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メモリーストレージ ー記憶喪失ー  作者: 林檎の神
始まりの前奏
4/6

モンスター

誤字脱字がありましたらお知らせください

筋トレを終えて、体を拭いてからプーリルの木の下にいくと

彼女……アマネは起きていた。


「よぉ、おはよう。」


「よぉ」

そういいながら彼女はちょこんと手をあげる。


記憶を失ってどうでもいいと思っている俺も俺だが、異世界に飛ばされてあまり騒がないこいつもかなりすごいな。


「食料はある?…」

期待薄で聞いてみる。


(ない、なのでとてもハングリー)

お腹を押さえて見せる。

まぁ予想通りか。


「いや、俺もさ持っている食料って木の実だけなんだよね。」


(それでいい)


[運命共同体]って便利だな。


「これしかないんだけど」


そう言って俺はアイテムポーチから瑠璃色の木の実を取り出す。


「これって、魔石?」


マセキ……?


「マセキってなんだ?」


「だってこれ、魔力の塊なんだもん。」


言っていることが分からないので彼女の顔を見ると目の中に円が出来ていた。


「なんだその目?」


「あぁ……魔眼。」

アマネは怠そうに答えた


「魔眼?」


「そう、魔眼。神様によると色々ある眼で、私のやつは識別眼……眼に魔力を込めると大体のものを知っている語句で説明してくれる便利な眼。」


そう言って片目を瞑って眼の前でピースをする。


「へぇ、いいなそれ。」


「神様が色々と融通してくれた。」


「なんか他にももらったのか?」


「うーんと、貰ったのはローブ型のアイテムポーチと魔眼と……これっ!!」

そう言って羽織っていたローブからどすんと箱をを取り出した。

黒塗りの長い箱で人一人が入るくらいの大きさだ。

というか、あのローブアイテムポーチだったのか……。


「一つだけなんでもやると言われたから、これをもらってきました。」


長い箱にしか見えない

「なにそれ」


「棺桶……?」

疑問系で返されても。


「何に使えるの?その棺桶ってやつは」


「睡眠用、中は以外と広くて時間の流れ方も二分の一。何より、頑丈。」


……それで?


「そして?」


「以上です」


こいつはアホだな……。


なんでももらえるという状況でもらったのが睡眠用の棺桶……。

ある意味すごい……。


「りょ、了解」


……とっと。

話が脱線してしまった。


「ところで、その木の実が魔石ってどういうこと?」


「識別眼に、その木の実が魔力100蓄えているって見えるから。」


「魔力100ってどれくらい?」


「人の持っている魔力の平均が3000から6000らしいよ。」


「じゃあすごいの?すごくないの?」


「分からない。」


……うんよく分からない。


「しゃべるの疲れた。」


「はやっ。」

こいつ、体力もないのか。

頭も微妙で体力もなしか……。


(で、食べれるの?食べれるなら気にしない。)


「あぁ、結構美味しいぞ」

ほらっといって投げ渡してやる。


恐る恐る手にとってかじりつく。

カリッ……しゃくしゃく。

眼がキラキラしだした。

髪の毛の一束がぴーんっとなっている。


「おいしい!!」


「よかった。」


「やはり、あなたで正解だった。」


そう言いながら、五個ほど食べたら、腹も落ち着いたようで

満足げな顔をしている。


「で、お腹も一杯になったところでどうする?俺についてくるにしてもさ、神様に頼み事とかされなかったのか?」


そういうとうーんと唸りながらしばらくたって

「今は大丈夫。」

と言った。


今は……ですか。


「じゃあこの先にある都市グラーデンを向かうのでいいか?」


アマネはコクリと頷いた。


「じゃあいくか」


プーリルの木の葉っぱを数十枚摘んでから俺たちはまた道を歩き出した。


夜営を五日ほど繰り返しながら歩くとそいつにであった。

ぷにっとした外見。青の半透明なボディーに楕球体その中には小石ほどの玉が入っている。

モンスター図鑑の始めに載っていたそいつ。

名前はスライム……


「かわいぃ。」


「俺、モンスターはじめてだわ。」


「私も。」


スライムは弱小モンスターであり、中の核を破壊すると液体になってしまうらしい。


ぷるんぷるん。


「どうする?」


(やる?)


