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推しの幸せをお願いしたら異世界に飛ばされた件について(連載)  作者: あかね
第二部が始まったようです?編

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条件について

「使った食器はそのままにしないでくださいね?」


 捨て台詞のように言って出てきました。

 8割は大丈夫なんですけど、うっかり何か思いついて始めちゃったりするんですよね。魔動具とか魔銃とかの話を。場合によっては何かを賭けてゲームとかしますね。

 そうなったらだいたい数時間は潰してくれます。あたしは初回で懲りたので、さっさと退避することにしてます。


 収納庫らしき場所から予備の毛布やシーツを用意します。なぜ、収納庫らしきというかというと元は普通の部屋に棚を用意して色んなものを詰めた感じがしたので。

 ここも使う分しか整理出来ませんでした。

 未使用品の毛布とかシーツとか袋に入れたまま放り込まれているという現状に立ち向かう勇気がないですね。


 買うまでで興味がなくなる習性でもあるのでしょうか。質は良さげなので買うまではちゃんと調べたんじゃないかなって思います。


 抱えてリビングに入ったんですが。


「……うっ」


 昨日のあれこれが頭を過ぎるのですが、記憶の底に押し込めます。

 ソファなんて犯行現場な気がします。

 ……考えない。


 なんとか無の心境でそれなりに整えます。枕はないので、クッションを活用していただきたいところです。

 ほっと息をついてなんとなく、一人掛けのソファにぽすんと座りました。

 戻りたくない気がします。


 しばらく、いなくなっちゃうんですよね。


 ゲイルさんから言い出すのはちょっと意外な気もしましたけど。禍根は少なくなる人選のような気がします。少なくともユウリから言い出されたら、ちょっとごねた気がします。

 それに鍛えるのに邪魔だと言われれば、引き留めがたいですし。

 うーん。謀られましたかね?


 段取りがあるでしょうから、すぐではないのでしょうけど。長く離れるのは初めてです。最長半日とかどれだけべったりなのかと。

 まあ、一日のうち顔を合わせる時間は思ったより少ないのですけど。


 食事時とかその準備とか、そのくらいでしょうか。最近の日課として、午前中のやることが終わったらソファで本を読んだりするのが加わりました。特別話をするようなこともなくお互いが好きなことをしているという感じですけどね。

 ほっとするというか、安心するというか。


 そこにいるのが、とても嬉しかったんですよね。思ったより、楽しみにしてたんですね。気がつきませんでした。


 当たり前のように続くと思っていたような気さえします。

 あり得ないのに。


 ため息しか出てきません。


 何事もないとよいのですが。

 ……たとえば、行方不明とか記憶喪失とか重傷とかそんなフラグはいらないのです。


 早く帰ってきてくださいとか、いつまでも待ってますとか、言ってはいけない気がします。そして、帰ってこないとかいうナレーションがつきそうです。そうでなかったら、他の地で暮らしていたりして……。


 まあ、幸せに暮らしていただければよいのですが。


 どちらかと言えば、ユウリがそのフラグの餌食になりそうですね。主人公ですから。いざと言うときは贄になっていただきたい。


 ……ひどいのは承知してますけどね。

 いなくなったら国の現状がやばくなりそうなのでよくないことです。そのことを軽く頭を振って追い出します。


 何かあったら許しませんからね、みたいな気持ちだけは残っちゃうんですけどね。そこは八つ当たり込みな気がするので、表に出さないようにしまっておこうと思います。


「……そういえば」


 うやむやにしていたと言う気はしないのですが、眠り姫についてよく知らないとか言われましたね。

 ちらりと本棚に視線を向けます。一番詳しそうなのってどこにありましたっけ。同じ種類で並べているので、すぐに見つかりそうです。

 気が向いたらと曖昧に隠されたそれが。


 気がつけば分厚い一冊を手に取ってました。どこ行きましたかね。自制心。今日のはお遊びが過ぎますよ。


 その本は辞典かと思うほど厚かったのですが、中身は研究書みたいなものでした。眠り姫とついた創作物を網羅したかたちのようです。初期型から分岐、表現の変化なんてものがちょっと興味深いです。


「解呪条件、かな」


 あたしの認識となにか違うんだと思います。索引がついていたので探すのは簡単ですね。


 元の魔法に近いほどに厳密になっていく解呪条件、ですか。簡単なのはおでこにキスから始まり。ほっぺとか愛の言葉とかになっていくわけですね。ハードルが上がっていきますね。

 あれ、でも唇にキスよりも厳密なのあるんですか? それに加えて?


 ……ん? んんっ!?


 ぱたん。本を勢いよく閉じてしまいました。


「見なかったことにしよう。そうしよう」


 元に近いものならば、互いの気持ちすら考慮に入れる必要があるようです。


 初期型は、魔導師の悪意があると思います。互いに思い合っていないと解除出来ないとかなんですかっ! いえ、確かに物語として考えれば、誰でも良いわけでもないのです。そんな簡単に解除されては困るんですけど。でもっ!


 あたしが発動したのはいったいどの眠り姫だったんでしょうね? なお、初期型は4ページ及ぶ、呪式とも思えないような形の詠唱と見えましたけど。

 そこまでの長いものを詠唱した気もしないので、きっとそこまで厳密でもないでしょう。


 一方的な好きでも問題ないもの。あるいは誰でも良かったもの。

 ユウリにされなかっただけよかったんですよ。うん。


 ああ、でも、なんかよく憶えてないんですよね。もったいない……。いえ、あれはきっと回数に入れてはいけないものです。

 解呪に必要だったから。それ以上はなし。そうでもなければ、許容量オーバーもいいところです。

 昨日今日と溢れてますけどね。


「はぁ」


 本を元のように戻します。


 それにしてもこの話、魔導師的にあまり好きになれないかもしれませんね。思い合うなら、幸せになれるかもと声をかけたかもしれませんし。

 魔導師の願いも虚しく、ヒロインは恋人を亡くし、行方不明になります。


 無情ですね。


 さて、もどりましょうかね。平静を装えるかは、ちょっとわからないですけど。


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