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メモリーストレージ ー記憶喪失ー  作者: 林檎の神
始まりの前奏
3/6

天からの落とし物

気分投稿です。

誤字脱字がありましたらお知らせください。


歩き続けてはや三日になるだろうか?



「アレスさん、一日もすれば巨大なプーリルの木があるって言ってたけどさ……」


プーリルの木とは葉っぱを煎じれば熱冷ましの薬になる木であり結構一般的に見られるものである。


一日もすれば見えるって言われたけどいっこうに見えない。


……いったいどんなスピードで進んでいたんだよ……



それ以外に関して旅はなんとか、順調である。

モンスターも出ないし。食料もポーチのお陰で大丈夫

そういえば、昨日は流れ星が降ったのを見た。

白い光が満点の星空の中を落ちていく様はとても綺麗であった。




ここらには川もなくただただ同じような短く尖った草の原っぱが見渡す限り続いている。

十分な食料がなかったら危なかったな。

周りには食べれそうなものもないし。



しかしながら、平和をこよなく愛する方々には申し訳ないが

こんな風景には飽きてきている。

俺はもっと……こう!

冒険者みたいなことがしたい気分なのだ。

モンスターと戦い、仲間と背中を会わせてさ友情を深めたりさしたいわけですよ。

俺はアレスさんから冒険の話を聞いていた。

だから話のような展開になるのでは?と期待に胸を膨らましていたというのに。


時間の関係上、俺でも知っている剣聖アーサーの、冒険記の一部を聞かせてもらっただけだが。


アーサーと言う人物は知っていたが冒険記のことは覚えていなかった。


この世界の人であれば子供の頃に一度は聞いたことのある物語らしい。



幼少のころのアーサーは、父親のような猟師になることが夢のごく平凡な村の子供だった。

そんな少年が剣聖と呼ばれるきっかけにいたったのは青年期にある。

村はある日モンスターに攻め込まれ地獄とかした。

アーサーは無我夢中に家の倉庫にあった何てこともないただの鉄の剣を振るった。

そして、一日中振り続けてモンスターを全滅させた。

その数200

残念ながら村人はアーサー以外全滅した。

尊敬する父も、優しい母も、愛する妹や弟たちも、村のみんな全員。

そんなこともありアーサーは、敵をとるために魔物の殲滅を心に決めて冒険を決意する。

そこから、

僧侶ガーチス・アグレル

魔術師ロジャー・ベーコン

守衛騎士レイズ・R・フォン

を仲間に加えて

その当時魔物を統治していた北の魔王エグゼ・イース・エイリス

を討伐するという話である。


まぁ色々間に話があるのだが要約するとこんな感じか。


短い話だったが、モンスターとの戦いというものに憧れてしまうのには十分だった。

だから、少しつまんないのだ。



何てことを思っていたらモンスターが現れた。

何てことには残念ながらならない。


「記憶がないのは確かに問題だけどさぁ、もっと面白いことは起きないのだろうか……」


記憶を取り戻したいが戻したくない。

心が嫌がっているように感じる。


だが、取り戻さなくてはならない。

(なんで?)

なんで……か。

何でだろうかよく考えれば取り戻す必要ないのでは?

いや、でも家族がいたとしたら困っているかもしれないし。

(じゃあ望み通りに冒険者になればいい)

……それこそなんでだ?

俺はいつのまにか原っぱに寝転びながら自問自答をしていた。

(有名な冒険者になれば家族がいたとしたら気づいてくれるはずだろ)

確かに、

(それに、冒険者になれば色々できるようにもなるし、人脈もできる。記憶を取り戻したときに便利だろ?)

確かに……確かに!!


うん、決めた自問自答は大切ですね。


無理に思いでしたくないのなら、思い出さなくていい

冒険者になろう。


よく考えたら、昔は昔だ。

俺には関係ないな。

俺は俺の道に進むとする。


そして、記憶をなくして五日目にして

俺は記憶を無理に思い出すのをやめた。


「目指すは一流冒険者!!」

そんなことを考えながらも俺は道を進んで夕方になってようやく目的のプーリルの木にたどり着いた。


さっさと夕食を済ませて筋トレをし、夜になったので寝ようとしたとき、頭の中に何かキィーーンという音が響いた。

不愉快には思えなかった。


「あっちからか……?」


俺は何かがあるであろう方向に動いていた。

一歩一歩と歩を進めていき


その方向に向かって三十分ほど歩くとそこに彼女はいた。


二つの月が輝く夜

岩の上で彼女は歌っていた。

夜と同じ色の髪それは長くもなく短くもなく、肩に当たるくらいで、風が吹くとつらつらと揺れる。

後ろ姿だけだったが女性ということは澄んだ歌声により分かった。


ふと、彼女は歌をやめてこちらを振り返った。

髪が光を振り撒く。


目も髪と同じ色。

肌は雪のように白く、口許は桜色でとても柔らかそうだ。


顔を斜めに傾けながら彼女は答えた。


「……えっ……たし……だったよね」

ぶつぶつと一人で話始めた。


「私はアマネ貴方は?」

突然聞かれたが失礼などとは思わなかった。


「アトロ……アトロ・レリア」


「そう」


「アマネってよんでいいか?」


「いいよ。」


「じゃあどうしてアマネはこんなところに?」


「……落ちた。」


「落ちた?」

落ちたというのはどういうことだろうか?

