チュートリアル
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1年生の教室は全て3階にある。見回してみると全部で8クラスあるみたいだ。1クラス20人。ちらほら同級生たちが走って、それぞれの教室に入って行くのが見える。
オレ達もモッヒーから教室に入っていく。その後ろからこそっとオレがついて行く。別に新しいクラスメイトがどんな奴らか分からなくて怖い。とかじゃないからね!
教室に入ると一番に黒板に大きく書かれたお手本のような字が目に入った。
『教壇にあるガチャを回して席を決めて下さい』
他のクラスメイトはもう席に座っていた。どうやらオレ達はヒューファンに夢中になって来るのがギリギリになってしまったようだ。だから他のクラスの奴は走ってたんだな。
あと空いてる席は3席ある。つまりオレ達以外にもう一人まだ来てない奴がいるみたいだ。
「残る席は3つしかないけど、一応回しておくか」
「せやな!一番前が2席とその1つ後ろの席が1席か。ハズレしかないやん」
そうなのだ。もう空いてる席は前にある3席だけ。誰か裏で仕組んだんじゃないのか?
こうなったら意地でも前から2列目の席を引き当ててやる!
どっちから回すか決めるより先にモッヒーが回していた。
「おっ!ラッキー!わい後ろの席やったわ」
「なんだと⁉︎」
グッバイ。オレの青春。今日はガチャ全般に見放されていく運命らしい。
それでもオレは奇跡を信じてガチャを回した。ガラガラガチャッ。
結果。オレは一番前の左から2番目。モッヒーはオレの1つ後ろの席。
早く席替えしないかな。オレが元も子もないことを考えていると教室の扉がガラガラと音を立てながら開くと、中年男性が一人入ってきた。これと言って特徴のない、THE・普通の男性。分かりやすく例えると「ちび●●子ちゃん」に出てくる担任の先生を想像してほしい。あんな感じだ。
そして、その後ろから見覚えのある美少女が一緒に入ってきた。
確か彼女は新入生代表の…名前が出てこない。
「おい!宝陽、見てみい本物の三関詩音やで」
後ろから小声でモッヒーが話かけてきた。
モヒカンが肩に刺さってチクチクするのが気になる。
だが、お陰で名前が分かった。ナイスモッヒー!
今日はガチャのショックや親友の髪型が気になって、他人の名前を覚えれるか微妙なところだけどな。
モッヒーは芸能人をみた時の様な反応をしていた。
それはモッヒーだけが例外ではなく、クラスメイト全員が男女関係なしに見惚れていた。
「三関さんは空いてる席に座って下さい」
「分かりました」
すると、詩音がモデルのような歩き方でこちらに近づいてくる。
空いてる席とな?オレの左が1席空いてるな。つまり詩音はオレの隣の席なのか?まさかな。だが詩音がこっちに近づいてくるのが動かぬ証拠。
一瞬目が合い、何か言いたげにしていた気がするけど気のせいだろう。
そしてオレの左隣の席にちょこんと座った。
それと同時にクラスの男子全員からオレへ嫉妬の目を向けられた。
ざまーーー!!!ふははは!!!
最高の気分だった。詩音には、あまり興味ないが注目されるのは嫌いじゃない。むしろ好きな方だ。それなのに人見知りはするという難しい性格なのは自覚済みだ。
席替え?何それ?美味しいの?
カムバック。オレの青春。ひゃっほーい!
教室から漂う異様な空気を気にせずに先生は最初のホームルームを始めた。
「入学おめでとうございます。この1年3組の担任に就任しました。華神白明です。皆さんよろしくお願いします」
そう言うと黒板に華神 白明(かしん はくめい)と書いた。
その場にいる全員が思ったであろう。
ーーー完全に名前負けしてる。
「ノーマル先生」
誰かがボソッと呟いた。
全員この顔で華神先生はないな。と感じたらしく、そのあだ名が定着するのに1日もかからなかった。
ノーマル先生はそんなあだ名など気にせずにホームルームを始めた。
「本日のホームルームの時間は、皆さんの自己紹介と本校には欠かせないアプリのチュートリアルをしていただきます」
自己紹介なんて何を言えばいいのだろう。いきなりオレにはハードルが高いイベントだな。
「それでは早速ですが、三関さんから横へ順番にお願いします」
「はい!」
入学式の時と同じ凛とした綺麗な声が教室中に響き渡る。
「皆さん、こんにちは。南中出身の三関詩音です。誰でも気軽に話しかけて下さいね。これから一年間どうぞよろしくお願いします」
詩音は最後にお辞儀をして着席した。その瞬間、オレ以外のクラスメイト全員がスタンディングオベーション。
いやいや超普通の自己紹介だったよね?次オレの番で、めっちゃやり辛いんですけどー!
でもやるしかない。やってやんよ。オレの本気見せてやる!
