クラス分け
前回、次回は来週に投稿すると言ったのですが、予定を早めて今日投稿することにしました!
ここ私立夢丘高等学校は全国でもトップクラスのアプリゲームに特化した超難関高校であり、入学試験もそれなりの難易度となっている。この高校を無事に卒業することが出来れば、国に雇われるプロプレイヤーとして活躍を約束されると言っても過言ではない。卒業出来ればの話だがな。毎年、入学試験は約40万人ほど受験するが、2500人に1人程しか合格しない。もう分かると思うが、私立夢丘高等学校に入学できるというだけで相当なエリート達なのだ!
つまりオレもエリート!(本人は一般科目、最下位、アプリ実力テスト、測定不能のことを知らない)
今年の新入生は160名。毎年こんなものらしい。その内、卒業していく者は40名と言われている。なぜ卒業出来ない者がそんなにいるのかと言われると、アプリ学科には、ポイント制度というものがある。学校から渡されたポイントが0Pになると、退学させられてしまうのだ。
なんて厳しい世界なんだ。
更にこのポイントを賭けてのクラス対抗戦での大会やゲームアプリ内でギルドバトルがある時も…
おっと!ここからはネタバレになる恐れがあるので、今回はここまでにしておこう。
なぜこんな説明をしたのかと言うとクラス分けとは重要なイベントだと知って欲しかったからなのだ。(オレがエリートだという方が重要なのだが)
その重要なイベントがオレたちにも差し迫っていた。
入学式の後、新入生だけが体育館に残され、1つのアプリをインストールするように進行役だった先生に言われた。
指示通りにアプリストアを開き、「私立夢丘高等学校」と検索してみると、「クロ帽子」というアプリがあり、これをインストールするみたいだ。
インストールが終わるとオレは直ぐに真っ黒なアイコンをタップして、開いてみた。
すると、そこには顔の形をした黒いとんがり帽子がふわふわと浮いている画面が表示された。
まるで、ハリーポ●ターに出てくる寮の組み分け帽子のようだ。と言うかそのまま?いや気のせいだろう。そうだよね?だよね?そう信じたい。
気を取直して、とんがり帽子をタップしてみると…
「グリフィ●ドーーール」
多分この学校は「ピー」という最強効果音を使えばなんでも許されると思っているのだろう。
そして画面をよく見てみると、右下に小さく3組と書かれてあった。
周りの反応を見るに全員同じ仕様になっているらしい。
隣を見ると昇天がス●ザリンはあかん。スリザ●ンはあかん。と呟いている。かなりノリノリだ。
3組はどんなメンバーのだろうと不安と期待でそわそわしてると昇天がオレの携帯を覗いてきた。
「いやん!見ちゃダメ!」
いきなりオネエ風の口調になり、携帯を隠すオレ。
「ちょっとくらいええやないか。ええやないか」
昇天が鼻息を荒くして近寄ってくる。本当にノリの良い奴だ。
「やめろ。入学早々、変態扱いされるだろう。オレはお前とは違うんだ」
「待てーい!わいだけが変態みたいな言い方せんといてーな」
「何を言っている。事実だろう。違うのか?」
「違うわい!」
周りの生徒たちが昇天のことを白い目で見てくる。巻き込まれなくて良かった。悪く思うな昇天。
「それで結局何組やったんや?」
「ああ言い忘れていたな。3組だった。モッヒーは?」
「ほんまかいな⁉︎わいも3組やったで!高校でも一緒のクラスやな!モッヒー?」
「そうだな!オレの足だけは引っ張るなよ。モッヒー」
「モッヒーは、やめい」
オレは顔には見せないが、内心ホッとしていた。人見知りなオレはクラスで上手くやって行けるかどうか不安だったが、モッヒーがいることによって少し不安が解消された。
そして、この時から昇天の呼び方はモッヒーとなった。
教室まで行く間、モッヒーとヒューファンの話題で盛り上がっていた。
「ところで、モッヒーはヒューフェスもう回したのか?」
ヒューフェスとは、ヒューファンのガチャイベントである。
「いやまだやけど、ヒューフェスは今日までやし、わいもガチャ回しとこか」
「なに⁉︎お前課金カードを隠し持っていたのか?」
もし持っているなら力尽くで奪い取ってやる。
