商人とスライム
本日二本目
誤字脱字がありましたらお知らせください。
「がぎゃっ……」
ゴブリンを二体殺した俺は最後の一体を首を絞めて殺した。
(何てそんなことするの?)
相方のアマネさんはたいして興味がないくせに足をぶらぶらさせながら聞いてくる。
俺がなぜ首を絞めて殺したか……答えは実験である。
ゴブリンの首を絞めてどれ位で死ぬか。それとも死なないのか
先程俺は目が覚めたゴブリンの首を絞めて殺したが死ぬに至るまで二分ほどかかった。
こんな実験をしようと思った理由はシンプルだ。
ゴブリンも空気をすって生きているのかが気になったからだ。
魔石を心臓がわりに生きる魔物こいつも空気を吸っているのか?
それとも吸っていないのか。
肺らしきものはあるので必要だとは思うが辞典にこんなことは書かれていなかった。
これから生きていく上で魔物の対処法がひとつ増えるのはでかい。
結果魔物も空気を吸っていることがわかった。
「ふぅ、じゃあ次の実験をするか……」
(次は何をするの……?)
「ゴブリンの解剖」
人の体の作りは覚えている。しかし魔物のは覚えていない。
いや、知っていたとは限らないけどさ。
なので人間とどれほど違うのか見てみたいと思う。
「始めますか。」
そう言って俺はゴブリンの頭に突き刺さっていたナイフを取り外した。
頭からは緑の血が少しの間涌き出た。
そして、頭にナイフを突き刺したゴブリンの体にナイフを当てる。
ブスッ
緑の血が出てくる。
スッー
………………
…………
……
四時間後、解剖は終わった分かったこと。
骨の数は約300本で人間よりも多い。
切り分けるのは大変だった。
臓器はほぼ人間と同じで違う点は心臓のあるべき場所に魔石が埋まっており魔石に血管のような管が取りついていた。
頭には小さめの脳のような物があった。
歯が鋭いのが特徴で腕の骨は細かった。
まぁとにかく、作りもわかってよかった。
途中からアマネさんは棺桶にはいっていってしまった。
「んーー」
俺は背伸びをする。
魔石は収集したしそろそろいくか。
コンコンコンと棺桶を叩く。
するとしばらくしてから、ゆっくりと開いてアマネが出てきた。
「うわぁ……」
キモいといっていたが解剖されたのには可愛そうに思っているらしく同情の眼差しをゴブリンだったものに向けた。
すると、ゴブリンの死体に引き寄せられたのかスライムがやって来た。
しかし、そのスライム少し様子がおかしい。
見た目が真っ赤なのだ。
大きさは少しだけ大きく、中の魔石も今までのスライムの比ではなく拳サイズもある。
俺はすぐに動いて、スライムから魔石を抜き取った。
これまでのように上手くはいかないと思ったがあっさりととれた。
魔石は見た目に反して青色の綺麗な魔石だ。
(その核魔力1000ある……)
「マジか。」
こんなにあっさりとれていいのだろうか……。
まるでわざとと思うようなうまい展開である。
それから、また赤スライムが来ないかと一時間ほど待ったが普通のスライムやゴブリン以外に来ることはなかった。
思わぬ収穫があったが、それ以外には特に色ちがいが出ることはなく普通のスライムとゴブリンをひたすら狩りながら歩いた。
途中珍しいことにスライムに乗ったゴブリンなんかもいた。
強さは変わらなかったが
そして核は稀に手に取ったときに形を変える。
スライムの場合、プルプルの布というか皮にそして、ゴブリンの場合は鋭い歯にこれは、ドロップアイテムっていうやつらしい。
それから、一日たつともうすぐ都市につくからなのかモンスターは出なくなり始めた。
そして、これまで以上に馬車とすれ違ったり、拙い装備をした冒険者たちともすれ違い始めるようになった。
どちらとも、俺たちを物珍しそうにじろじろ見たが話しかけてくるものはいなかった。
冒険者のためなのか露店なんかもちらほら出ている。
ポーション 銀銭二枚
鉄の胸当て 銀か一枚
など書かれているが割高なのだろう。
見てみたい気持ちがあるがお金もないし
我慢する
「あぁそこの君たち……」
後ろ側から声がした。
ん?俺たちかと思って振りかえると
シンプルな感じの露店が目の前に飛び込んできた。
売っているものもそこらの露店と何ら変わらない。
「そう君たちだよ。」
店主は深く外套を被っており顔は見えない。
しかし体格的に男ということは分かった。
声は結構低い。
「なんですか?」
「いや、いいからちょっと来なよ。」
といってこちらに手招きする。
「怪しい……」
と言ってアマネは棺桶から降りると俺の後ろに隠れた。
「いや、怪しくないって!」
「いや、怪しいだろ……」
「だから違うんだって、俺が怪しいかどうかなんてよりもさ、赤いスライムを見なかったかい?」
赤スライム?
