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推しの幸せをお願いしたら異世界に飛ばされた件について(連載)  作者: あかね
出かける前のいくつかのこと

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忍耐とか必要です

 ごんと頭をテーブルに打ち付けましたね。


 ……なにが昔なじみなのですかね。駄神。曲解されるような言い方してるじゃないですか。知り合いもなにもって確かに昔から参拝してましたねっ! あなたそう思ってたんですか。いつも来てるからたまにはサービスとかそんなのりだったんですか? もしや。


 ユウリも黙っててあげるって何をっ!


 冷静になりましょう。無理ですけど、冷静に。


「あー、だから、最初、ああだったんですか」


 全部、知って、知らないふりして、あたしがどうするか見ていたんですね。最大限の警戒をしていたんですか。

 どこか間違えていたら、完全に敵対もありだったんでしょうね。


 どっかの神の伝え方に悪意があります。

 いえ、たぶん、人との付き合い方がわかってないです。必要情報っ! と叫いてようやくなにか斜め上の情報をぶん投げてきます。きっと良い笑顔ですよっ!


 次出てきたら問い詰めてやります。一度もそんな事言ってなかったじゃないですか。

 もっと別なフォローの仕方できますよっ!


「言うべきか……」


 クルス様に言ってないこと、それなりにありますよね。

 テーブルに突っ伏して起き上がる気がしません。ああ、隠し事のつもりもないのですが、言わずに済ませたいことはそれなりに。

 ユウリからうっかり漏らされる前に白状しますか。


 今更いらないと言われると困るのですが。

 テーブルに突っ伏してあーうーと唸るのも人には見せられないですね。部屋にでも戻りましょうか。

 微かな空気が動く気配を感じます。廊下の方が気温が低いので、少し冷たい空気が流れてくるのがわかる季節になってきましたね。

 ということはですよ。

 扉が開きましたね? ユウリでしょうか。一言文句くらい言って……。


「なにしてるんだ?」


 クルス様の眠たげな声でした。


「っ!」


 心臓に悪いです。飛び起きてノートを胸に抱いてしまいました。絶対、見られたくありません。幸い、閉じていましたので見られていないと思います。たぶん。

 クルス様もびっくりしたような顔なので、過剰反応だったのだと思います。


 まだ、扉を入ってきてすぐのようで今頃ばたんと音を立てて閉まりました。


「ユウリは?」


「薪割りに」


「ふぅん?」


 そのまま隣りに座られました。いつもとちょっと違うと思うのですが、なにか変わったところはあったでしょうか?

 じっと見ていれば、居心地悪そうに身じろぎされました。


「あ」


 青い石がついたピアスしてますね。片耳だけということろをみると装飾目的ではなさそうです。


「どうしたんです? 綺麗なピアスですけど」


「片割れが残ってるが、いるか?」


「穴開けてないので、残念ですけどつけられません」


「なくてもつけられる」


 クルス様はあくび混じりで、なんだかとても眠そうです。そして、理由は言われませんでしたね。訳ありそうです。


「どうしたんです?」


「反動が、しんどい」


「なんの?」


 眼を細めて、口元だけ笑われたのですが、とてもまずい気がします。


「おいで」


 膝の上に乗せられましたよ。腰をがっちり拘束されておりますので逃亡不可能です。横座りなのでなにか顔が近いのがとても心臓に悪いです。

 否を言う間もなく、なんで、そうなったのか自分で自分に問いたいですねっ!

 ノートだけはきっちり手が届きそうにないところに置いていったことが最後の理性って感じです。あれはダメ。


 それから重くないかと聞きたいですけど、肯定されたら立ち直れない気もして躊躇します。


「膝の上の猫でもないので頭撫でるのやめて欲しいのですが」


 そう言えば髪を少しとって口づけるのもけしからんと思います。


「いつも通りなら、我慢出来そうな気はしたんだがな。いつもと違うのがいけないと思わない?」


 責めるようで、とても満足そうなのですが。やはり結ばない方が好きみたいです。落ち着かないので、あとできっちり結んでおくことにします。

 少し睨むと余裕ありげに笑われます。


「このぐらいで我慢している俺って偉いと思わない?」


「このぐらいって」


 なかなか、やらかしている気がするんですけど。


「欲望の話でもするか?」


「お断りします」


 ……なかなかきてますね。状況がよろしくないですから、そこを考慮するような理性が残っていてよかったです。

 おそらく、一日は出てこれず、さらに半日は再起不能にされそうです。


 あ、額が近いので口づけていいですかね? ダメですよね。


 あたしにも忍耐が必要なんですけど、この姿勢。自分と違う体温を感じます。やっぱり少し低めのようです。冷え性とかなのかなとか余計な事に思考を散らさないとあたしの方が欲望のお告げのままに何かしてしまいそうです。