そして、先ほどついたあだ名のモッヒーを既に受け入れている。順応スピードが速い奴だ。
「ちゃうちゃう。無課金でコツコツ貯めた魔法石25個や」
「チッ。持ってないのか」
「持ってたら、わいの課金カード奪うつもりやったんやろ?」
「な、なんのことカナ?そ、それより早くガチャ引こうヨ」
なんて勘の鋭い奴なんだ。
ちなみにヒューファンは魔法石5個で一回引けるので、今回は5回引けることになる。
歩きながら教室に着くまでの間、モッヒーのデータだが、モッヒーとオレの交互でガチャることになった。これ誰かがガチャる時の定番のやーつ。
1発目はモッヒーからだ。
携帯にはもうレアガチャの画面が表示されている。
画面には天使と悪魔が立っておりタップすると、どちらかがキャラクターの描かれたカードを運んで来てくれる。
基本、天使の方がレアリティの高いカードを運んできてくれる。レア度は星1〜6まであり、今回はレアガチャなので最低でも星3は出るようになっている。
「しゃー!1発目行ったるでー。おりゃ!」
「どうせ星3の雑魚キャラしかでねーよ」
モッヒーが気合いを入れて勢いよく画面をタップした。
カードを運んで来てくれたのは天使。これは結構期待出来る。
今回は5連続ガチャを選択したので、どんなキャラクターが出たのかは、最後に分かる仕組みになっている。
続けて2回目。オレの番だ。画面には、また天使と悪魔が立っている画面に戻る。時々、天使しか立ってないパターンがあるのだが、その場合は星5以上が確定している。今回はそのパターンではないようだ。
「確定ではないようだな」
「残念やわ〜。まぁええわ!気合いを入れて頑張ってくれ。もし宝陽がレアキャラ出したら課金カード1500円分おごったるわ!」
「本当か⁉︎任せておけ!オレのゴッドフィンガーにかかれば余裕だ」
急に生きる気力を取り戻した。
そして、すました顔をしてタップすると、カードを持って来て現れたのは悪魔の方だった。
大見得を切った手前、若干変な雰囲気になる。
オレは何も言わず、携帯を渡した。モッヒーも何も言わず、携帯を受け取った。心なしか目で何かを訴えかけて見えなくもないがスルーした。
そしてモッヒーが無言で引いた3回目も悪魔がやってきた。ドンマイ!
オレのターンが来た。
「唸れ、オレのゴッドフィンガーーー」
オレは廊下の真ん中で叫んで、画面をタップ。それでもやって来たのは悪い顔をした悪魔。あれ?おかしいな…
モッヒーがジト目でこちらを見てくる。
「いや待てモッヒー。まだ結果が出た訳ではない!悪魔でもレアキャラが出たりすることもある!」
「確かにそうやな。結果次第やな」
そう言いながら何気なくモッヒーが画面をタップし、ガチャっていた。これまた悪魔がきてしまった。まさに悪夢。と二人が画面を見ていると悪魔が天使に姿を変えたのだ。この演出は星5以上確定の演出だったので、モッヒーは興奮した。オレは内心舌打ち。
「来たで!わいは天才やー!」
「まぁ星5以上でも使えないやつはいるし結果次第だな!早く見てみよう」
「せやな!結果が楽しみでしゃーないわ」
ここでレアキャラ引いてたら課金カードが手に入る。興奮してきた。
今回の結果が画面に表示されていく。
1回目。星4・アリス(女)
2回目。星3・アキヤマ(男)
3回目。星4・ナナミ(女)
4回目。星3・キタノ(男)
5回目。星6・ノア(女)【フェス限】
言いたいことがあり過ぎて何から言っていいのか分からない。
・オレは星3しか出てない(星3の出る確率20%)
・オレは男キャラしか出てない(オレにはそっち系の趣味はない)
・オレの親愛なるノアちゃんがモッヒーの手によって当てられた(最初から言いたいことはこれしかない)
「とりあえず、その携帯貸せ!叩き割ってやる!」
「なんでやねん!」
「オレのノアちゃんを奪ったからだ」
「なんちゅー理不尽な…」
好きな人を親友に取られた気持ちってこんな感じなのかと思っていると、1年3組の教室前に着いていた。
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