あの倒したやつか?
「それなら、魔石を抜き取って倒したけど……?」
「本当かい!?そ、その魔石を譲ってくれないか?ただとは言わない。」
「いや、でも」
「見たところ装備は薄いが新米の冒険者だろ?」
「ええ、まぁ」
「じゃあ、うちのとびきりの武器と交換してくれないか?」
なんか、あやしいけどな……だが武器か……。
「見てから決めさせてもらっても?」
「あぁ、もちろんだ。」
すると男は今までとは違う箱を取り出した。
かちりという音をたてながら開けると中にはクリスタルが四つ入っていた。
「なんだこれ?」
これが武器か?
(クリスタルと言って武器や防具、日用品が特別な技術によって形を変えたもの。)
大きさは手のひらサイズで黒と赤の半透明だ。
「こうやって指を所有者がならすと」
パチンッ!
クリスタルは、一瞬にして黒が基調の赤の筋が入ったの一メートルくらいの鎌へと変わった。
他のクリスタルも全部形状は違うが黒色の鋏へと変化した。
すげぇな。
「さぁ、どうだい。交換してくれないか?
この鋏には筋力補助の効果が付与されているよ。それにこの鎌は幽体に対してのダメージ率が10%UPの効果がついているどうだい?」
さっき、ただのナイフでさえ銀銭一枚って書いてあった。そう考えるとこれはいい提案だと思うが……
「流石に虫が良すぎないか?」
これらの武器は最低でも金貨を出さないと買えないだろう。
そう考えるとやはり、虫がよすぎる。
男はキョロキョロと回りを見て小声で囁いた。
「実はクリスタル武器を作るのに青の魔石が必要でね。正直いうとこいつらは少し使い勝手が悪いのさ。剣やナイフなんかじゃないから売れなくてね。このままじゃ赤字だ。だから、新しい武器を作るためにも青い魔石を探していたんだけどね。それがとれるのが希少種だけなんだ。そして、強さは変わらないからね。捕まえるのは楽なんだけど経験値がとてつもなく入るんだ。だからこの価値を知らないやつらはすぐに討伐しちゃってね。この情報をいうわけにもいかないからさ。地道に探してるんだけどそしたら、気味の悪い赤いスライムをここらで見たって聞いてね。ここを通る冒険者に片っ端から聞いていたんだよ。」
この青い魔石にそんな力が……
「じゃあ交換で」
「いいのかい!?ありがとう」
ブンブンと手を握って振り回される。
理由さえわかればそれでいいそれよりもちゃんとした武器はほしかったんだ。
まだ剣とかには慣れていないから鋏や鎌でもなんとかなるだろう。
「じゃ、どうぞ。」
青い魔石を男に渡す。
「はい、確認してくれよ!」
男も箱をこちらに渡そうとする
「あ、箱は、いりません。クリスタルだけでいいです。」
「そうかい?」
俺はクリスタルだけを受けとる。
「あ、クリスタルは別に指をならさなくても、血をクリスタルに滴ながら変化方法をいうと変えられて、所有者登録ができるよ。」
「そうなのか。ありがとな。」
「お礼を言いたいのはこっちだよ。もしも、また希少種を見つけて余裕があったら商業ギルドでアクビラを訪ねてくれ。」
男はそういうと、すぐさま店仕舞いをして荷物を抱えているのにも関わらずすごいスピードでグラーデンの方に走り去っていった。
「……速いな。」
(どうする。)
「まぁ、とにかくほしい武器はあるか?」
アマネは武器がないからと言ってずっと戦闘に参加してこなかったのでちょうどいい。
「要らないって言いたかったけど、鎌とナイフを二本頂戴。」
「他の三本は?」
「ハサミとかあまり使えなさそう。」
「じゃあ、俺が使うか。まぁとにかく武器も調達できでよかったな。」
「うん。」
鎌を受け取ったアマネは異様に似合っており怖かった。
うっとりと鎌を優しく撫でている。
まぁ気に入ってもらえたならいいか?
そして、しばらくあるいて俺たちはグラーデンに付いた。