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推しの幸せをお願いしたら異世界に飛ばされた件について(連載)  作者: あかね
主人公編(仮)

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英雄が言うには


「そっちのほうがチートじゃないか。俺、話の筋知らないし、何でも手探りでやってきたのに。その上、魔導師の素質とか」


 ぶつぶつ言われてしまいました。

 そんなことを言われても自分で望んだわけでもありませんからね。……先ほどから、俺とか言ってますけど、僕は外面だったんでしょうか。

 口調もやや砕けてきた気もしないでもありませんし。


「あの神もどきにもあったわけ?」


「それが、なにも知らされず、放り込まれました」


 最初の方の出来事をかいつまんで説明しました。転移とかそんな話はしません。あくまで冷静に対応した風に伝えておきます。推しの話もしません。思い返しても恥ずかしい動揺っぷりでした……。


「マジで?」


「はい」


 ユウリは視線をうろうろさせて、なにか言葉を探しているようでした。ええ、なんと言えばいいかわかんないですよね。

 さすがにそうだとは思ってなかったようですし。


「大変だったな」


「拾ってもらえて幸いでした」


 逆な気もしているのですけど。

 おそらく、どこにいても送りつけられたような気がするんですよね……。たまたま、あの場所だっただけで。

 そして、ここがあの存在について相性が最悪だったので接触を取れなかったという落ちもついているのです。


 駄神。

 本気で、駄神です。


 チートの説明もしていけという話ですよ。割愛したのいつ戻ってくるの。


「町とかだと治安悪いところに出たらうっかり売られるかもしれないからなぁ……。王都だと知らないうちに貴族に売られて監禁とか……」


 ユウリはそんな物騒なこと言ってます。

 この微妙に人権がない感じが異世界っぽいです。


「黒い目で黒髪とわかった時点で、有力貴族と婚姻させられそうだし。なんなら、俺も候補にあがる……あ、そうか。だからか」


「はい?」


「あいつがものすごい警戒してんの。

 俺が連れて帰るとたぶん、皆がその気になって即結婚させられる。黒同士なんて希で、良い事のように見える」


 ……そう言えば前にリリーさんもそんな事言ってましたね。

 結婚、ですか。


「あり得ない」


「俺もローゼに殺される。嫌だ。戻ったら書類上、結婚する。絶対する」


 ユウリもかなり重度にローゼ好きですよね。

 ある種依存傾向というか。本編読んでるときには気がつきませんでしたけど。彼女だけは違うんですよね。


 ローゼはユウリを強い英雄視はしていません。

 かつて病弱で、でも賢かったユウリを守ろうという意識がまだあるというか。少なくとも守ってもらおうという気はないんですよね。

 実際強いんですけどね。魔銃使いですが、剣術もそこそこやりますし。ユウリの護衛として側にいると主張出来るほどには。


 ま、本人の方が強いんですけど、それはそれ。

 そして、この気質がヒロインっぽくなくなり、助けられるポジションに立てず、ハーレム要員を増やしている感じがします。


「それまでは、王都に呼ばないようにするから、そっちもなんか片付けて欲しいな」


「なにかありましたっけ?」


「魔導師の修行や能力なんかの把握が必要だろうね。わかりやすく、力が欲しいかな」


 ……は?

 きょとんとしたあたしの顔を見てユウリはため息をつきました。


「あいつの前で言う気にはならなかったんだが、黒いだけで、なんか特別扱いなんだ。国の中枢に行けばその傾向が強まる。間違いなく、どこかの有力貴族が囲いにくる」


「自由って」


「それを行使できるほどの力あればね」


 以前の来訪者たちは強かったんですね……。おそらく、最弱があたしですよ。

 ユウリは困ったような顔ですね。


「クルスの一門の誰かがついてくるんだろうけどさ、魔導師って貴族とは縁遠いどころか人と縁遠い場合が多くて、貴族同士のなんかって言うとあてにならない」


「……それはわかります」


「魔導協会のほうもなんか浮世離れしているっていうか、いまいちなに考えて行動してるんだかわからない」


「つまりは権力という意味では役に立たないと」


「おそらく。武力行使という意味では、王城くらい制圧できそうだから逆に怖い。めんどくさいからやらないってヤツ」


 爆弾の起爆装置を持たされた感じがします。


「それから俺が庇えば、その気があるって思われて即結婚な。だから、あてにしない」


「……行かなくていいですか?」


「そうなるとディレイの立場が微妙になる」


 なんでしょう。この詰んだ感。


「好き勝手されないだけの何か、修行しなよ」


 思わず遠い目になったのは仕方ないと思います……。

 ユウリもなにかこう悟りきったような顔なので、きっと通って来た道なんでしょうね。


「わかりやすいハニートラップなんてのには引っかからないと思いたいけど、それも気をつけるように」


「はい?」


「俺さ、初めて王城に行った日に、大貴族のお嬢様がたがとっても愛想良く振る舞ってきて恐怖を覚えた。そのくせ田舎ものって影で馬鹿にしてんの」


 ……わぉ。どこら辺の話ですかね。コマの隙間に落ちてた話でしょうか。

 あたしには常に愛想良く振る舞っていたように見えたんですけど。


「女の子なんだから既成事実作られないように本気で、抵抗出来るほどには真面目にやった方が良い」


 本当にこの世界、人権が微妙。力がなければ踏みにじられるし、それも普通だって認識されてるみたいで嫌なんですよね……。

 それはあたしが特別だというわけでもないのでしょうね。


「ま、そんな顔にはなるよね。もうちょっと何とかしたいとは思ってるよ」


 ユウリに見透かされたような気がします。軽く言われましたけど、全然軽くないですよ。


「そういえば、ディレイとは恋人って感じでいいんだよな?」


「……は?」


 予想外の方向から聞かれましたよ?


「いや、恋人がいるとかなんとかでごり押しも出来なくもないかなぁって……。なにその顔」


「え、えっとぉ。あたしは好きですけど、恋人というわけでは……」


 ないですよね? うん、なにか相互に確認したわけでもありませんし。

 一方通行、とは言いませんが温度が違う気がします。


「は? 嘘だろ。いやいや、あの甘ったるい感じでなんでそうなってんの?」


「そう言われましても。なにもありませんし。精々、手を握ったくらいで」


 その他については黙秘します。


「いや、うん、なんか」


「なんか?」


「悪い事言ったなぁって」


 すごく、遠い目をされたんですけど、なぜですか?

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