使いこなせるようになっておかないとな。
最賀が俺の発言から少しの時間の間に頭を回転させて言った。
「まさかそれを使って何かしようとしているな?」
「....ん?」
本当に使ってみたくなったから使ってみただけなんだけどな。
「...もしかしたらだけどよ。これをうまく使えば公園の方にひとっ飛び出来るんじゃねえか?」
「「どゆこと?」」
最賀も俺もよくわからなかった。
「なんかハンマー投げみたいに回して一っ飛び出来るんじゃねえかって思ってな」
「なるほど、円運動みたいなやつか」
「多分そんなやつだ」
「で、本当にするのか?」
最賀がくごーに問う。
「当たり前だろ。何かありそうな予感がするんだよ」
「あっちが余程心配なんだな。てっきりそんな心配しない奴かと思っていたわ」
「俺様をどんな見方してんだよ。まあいい。とりあえず俺様をあっちまで飛ばせ」
一本しか今のところだせないけど大丈夫かな...
そういえばこの「麻2」の鎖、全然重くない。重さを感じないといった方がいいのだろうか。
軽すぎて簡単に鎖が動いてしまう。
楽にくごーを飛ばせそうだな。
くごーの体に鎖を巻き付ける。破壊不可能だし壊れる心配はない。
距離制限は余裕だ。
「じゃあいくぞ」
「おう」
鎖をもちくごーを回す。嘘みたいに軽い。
「麻2」は鎖だけでなく鎖に触れているものの重さも無視できるのか?
多分実際は働いていると思うが無視できるくらい小さいのだろう。
本当にスキルって何でもありだな。
東平雄公園側にぶっ飛ばした。くごーは鎖につながれたまま飛ばされていった。
鎖の色だけが見えるくらいまで遠くなりくごーは見えなくなっていた。
徐々に鎖が落ちていき大きな音が響いて鎖が静止した。
俺は「麻2」を発動したままにした。ちょっと透明に出来るかどうかやってみるか。
「大丈夫かな?」
「まあ何とかなると思うけど...」
何かこの流れ神の配下ガチで来てそうだな。
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夜空視点
昼食を取るためにコメットバックスに寄った。
あまりお腹もすってないしサンドイッチと飲み物だけにしようかな。
照り焼きチキンとフラペチーノを頼んだ。
いや訂正、チーズケーキも追加。
甘いものに引っ張られてしまった。
持ち帰りをせずに店内で食べることにした。
「いただきます」
まずはサンドイッチ、噛み応えがあり口に照り焼きチキンの味が広がる。
手がどんどん進んでいく。いつの間にかもうサンドイッチが無くなっていた。
まあ私の楽しみは甘い食べ物を食べながら甘い飲み物を飲むことだし。
別にすぐにサンドイッチを食べても私の楽しみは無くならない....もう少し味わえばよかった。
チーズケーキをフォークで少し取り口の中に入れる。
甘くて柔らかい食感が口の中をめぐる。
そのままフラペチーノを口の中に染み渡らせる。
このマッチングがいい化学反応を起こしてくれる。
10分後、
私はコメバから出たあと東平尾公園に戻ることにした。
幸いものすごく近いところにある。
そういえばこんなに雲って黒かったかしら。
今日は雨の予報は無かったはずだけど。
黒い雲は市賀島にはなさそう。というかここだけが雲に覆われている。
何か不気味な感じ。
その黒い雲は水滴を落とさずただ停滞していた。
まるで様子を見ているように。
そして光とともに雷が一つ鳴り響いた。
それを見ていた私。その瞬間、腹部に激痛がはしった。
誰かの手が私の腹を貫いていた。
「これで任務の半分完了」
そう言って私から手を引き抜いた。
私の意識は遠のいていき息を引き取った。
..........