 視線を合わせるのもなにか恥ずかしい気がして、目についた髪に触れてみます。咎めるように視線を向けられましたが無視です。そこにあるから触るのです。それからいつもあたしは触られています。


「また、切るんですか?」


 伸びるとそうでもないようなんですが、短いと立つ系の髪のようですよ。今の方が落ち着いた感じがしますが、今度は緩くうねってます。


「邪魔でなければどちらでもいい」


「あたしは下ろしてる方がいいかなって……」


 邪魔そうにしてましたから、却下でしょうね。短いのも見慣れた感はありますので、落ち着きますけど。


「それならしばらくは伸ばしておく」


 楽しげに笑われましたけど、なにかよいところがあったのでしょうか? 疑問の顔のあたしの頬に触れて、それはまるでこっちを見てと言われているようでした。


「俺の願いも聞いて欲しいな」


 交換条件とは思いませんでしたよ。なぜかもっと引き寄せられて、合いそうになる目を逸らして少々の時間稼ぎをします。

 なにしたいかわからないふりはちょっと難しいですね。


「ものによります」


「目を閉じて」


 思わずぎゅっと瞑った目を笑われてしまいました。

 リップクリーム塗りましたっけ? なんて余計な事が気になってきましたよ。


 触れた唇は少し冷たくて、煙草の匂いがしました。変に緊張してもうよくわかりません。がちがちに固まってしまったあたしに少し困っているような気がします。うっすらと目を開けて、至近距離な金茶色の目にどきりとします。


 少し触れただけで離れていくものが寂しくて。


「もう少し、してもいいですよ」


 言葉が勝手に零れていました。

 ねだるようなそれに死にたくなります。なに言ってんです? 理性どこいきました? 自制心は、まあ、とっくにお休みしてましたけどね。

 あーもー、むりーっ! と叫ぶ煩悩が元気ですねっ!


 思わずうつむくくらいには動揺しています。


「今はこのくらい」


 甘く囁かれ額にキスをされました。

 離れかけたところできゅっと服を掴んでしまいました。戸惑うような視線が落ちてきます。こう言ってしまうのは間違いのような気はしています。

 それでも、もう少しくらいいいかなと。


「足りません」


 答えの代わりに再び重ねられたものは甘くて苦くて、とても心地良いものでした。……最初は。

 角度を変えて深くなるものに翻弄されて、途中からそれどころじゃなかった気がします。あれはどこかで箍が外れたのだと思います。

 貪られたというのが正しいような……。


「あ、あれは、物理的に、死に、ます」


 どうにか制止して、息も絶え絶えに訴えたあたしは悪くないと思います。涼しい顔のクルス様を見ていると魔導師って肺活量あるのかなと考えていました。

 詠唱が必要なものって量がありますからね。早口にもなりそうな気がします。


 現実逃避ですが。


「だから、するつもりがなかったのに」


 そういいながらまだ物足りないのか首筋を甘噛みされたりするんですけどっ!

 痕残るかなと呟くとこが不穏です。なんですか、その所有権を主張したい感じ。見られて恥ずかしいのはあたしなんですよっ!


「わかりませんよっ! そん……」


 その抗議は軽く触れるだけのキスで黙らされました。


「あー、もー、疲れ……」


 とか言いながらユウリが入ってきたのは間が悪いというのでしょうか。

 それとも確信犯でしょうかね?


 慌てて離れようとして落下しそうになって、逆にしがみつく羽目になるという……。羞恥心にやられます。胸に顔を埋めてもいいでしょうか。このいたたまれなさに耐性はありません。


「そーゆーの部屋でやって」


「二日くらい、籠城してよければ」


 ……一日というのは甘かったようです。今までもよく、なにもされなかったですね。そのあたりからの反動なんでしょうか。


「……わかった。我慢しろ。それと俺が労働している間にいちゃついてるな」


 ユウリに呆れたように言われました……。あ、うん、ごめん。さすがに反省します。

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