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推しの幸せをお願いしたら異世界に飛ばされた件について(連載)  作者: あかね
招かざる……編

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眠り姫 1

 目を開けたら、至近距離に金茶の目がありました。

 ……はい?


 狼狽えたようにクルス様に離れられましたけど。今、なにされてました?


「……おはようございます」


 現実逃避にもほどがある言葉ですね。あたしも大混乱中でして。


 ええと、唇に残る触感が嘘みたいな現実を伝えています。良く事情も理由もわかりませんが、キスをされたようです。


 ……真っ白になりますね。意識がもう一回寝たいと主張しています。良くわかんなかったからもう一回っ! とどこかで主張している声も聞こえてきます。

 え、もう一回って。


 起き上がってあたりを見回しますがユウリはいないようです。


 見られたらと思えばいない方が良いのですが、なぜでしょう。今、とても危機感を覚えています。

 うっかり解答を間違えると大変なことになりそうな気しかしません。


 膝を抱えてしまったのは防衛本能によるものでしょうか。それとも墓穴?

 隣りに座られると意識しないなんて無理ですよね。意味もなく、手をまじまじと見るとやけに白い気がします。仕事上あった小さな火傷の痕とかも消えています。


「よく眠れた?」


「生まれ変わったみたいな感じですね。傷もなくなって」


「へぇ」


 ……見せた手をそのままするりと撫でられたのですが、ぞわっとします。嫌じゃないんですが、こう、なにか別の意図がありますよね?


 作り替えれば物理的な欲求ってなくなるのでは?

 全く、隠す気ないですよね?


「何を使ったか、わかってる?」


「いいえ。眠る系なのしかわかりません」


 そう、何も理由なくこんなことすることはないと思います。たぶん。


「……眠り姫(ブリス)


「は?」


「本当に、好きなんだな」


 絶句、です。


 キスされたってそういう、そういうっ!!!


 事実だけ言えば、眠り姫の魔法を自分で自分にかけて、眠ったところを好きな人のキスで起こしてもらったという感じです。


 なんていう自作自演っ!


 なるほど、弟もどきが楽しいとか言い出すわけです。あたしは全然楽しくありませんっ!


 死にたい。


 むしろ精神的には今、死にました。


 しばし、意識が仕事を放棄しました。


「ご、ごめいわくをおかけしました」


 棒読みというよりカタコトな感じでした。

 明日と言わず、今からどんな顔していればいいのかわかりません。……まあ、今までも駄々漏れであったので、今更とも思いますが……。


 そんなことを言い出すあたしを少し不思議そうに眺められた気がします。


「ああ、詳しくしらないのか」


 クルス様に勝手に納得された気がします。

 そして、なにか余裕のようなものを取り戻したようなんですが、なんでしょうね?


「なんですか」


「気が向いたら教えてやるよ」


 頭を軽く撫でられて。


「それにしても、本当に黒いんだな」


 ……しれっと髪をとって口づけるとかなんですか。それは。

 うっかり、黒いって情報をスルーしそうになりましたよ。


 確かに真っ黒で、前よりちょっと伸びてます。染め直ししないと駄目ですかね……。まだらでも良いので自力で何とかしたいと思います。

 クルス様に言えばやってくれそうな気がしますけど、精神の摩耗が激しすぎます。


「同じようで、少し違う」


 そう言って顔をのぞき込んでこないでくださいっ!


「そ、そうですか? ち、ちかいですって」


 拒否というものでもないのですけど、もう、今日は無理ですっ!

 今日だけでなくてももう無理ですっ!


 なんていうか、楽しげと言いますか、慌ててるあたしを見るの楽しんでますよね?

 このまま行くと押し倒されちゃうんですけどっ!


「あーもー、痕跡残ってないっ! むりっ!」


 ばたんと扉が開きました。

 ユウリです。

 思わず扉の方を向いたので、目があったんですが。


「……僕さ、結構真面目に色々見回ってきたけどさ、なんでいちゃついてんのかな?」


 怒られました。理不尽です。

 クルス様は舌打ちしてますし。


 とりあえず、離れて座れと言われ嫌そうにクルス様が離れましたけどね。

 ええと触れないくらいの距離に座ったのが離れたと言えるなら、ですけど。ユウリの白い目があたしには痛かったのですが……。


 理不尽です。


「目覚めて良かったよ。眠り系はやたらと数が多くてどれかわからないって言ってたから」


「ご心配をおかけしました」


 ユウリには真面目な顔で言いましたけど。

 ……もしかして駄目もとでしませんでしたか? クルス様。いや、まさかね。

 確信も無しに、してませんよね?


 クルス様をじっと見るとほんの少し身じろぎして、少し距離が離れました。


 ……あやしい。

 とても、あやしい。


 あたしの行動に不審を感じたのかユウリも怪訝そうな表情になってますね。


「……なんかしたの?」


「解呪しかしてない」


 確かにそうでしょうけど。あたりじゃなければどうする気がだったのでしょうか。

 いえ、眠ってるのですから、なかったことにしたんでしょうけど。


 そう考えればあの狼狽のほどもわかるような気がします。なんというか後ろめたい感じですか。そうですか。


 ぜんっぜん、影響抜けてないじゃないですか……。どうなってるんです……。

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