「あれ、私何で..」
私は誰かに殺されたはずだった。
確かにそうだった。痛みはあった。思い出しただけで吐き気がする。
頭を一度整理してみよう。誰かに腹部を貫かれたのがここから20秒ほど。
上を向くと黒い雲。確かに今さっき見た光景だ。
後ろに注意しながら歩いていく。
すると後ろから誰かがついてきているような気がした。
黒い雲に夢中で気づいていなかった。
私は少し駆け足で後ろの気配から遠ざかろうとする。
しかし後ろの気配は私よりも速く近づいてくる。
すぐさま私は振り返る。恐怖に耐えられなかった。
その瞬間雷が鳴る。
指が私の腹部目掛けて来ていた。間一髪で体を傾けそれを避ける。
「まさか気づいていたとは」
それでも私の体に少しかすり傷が出来る。
「あなたは誰なの!」
少し強い口調で聞いた。
「知ったところで何になる?」
とりあえず逃げるしかない。戦うという考えは私にはなかった。
スキルを駆使して逃げることに専念することにした。
見えづらく隠れやすい森に私は逃げ込む。
まだそれだけでは逃げれない。
「図形空間」
「図形空間」:正多角形や円、楕円の空間の形を自分の仮想世界の中に作りだせる。
対象の想像力があるほどこの世に存在しない形を作れるかもしれない。
(今はトーラスなどのトポロジーや二角形のようなもの、そして点や線などの拡張は出来ない。また三次元図形や余剰空間ありきのようなものは想像するにはかなりの専門的知識がいる)
私は三角形や長方形、正方形を想像する。
そしてもう一つスキルを使う。
「図形具現化」
「図形具現化」:「図形空間」で想像した図形をこの世に顕現させることが出来る。
しかしこの世に存在する物質に依存する。
想像した図形での攻撃は不可能で想像した図形をこの世の物質に落とし込まないといけない。
落とし込む物質には自分の手で触れる必要がある。
私は逃げている間、木にたくさん触れていた。
長方形の形をした木片、正方形の形をした木片などを顕現させて後ろの人に向けて放つ。
それは高さが限りなく0に近く二次元を三次元に顕現しているようだった。
私の後ろにいる誰かはそれを簡単に避けていた。
出来るだけ木に触れて私との距離を遠ざける。
図形の面の角度を変えながら同じパターンを作らないようにする。
意識を分散させて出来るだけ逃げに徹する。
「逃げてるだけじゃあ何も面白みがないな。遊んでやった時間が無駄だった」
すると私の後ろにいる誰かは一瞬で距離を詰めてきた。
「この程度か...残念だ」
そう言って私の体は真っ二つになった。
..........
「また私....なんなのこれ。もしかして夢?」
また誰かに殺された。
体に傷は一つも無いし痛みも感じない。
この現象の正体は何なのだろう。
何かが作用してまたここに戻っている?
多分、私が死ぬことで時間が戻っている。死ぬというのが発動条件?
本当にここが現実なのかそれとも違うところなのかは分からない。
けどひとつ私の心にあるのは"もう死にたくない"ということだ。
生きたい。死なないためにはどうすればいいか。
とりあえず歩くことにした。いや走ることにした。
後ろに人がいないことを確認し私は全速力で走る。
原因は私を狙う誰かによるもの。それを解決しなければ私はまた死んでしまう。
死ぬときの痛みはとても辛くてもう体験したくない。
そう思いながら走っていると雷が鳴った。
ここがターニングポイント。雷が鳴ってからが勝負。
私は木にたくさん触れていつでも逃げれるように準備した。
周りを見渡し誰もいないことを確認する。
少しこの現象について考えてみよう。
私のスキルは
「図形具現化」「図形空間」「素粒子」「視界調整」「巻き戻し」の五つ。
「素粒子」は粒子の最小単位。能力はいまいち理解できない。
「視界調整」は少し遠く、少し近くの調整が出来る。
「図形具現化」と「図形空間」は述べた通り。
もしかして「巻き戻し」に何か意味があるのかな?
実際私はスキルの能力をよく見てなかった。
見てみようかな。
「巻き戻し」:自分の死を回避できるギリギリのラインまで時間を巻き戻せる。
このスキルの発動条件は所有者が体に深い傷を負い意識が無くなること。
一つの死を乗り越えるごとにチェックポイントは更新され続ける。
※時間という概念の一部に触れるスキルのため使いすぎると世界に多大な影響を与える。
名前の通り、私を助けてくれた、というか私を戻していたのはこのスキルだった。
自分の死を回避できるギリギリということは何とか乗り越えれる道があるということ。
なら時間経過も考えた方がいいのかもしれない。
すると”ガガガガ”という音が聞こえた。
「視覚調整」で遠くを見ると木々が倒れていくのが見えた。
しゃがめば避けれそうな高さ。私はすぐにしゃがんだ。
私が盾にしていた木も倒れた。木の下敷きになりそうだったけどなんとか大丈夫だった。
「さてとここまで見晴らしがよければ見えるはずだが...」
「視覚調整」で見た人影は今さっき私を殺した人だった。
「おーい。出てこーい。いるのはわかっている。まさか見失ってしまうとは。気配を感じ取られたか?」
出来るだけ息をひそめることにした。
見つかれば逃げ場がすぐに消える。どうすればいい?
すると少し鎖の音が聞こえた。その音はどんどん近づいてくる。
「なんだ?この音は?」
私もその人も上を向くと人が鎖につながれている。
鎖につながれている誰かが私とその人の真ん中らへんに大きな音を立てて着地した。
煙でよく見えない。その煙が少しずつ見えてきた。
あれは、有村君?どうして鎖に繋がれてるの?
「とりあえず着地成功....で、ここはどこだ?」
有村は辺りを見渡した。
お読みいただきありがとうございます。
いいところで終わりたかったのでくごーを登場させて終わりました。
次話もお楽しみに。