「まぁ、モンスターだし。」

そう言って俺は腰に差していたナイフを取り出す。


スライムと睨み合う。

相手に眼はないが。

スライムの中の核は体の中で、ぐるんぐるん回っている。

スライムが動いた。

体を震わせながら突っ込んでくる。

そして俺の体へとあたる。

バッチャーン。

……痛くもなんともない。


俺は余裕をもってナイフで核を砕いた。

一瞬でスライムは水へと変化する。


……これだけ?


(弱かったね。)


「あぁ……」


それからちょくちょくスライムが出るようになった。

大体が遅くて小さく、簡単に核を砕けた。


途中からは微々たるものだがお金になるらしいので核を抜き去る作業へとなった。


核は低純度の魔石らしく、アマネの魔眼いわく、魔力は5らしい。

と言うことはあの木の実すごいんだな。


それから一日ほどたつと、別れ道が現れた。

どちらも馬車が三台ほど通れるくらいに広くて整備もされており、俺達の通ってきた道とは全然違った。

草も葉の広いやつや木がちょくちょく出るようになった。


(四台目……)

アマネは棺桶の上ですれ違った馬車の数を数えている。

棺桶には鎖が繋がれており、俺が握っていてしかも数ミリ地面から浮かんでいる。

とても無駄にすごい機能だ。

アマネは初日以外この中で寝ている。


流れる時間は二分の一のはずなのに起きてくるのは俺よりも遅い。



俺は地図を確認する。

今までのペースならあと二日でグラーデンにつきそうだな。


(……あとどれくらい?)


「二日ぐらいかな。」


(そう。)


「というかなんで話さないんだ?」


(面倒くさい。)


「そうか……。」


そんな他愛もない話をしながらあるく。


数時間ほどたって

人間の子供くらいで肌は緑、腰に布を巻き付けただけの耳の長いそいつに出会った。

ゴブリンだ。


「がぎゃっがぎゃ」

数は三匹で手には石で作られたナイフと盾がわりなのか太い枯れ木の一部を装備している。

3匹は囲むようにしあって話し合っている。


「「「がぎゃっ」」」

相談は終わったようでこちらを獰猛な目付きで睨む。


(可愛くない。)


同感だ。図鑑にはスライムよりは強いが最弱種としてカウントされており、無駄に繁殖力が高く農作物に被害を与えると書いている。弱点は頭に右胸にある核らしい。


「がぎゃー!!」


スライム同様に三びきまとめて突っ込んでくる。

思っていたよりも早くなく

できれば核を少しでも多く確保したいので

まずはナイフを投擲し一匹の頭に刺す。

一匹はそれでびびったのか立ち止まった。

もう一匹はアホなのか相変わらず突っ込んでくるので

蹴り飛ばした。

それを見た最後の一匹は逃げようとするが逃がしはしない。

アレスさんにもらった片手剣をアイテムポーチ取り出して

首を素早く切り離す。


ビュッと剣に付いた緑色の血を払う。


「結構臭いんだな……。」

血からなのか鼻が曲がるような臭いがする。


(おぉー)


アマネはパチパチと棺桶の上で拍手をする。




「やっぱりさ、できるだけ話すようにしないか?」


「……なんで?めんどう」

えぇとアマネは怠そうに答える。


「そうかもしんないけどさ、考えたんだけど話さなくてもいいという利点はあまり知られない方がいいと思うんだよな。」

ゴブリンの相談を見ながら思ったことだ。


ゴブリンだったので話していることはわからなかったが情報は出来るだけやらないほうがいいだろう。


「成る程……それは分かった。でも、二人の時はいい?」


「出来れば馴れていた方がいいんだけど……」


そう言おうとしたとき、うるうると瞳を震わせながら上目遣いをしているアマネが目に入る。


「…………いいよ。」

はぁと俺はため息を付いた。


自分の甘さに先が思いやられるな……



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