「中央中出身、六弦宝陽。ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたらオレのところに来い!以上」
やっちまったーーーーー!
緊張し過ぎて、ハ●ヒみたいな自己紹介しちゃった。わざとじゃないんだ。テンパってたんだ。髪が天パってるのは生まれつきだ!
後ろでモッヒーだけが大爆笑している。他のクラスメイトは若干引き気味。
その後も自己紹介は続いたが、失態を晒した後のオレには記憶が残らなかった。
モッヒーの自己紹介ですら、モヒカンヘアが気になり内容が頭に入って来なかった。
こうして、全員が自己紹介を終えた。
そして、ここからアプリ学科、待望のチュートリアルが始まろうとしていた。(今のオレにはどうでもいい)
私立夢丘高等学校のアプリは学校側が用意する本人専用の端末が必要になる為、入学するまではプレイ出来ないのである。
ノーマル先生がクラス全員に端末を配っていく。
「本人専用の端末が届いていない人がいれば、挙手するように!」
ノーマル先生が特徴の無い声でクラス全員に問いかける。
手を挙げる者はいない。
「全員に届いているようなので、チュートリアルを始めます。黒板に流れを書いていきます。分からないところがあれば、遠慮せずに聞いて下さい」
ノーマル先生が黒板にスラスラと書いていく。
『1.アプリストアで「私立夢丘高等学校」と検索
2.「ドリヒル」と表示されているアプリをインストール
3.インストールし終えたらアプリを開き、IDを入力しログイン(次回から自動ログインにチェックを入れる)
※IDは自分の生年月日を数字だけ入力』
「ログイン出来たらその画面で止まっておいて下さい。全員がログインでき次第、進めたいと思います」
ログイン出来るとそこには自分に似たアバターとパラメータが表示されていた。
パラメータ表示はこんな感じだ。
【名 前】:HOYO
【レベル】:1LV
【体 力】:10
【攻撃力】:1
【防御力】:1
【回避力】:1
【魔 力】:1
【装 備】:制服(HP+10、その他+1)
【スキル】:なし
どうやら学校側が最低限の情報を入力してくれているようだ。
最初なので、かなり弱い。
クラス全員すぐに、ログインが完了したようだ。
「それでは、クエストを一つクリアして見ましょう。先生を無視して先々進めてしまうと、画面の右下にあるポイントが0Pになり、退学になってしまう可能性があるので気をつけて下さい」
画面の右下には10Pと表示されている。
このポイントが多いのか少ないのかオレ達には分からない。
そのせいかクラス全員がその言葉に少なからずビビっている。たった一人を除いて。そうオレだけはそんなことは、どうでも良くて、一人で先々進めてしまっているのだ。なにせオレの今日学校に来た目的は気晴らしなのだ。
せめて、このアプリだけはオレを満足させて欲しい。(さっきまでの失態はもう忘れている)
操作方法はヒューファンと変わらなかった。タップした方に進み、モンスターに当たるとバトルモードに入るという仕組みだ。バトルモードはヒューファンの時もそうだったが、かなりのテクニックを要求される。ついでに人や物に当たると、会話が出来たり、物を調査したり出来る。
ヒューファンをモデルにしてる時点で、面白そうじゃないか。
初クエストの内容はスライム10体討伐。スライムは色々なステージにいるので、探し回って討伐しないといけない。
すると、途中でゴーレムっぽい奴が出現。勝負を挑んで見よう。
オレの前に平伏せ!!!
1撃で殺された…強過ぎだろっ!
オレを舐めやがって。後悔させてやる。
5回の挑戦でなんとか倒せた。まだ装備品がない為、殴る蹴るで倒すのに時間がかかった。制限時間が無くて良かった…
今回のクエストは一回死ぬ度に1P減る設定だったようだ。オレのポイントが残り5Pとなっている。
後々の話によると、ゴーレムに出会わずクリア出来る方法もあったらしい。
ゴーレムに夢中で聞いてなかった。
「それでは皆さん、お疲れ様です。これでチュートリアルは終了です。あと最後に入学試験の結果を返却します」
まぁトップじゃないにしろそれに近い結果だろうと思って見てみると。
「なんじゃこれは!!!」
オレは目を疑った。
これが本当に天才なるオレの試験結果なのか?
「どうしたんや?宝陽」
「どうもこうもねーよ!学力、アプリ実力、Q&A全てが学年最下位なんだよ!」
「わいより学力下やん。宝陽そんな、あほやったんやな。知らんかったわ」
「そんな訳あるか!そんなモヒカンヘアの脳と一緒にするな!」
「モ、モヒカンは関係ないやろ!モヒカン馬鹿にしたらあかんで!」
オレがこのモヒカンより下なんてあり得ない。
明日、理事長に抗議しに行ってやる!
「それでは本日のホームルームを終わります。お疲れ様でした」
ノーマル先生がそう言い残して、出ていってからは自由解散になった。
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