表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
推しの幸せをお願いしたら異世界に飛ばされた件について(連載)  作者: あかね
日常編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/263

帰宅しました。

 昼食後、帰宅しました。

 途中言うべき事はほとんどありません。行きと一緒な感じでした。

 クルス様が、はいはい、大丈夫だからと雑に扱ってきたくらいです。呆れてましたよね。


 ジャスパーは降りれば、なにしてんの、とやっぱり目線を送ってきました。はい、大変申しわけございませんでした。


 成果があったのかなかったのか微妙なお出かけでした。


 いえ、リリーさんと面識をもってそれなりに仲良くなった気がするのは良い事です。冬服も買いましたし、リリーさんのお下がりの服もいただけました。

 ゲイルさんとも料理の話で盛り上がった気もします。


 でも、本命の調べた結果が謎の白紙なので色々保留になったのですよね。調べてみるからとゲイルさんのところに一枚、あたしも記念にと言って一枚もらい、最後の一枚はクルス様が所有しています。


 町を出てきたのが遅かったので既に夕方に近く、買ってきたものを軽く片付けたくらいで暗くなってきました。

 荷物もそんなになかったのですが。

 あまり町に来るのも問題があるだろうと配達を使う事にしたそうです。通常の範囲は逸脱していますが、そこはコネとお金で解決したようで。それでも週に一回、森の入り口までだそうです。

 初回は来週、ゲイルさんも来るそうです。そのころにはリリーさんの休暇も終わって、暇になるからということで。クルス様は嫌そうですけどね。


 片付けも終わりダイニングでお茶を飲んで、ぼんやりと夕食どうしようと話をしていたのですが、あくびが出てきます。


「眠いなら、部屋に戻れよ」


 そう言うクルス様もあくびしてます。


「はぁい」


 前科がありますからね。夕食は軽く済ませて、部屋に戻りましょう。

 ……と思ってたんです。


「まさかの寝落ち」


 思わず口から声が出てました。

 パンとか果物とかそのあたりをちょっと用意しにキッチンに行ってる間の出来事でした。


 椅子に座ったまま腕を組んで、少し頭が下がってるなとは思ってたのですが。

 クルス様、寝落ちしてました。

 そう言えば、寝顔見るのは初めてです。


 なぜでしょう。ものすっごいどきどきしてきました。

 なにか、気を許しているようなように思えたんですよね。


 まあ、単純にお疲れなんでしょう。体力ないとか、魔導師をおまえらと一緒にするなとか色々言ってましたし。


 今日は隣に座りたいですね。観察しても反応がないので、安心出来る気がします。


 茶色の髪は目にかかるくらいまで伸びてますね。後ろは首を隠すほどに。前髪はよくピンで留めています。おでこに傷があるんですよね。いつ、ついたんでしょうか。それとも作画の都合で書いてなかっただけですかね。

 他に顔の傷はないのですけど。


 眠っていると年齢不詳感が増しますね。比較するものではないですが、弟の子供っぽさが際立つ気がします。いや、そんな事で思い出すなよと叫ばれそうですけど。なんだかんだ言いながら甘えてきますからそーゆーところだぞ、とお姉さんは思うわけです。


 クルス様は年下なんですよね。忘れがちですけど。

 いえ、別にお姉さんぶりたいわけではないのですが、自分の不甲斐なさを感じます。


 もらうばかりで。


 ひとつでも、返せるとよいのですが。


 まずは、煩わせないことから始めるしかないのですけど。

 見ないとか、そんな事でしょうか。うっかり、いるなぁと見てる時があるのですよね。推しが動いているとかそう思うところが脳内のどこかを占拠してまして。

 怪訝そうな顔もされなくなりましたね……。どんだけ見てるのかと思いましたよ。


 そう言うときは、なんだか構ってくるようにもなったのですけど、そうじゃないっ! と思ったのです。

 ええ、ものすごく寂しがり屋みたいじゃないですか。

 そこにいるだけでいいんですって思いますが、言うわけにも。


 嬉しくないわけでもないのが……。

 知っていたことより、初めて知ったことの方が多くなってきている気がしています。

 声は思ったより低くなかったとか、それでも安心するとか、想像より表情があって笑うと目尻が少し下がるところとか。

 違うところも嫌ではないのですよね。


 深刻ですね。


 降り積もる気持ちが。


「嫌われたくは、ないのですけど」


 好かれたいの裏返しなのですよね。これ。


 自覚は、あるんですよ。

 これだけは全力で隠したい所存です。


 ……あまり自信はありませんけど。


 今だって色々ぐらぐら揺れてまして。ああ、髪の毛触ってみたいとかですね……。

 まあ、寝てるならいいですかね。

 そっと手を伸ばして恐る恐る触れてみます。硬めですが、刺さるほどでもないですかね。


「……あのさ」


 びくっとしました。わりと、はっきりとした口調です。クルス様、寝起きだともっとぼんやりとしたような感じなのです。寝起きでは絶対ありません。


「くすぐったい」


 声にならない悲鳴が出ましたよ!

 なんでしょう。甘い声に聞こえてしまって、自分の頭を心配するレベルです。


「寝てた?」


「え、ええ」


 そういう事にしといてください。あたしの平穏のために。

 クルス様は眠そうにあくびをして、聞いているのかわからないですけど。そのまま残っていたお茶を一口飲んで顔をしかめていました。


「夕食は終えたんだよな?」


「い、いいえ」


 不思議そうな顔されたんですけど。


「これが冷めるくらいまでの間、なにしてんだ?」


 お茶、冷めてたんですね……。長い間というわけでもないですが、少しでもない時間、何をしていたか疑問にも思いますよね。

 ……クルス様を眺めていたとか言えません。すぐにバレそうですけど、言えません。


「考え事です」


「ふぅん?」


 意味ありげに見られたと思ったのは被害妄想が過ぎるでしょうか。

 クルス様はそれ以上はなにも言わずに立ち上がり、キッチンの方に向かいました。お茶でも入れ直すんでしょう。


 待つべきか否か悩むところです。

 とりあえず、座りましょう。


 小さな物音にほっとします。

 ほどほどの距離があいてると安心出来ますよ。


「寝るなよ」


 睡魔がやってくる前に注意がきました。


「はぁい」


 我ながら随分と眠そうな声ですね。

 あくびをしながら待ちます。

 とても平和です。幸せと言っても良いかもしれません。


 いつか終わるぬるま湯みたいな生活です。


「寝るなと」


「起きてますっ!」


 意識がどこか行きそうになってましたが、気合いで起きます。


「それは残念だ」


「はい?」


「つぎにやらかしたら、部屋に連れ帰ってやろうとおもってたんだが」


 ……はい?

 いえ、なにか頭が理解を拒否したので、スルーすることにしました。つまらなそうな顔しないでください。

 いったいどこまで本気なんでしょうか……。え、やっぱり部屋に鍵はかけるべきですか?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