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少女マリーと父の形見の帆船  作者: 堂道形人
後始末記

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42/44

ミゲル「かのマリー船長の親友にして!(キリッ)貴女の、ミゲルです」ホステス「キャー渋い」

第一作はこれにて最終話となります!

御付合いいただきまして誠に有難うございます!

 海軍の兵士や士官が辺りに大勢居て、船のそこらじゅうに索具を張っている。どうやらリトルマリーは、どこかに連れて行かれるらしい。


「どういう事ですか!」


 私はリトルマリーが拘束されている波止場へと駆け出す。

 船の荷物は海軍の作業員によって手際よく運び出されていた。船長室の私の私物、バニースーツが入っている箱も……


 私の水夫達も。皆船から降ろされていた。

 ウラド、アレク、ロイ爺、不精ひげ……皆ぼんやりとその様を見ていた……


「何で黙って見てるのよ! ウラド! 太っちょ! 私達の船よ、何で!?」


「いや……船長、海軍で何があったの?」

「あったのじゃないわよ太っちょ、何で……」


 アレクが、桟橋の先を指差した。


 甲板の長さは20mを超えるくらいだろうか……勿論リトルマリーよりは大きいがそこまで大きな船でもない。

 マストは1本だけ。この大きさの船にしては少ないかもしれない。

 決して大きくはないが船尾楼がついている。速さを重視した船なのか、上甲板の凹凸はなるべく減らしてある感じだ。

 塗装も真新しく船体もスマートで美しい。よく解らないけど、リトルマリーと違い、高価で丈夫な材料をふんだんに使った船のように見える。


 これが、何よ?


「海軍がどうしちゃったのか聞きたいのはこっちだぞ……気持ち悪いだろう? リトルマリーは海軍がドックに入れて整備するんだと。で、代わりにそのスループ艦を使っていいと」


 不精ひげが珍しく困惑顔で腕組みをしている。


「おお! 貴女はマリー船長!」


 後ろから誰かが呼ぶ。振り向くと……誰だっけ? 口髭を丁寧に整えた海軍艦長、赤毛の……


「ここでお会い出来るとは! 貴女の! ミゲル艦長ですぞ! ワハハ……ブルマリンで一暴れなさったそうで、さすがあのフォルコン船長の後継者ですな!」


 ミゲルおじさん……はそう言って私の両手を取りブンブンと上下に振り回す。ああ、この握手をする人。思い出した、バトラ港に居たボルゾイ号のミゲル艦長だ。

 あと……ブルマリンで暴れたのは私じゃないんです、謎の貴公子です、


「もう御覧いただきましたか! アイビス海軍の新造スループ艦、フォルコン号ですぞ! 聞いて下され、命名は私の案が採用されました。ハハハ! ま、同じ案を出した者が二十人は居たそうですが」


 は?


「武装はまだ済んでいませんでしたが、貴女が乗るのならちょうどいい! フォルコン号船長、マリー・パスファインダー! 何と素晴らしい響きでしょう。ハハ」

「ちょっと待って下さい!」

「ええ、勿論。何なりとお申し付け下さい」

「どういう事なんですか!? 何でリトルマリーを取られるんですか? 何でフォルコンを押し付けられるんですか?」

「船長、失礼を言ったらいかん、こんな立派な船……」


 ミゲルおじさんに矢継ぎ早に質問する私を、ロイ爺が一言たしなめる……そうだよ、確かに立派な船……だけど! リトルマリーは私の、父の船だ。


「リトルマリーはどうなるんですか!?」


 ミゲルおじさんは懐から樫か何かのパイプを取り出し、口にくわえた。火はついていないようだけど……何なの、その間は!


「では……御存知無いのですな……? リトルマリー号はかつてタルカシュコーン事件に関わり、先日はブルマリン事件に関わった、いわく付きの船……その事に……我等が敬愛すべき国王陛下が、深く興味を持たれたのです」


 ……


「遠からず陛下はリトルマリー号に御上船ごじょうせんあそばされるでしょう。それ故、この船に間違いがあっては困ります。乾燥ドライドックで徹底的に整備した上、塗装や補修も施さないと。破れた帆や継ぎぎマストなどもってのほか」


 ……


「御安心下さい。陛下の御気が済めばリトルマリー号は帰って来るでしょう……おそらく……」


「え」「ええ」「えええ」「ええええ」「えええええ」「ええええええーっ!?」



 国王陛下の気まぐれに始まり、国王陛下の気まぐれに終わるのか?