岩から……?いや違うだろう


……んっといって青い月を指差す。

「私は転生者……。」


「はい?」


なにいってるんだこの子?


「神に言われた。お前はかわいそうだから新しい人生をやると……」


この方は転生者と呼ばれる方らしい。

そんなことはどうでもいいが……ん?なんで俺はこんなところにいるんだ?

頭にかかっていたきりが一気に消え去った気分だ。


「私はあなたをもらう。」

指を俺に指しながら唐突にアマネという少女は告げた。


「は?」

声が裏声ってしまった。


「貴方はなんでここにきた?」


「……分からない」

正直に答えた。来たことは覚えているがなんで来たのかはわからなかった。


「それは私が呼んだから……正しくは運命をねじ曲げたんだけど」


おっと、何やら最後辺り怪しいことを小声で言ったが俺には聞こえました。


「私はここにはいない存在。いてはいけない存在らしい。それを解決するために帳尻あわせの儀式をした。」


まぁそのあとも話をしたがこういうことらしい。

アマネは地球たる世界にすんでいたが両親の虐待で死亡。

それを可愛そうに思った神様がこの世界に飛ばしてくれたらしい。

しかしそれでは、この世界にないはずのものができてパラドックスが起こる。それは見過ごせない。なので、[神の歌]と言われる秘密奥義で、近くにいる人を呼び出してその人の運命を分けてもらうことでこの世界に受け入れられるらしい。


つまり、歌に引き寄せられた虫もとい俺のいや、私の運命は半分とられたらしいです。

「でも、悪いだけじゃないよ」


「どういうことだ?」


「半分とったせいで貴方には運命が変わりやすくなった。」


「それっていいのか?」


「……場合によってはいいらしい。」

おいっさっきまでこっち向いてただろうが、なに、汗をかきながら顔を背けてるんだよ


信用度皆無だな


「今は、私はあなたで貴方は私という状態」

もうその話は終わりといった感じで話を変えられた。


「なぜ貴方は、こうも信じられないようなことを真面目に消えて、そして怒らない?これはそれによるスキル[運命共同体]のせい。」


「成る程な、だからこんなに俺は受け入れてしまっているのか。」

そういえばそうだな。

そう言われて納得している自分がいる。

きっと彼女のいっていることは自分のいっていることと受けいれているのだろう。

徐々に馴染んできたのか、彼女のことを頭のいたい子とは思えなくなってきている


「このスキルは便利だよ」


「なぜ?」


(話さなくても心で分かるから)


……!?驚いた。そんなことができるのか


「大丈夫。伝わってほしいことしか伝わらない。」


(なるほどな)


(信じてもらえた?)


(まぁ普通は信じないだろうけどさ、何故だか納得している)


「それじゃあこれから……どうしよう?」


アマネはこの世界のことは神様に聞いたらしいが時間があまりなかったらしくさほど聞けなかったらしい。

かくいう俺は、記憶喪失者。


俺も自分の事情を説明した

アマネは俺が冒険者になろうということについて賛成してくれた。

それにアマネさんは別に世界のことなんて今から知っていけばいいとおっしゃった。

もとの世界にモンスターはいなかったらしいので結構楽しみらしい。



そしてここに、この世界を分からない冒険者コンビが結成した。


アマネとのコンビは普通に決まったことである。

アマネを俺は[運命共同体]のせいか放っておけなかった。


そんなこともあったが俺はアマネと共にプーリルの木の下に戻って寝た。




……………………


………………


…………


……


血を、煮込んだように赤い部屋に俺は立っていた。


目の前にはひとつの黒い扉があった。

ひとつというのは正確ではないか……

大きな扉だ。

十段階に分かれており

一番小さな一の扉それをかこむように、二の扉それを囲むようにと三の扉という風に十段階あった。


コツコツコツと歩いていき俺は一の扉を開いた。


中々は人の言葉だが人の声ではない声が響いた。

((個性[無我夢中]獲得))

頭のなかで文字がひしめいた。

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

喉を押さえる、苦しい、口からは涎が垂れて目が赤く充血する

そのままどれだけ苦しんだのだろうか。

倒れながら床を殴り髪をむしり発狂し続けて



やがて、俺は目が覚めた。

「夢か……?」

しかし、身体中から汗が出ていた


起きようとして、立てないことに気付いた。

アマネが幸せそうに俺の服の端をつかんで寝ていた。


すぅーすぅーとリズムのいい寝息をたてている。


「昨日は本当に色々あったな。」


よく考えてみるとあんな濃厚な日を過ごしたのは、はじめてかもしれない。


冒険者になることを決めたり、少女がなんか、仲間になったりって、だからあんな変な夢を見たのかもな。



そう考えた俺は、アマネの手を優しく離して毎日行っている、筋トレに精を出すことにした。



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