 さっき中将閣下が言いそびれていたのはこの事か。

 海軍が介入した、本当の理由。


 国王陛下が、リトルマリー号に乗ってみたいと言い出したから……



   ◇◇◇



 私達は新しい船に荷物を運び込む。うわー。新しい木の臭いが凄い……

 これは借り物なのか? それとも貰えるのか? それはミゲルおじさんも知らないらしい。

 そもそもこんな立派な船、6人で動かせるのか? マストは一本だけど……



 はぁ……


 こんな船……



 嬉しくない訳がないッ……! 船長室、いや艦長室も広い! なんか速そう! かっこいい! あっちもこっちもぴっかぴか!

 しかも……名前はフォルコン号? そんな事言われたら……まるで私の船みたいじゃないか……!



  ☆☆☆



ロイ爺「信じられん……本当に出航許可証が出たぞい……スループ艦フォルコン号、マリー・パスファインダーを船長とし出航を許可する、と……」

アレク「すごいよ船長! 海軍からこんないい船巻き上げて来るなんて!」

不精ひげ「船員室も広いし士官用の個室まであるぞ。会食室も普通に全員入れる」

アイリ「ちょっと見て、調理室があるわよこの船! 私ここ使っていいよね?」

ウラド「舵が軽い。ギアが贅沢に入っているのだな。物足りないぐらいだ」

マリー「参ったか! さあ皆出航よ! そうだ、まずレッドポーチに行こう! オーガンにこの船を見せつけてやるのよ!」

不精ひげ「いいなそれ、それならオレンジをたっぷり仕入れて南大陸へ行くのはどうだ! 船長が風を操れば三日で着くぞ、この船なら」

マリー「よーしやっちゃえ! その調子なら金貨1万枚の借金なんかすぐ返せるわよね!」

アレク「じゃあ東に100kmだね、肩慣らしにちょうどいいや、何時間で着くかな」

ロイ爺「風も5時方向、順風じゃな……ホッホー! なんと加速の鋭い船じゃ!」

ウラド「この舵なら……何なら船長が持ってみるか? 出来るんじゃないのか」

アイリ「船長に出来るなら私にも出来るかな!? いっぺん持って見たかったの」

不精ひげ「ちょっと待て、どさくさに紛れて船長、大変な事言わなかったか?」



「船長」「船長……」「船長?」「船長!」



「マリー船長!!」



 もうバルシャ船でもバニーガールでもない!

 だからこのタイトルはおしまいっ! ※

次章「マリー・パスファインダー船長の七変化」に続きます。

マリーの冒険はまだまだ! ぜんぜん! 終わりません! 続きます!

どうか続きも御覧下さい! 下の方の「マリー・パスファインダー冒険と航海」のリンクから飛べます!



「何でもありの大航海時代ファンタジーだからってバルシャ船の船長がバニーガールはないと思う」

公開当初の旧題は本当に↑これでした……

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シリーズ第二作
マリー・パスファインダー船長の七変化

シリーズ全体の目次ページ
⚓マリー・パスファインダーの冒険と航海

ご来場誠にありがとうございます。
この作品は完結作品となっておりますが、シリーズ作品は現在も連載が続いております。
宜しければ是非、続きも御覧下さい。
そして、ご感想を! ご感想をいただけますと大変励みになります!
短いものでも途中まででも結構です、ご感想をいただければ幸いです!

何卒宜しく御願い致します!



【アニメ】⚓マリー・パスファインダーの冒険と航海 30秒予告編
30秒予告編
オリジナルアニメの30秒予告です!


【アニメ】マリー・パスファインダーの冒険と航海 本編
アニメ本編
そしてこちらがオリジナルアニメの本編です!


【アニメPV】『じゃがいも警察のコロンブス交換ラップ』
エンディングテーマ
⚓マリー・パスファインダーの冒険と航海EDテーマ
― 新着の感想 ―
素晴らしい出来たった 胸踊る物語、あざます!
本編完結お疲れ様でした、と後から言ってもしようがないのですが、続きを考えると第一部完結、という感じでしょうか。 わらしべ長者のごとく、船も評判もどんどん上がっていくのかなあ。 1万の借金は、利息も膨…
[良い点] ああ、レッドポーチとオレンジの話が懐かしいよう。 すげえな、御召船になるのか……!!!
感想一覧
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