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メモリーストレージ ー記憶喪失ー  作者: 林檎の神
始まりの前奏
2/6

記憶喪失

太陽の光で目が覚めてしばらく俺は水に浮いていたがらちが明かないので水から上がった。


手で水を掬い仰ぐ。

ゴク…ゴクゴクっ


「ふぅ、これは分かる。所謂、記憶喪失だな」

理由は分からなかったが俺は自分の記憶がないことにたいして驚くほど落ち着いていた。


服と髪が濡れていたが今はそんな些細なことどうでもいい。

水を滴らせながら考える


「うーん……」


まずは現状を確認するか。


Name ???

[持ち物]


装備:頭 なし


上半身 茶色シャツ

防御力 5

下半身 黒ズボン

防御力 5

足 黒ブーツ

防御力 2 俊敏 5

アクセサリー 溶けかけているペンダント

幸運 20


アイテムポーチ

※重量を一定量百グラムしか感じなく、入れ口はゴムのように広がる。制限は製作時込められた魔力量による。

ナイフ

※エルノートで広く愛用されてる道具屋カイヤ製の丈夫な作品

水袋

※からっぽ

火薬

※簡単な火薬がかなりある。

ライター

※道具屋カイヤの画期的アイテム中の綿など消耗品と乾燥した環境があればどこでも使用可能

地図

※エルノートの地図、南西部に赤丸がついている。


~~~~~



ふぅ、何考えてるんだ?こいつ(俺)

アイテムポーチのなかにある程度の必需品は入っていたが

バカなのか?多分ここって地図に丸のついてる場所だろ?

まじで何しに来て何で喪失とかしちゃってんだよ。

記憶を無くしている俺でもこんなやつは馬鹿だと分かる。

外にはモンスターがいる


もっと装備を整えてさ行こうか?

記憶がないってだけでもネックなんだが……

まぁいいか俺の冒険はこれからってやつだろ?

ん、なんだっけこのフレーズどっかで聞いたような……まぁいいか。


まず、わかったこと水は泉があるからポーチに入れまくり腰に水袋をつけて補充をしながらいけばいいし解決。食料これが問題……食べるものがない。

辺りには草しかない……たべれそうにねぇ……だって尖っているし。いや、一応俺がいた泉の辺り一面に緋色の宝石のような木の実があるのだが怪しさがやばい


「これ大丈夫なのか?」

木の近くまで歩いていき手に届く位置にある木の実をもぎる。

見れば見るほど綺麗だ。

緋を煮詰め続けて作られたかのような外側

思っていたよりも固くはなく恐る恐る口に運ぶ

カリッ

「うまっ!」

食感はカリッとしている。

中心に近づけば近付くほど黒に近いが味は甘く柑橘系っぽい


驚いた見た目だけではなく味までいいのか……

誰かが育てている感じはないので全部もぎ取った。

1000個くらい軽くいくか?


食事問題解決と……


現在地点も予想通りで赤丸の場所だった。

地図にかかれていた双子山がそびえていたので解決した。


まぁこれくらいはいいんだが一番の問題は

「記憶の抜けかたが虫食いなことか。」

分かることもあるが分からないことの方が多く弱った。


この世界の通貨などは分かる 硬貨と紙幣だ

一円から始まり五枚で五円、十枚で十円、十円五枚で五十円、十枚で百円、百円五枚で五百円、十枚で千円、千円五枚で五千円、十枚で一万円

これは確か剣聖アーサーが五百年前に作ったシステムだったはず


モンスターがいるということも分かるが種類は……

分からない……何も。

装備に関してもそうだ。この装備ではダメというのは分かるのに肝心などんなのが良いのかなどは虫に喰われてる。

何て冒険に都合の悪い記憶喪失だろうか。


とにかく俺は六時間程かけて食料を確保してポーチの中に入れた。


泉の水はポーチに入るように構えていたが五時間ほどすると枯れてしまった。

水ってこんな簡単に枯れるもんだっけか?

まぁ全部汲み取ったけどな

泉があった場所の回りには蔦や蔓といったジャングル状態で俺はどうやってこんな場所に来たんだろうが?


そんな感じで食料確保や思考を続けたが俺はここをとりあえず動くことにした。

いたって意味はない。

太陽はまだ高い地図の見方があっていれば今日中には外に出れそうだな


「いくか」

片手にナイフをもって双子山に向かって蔦を切り裂き前に進む。

双子山の方に向かうのは地図に双子山の近くに道が書かれていたから。


ガシッガシッと切り進むがこれがまためんどくさい。

一回では切れてくれなくて数回切りかかりようやく切れて進める。

それに泉の場所のように明るくなく木々に空を隠されている。


二時間ぐらいたつとナイフの練度が上がったのか二回で切れるようになった。

流石にぶっ続けだったせいで今は肩で息をしている状態だ。

「はぁはぁはぁ」

いい感じの木の下で休憩する。

ポーチの中にある木の実を二個取りだしかじりつき腰につけていた水袋に口をつける。


「結構来たはずだけどな……」

しかし、この森奇妙だな……動物がいない

まぁそういう森もあるかもしれないしいいや、



場所を確かめるために近くにあった一番幹の太い木のまでいき、跳躍で枝につかまり足を振り子のようにしてタイミングをつけて別の枝へを繰り返し頂上まで来た。


五十メートルほど進んだ場所で森が途切れており道が見える。

「ビンゴっ!!」


素早く木を降りると意気揚々と道を切り開く。

先程まで覆うような森のせいで光が届きにくかったのに横の方が明るくなってきた。


最後の蔦を一撃で切り伏せると俺は森の外へと出た。

「ようやく出れたか……」


辺りはまだ明るい。予想よりも早くこれたようだ。

森の外という歓喜を味わいながら辺りを見渡して違和感を見つけた。


今いる地点は二メートルを越える大きな岩を中心にできた三叉路の近くで、辺りには短い草などしか生えていない。


そしてその上に人を見つけた。


うん、ひと。……人?

金色の髪を後ろでまとめている男で、口許にもいい感じに髭が蓄えられていた。そして、何より筋肉がすごい。見ていて筋肉からドクンドクンと脈動を感じる。

その男は岩の上で上半身裸でポージングを決めていた。


「おっさん、何してるんだ?」


「…………」


「おぉーい」


「…………」


ん?なんか様子がおかしい……もしかして死んでるのか?


俺は急いで岩の上に登り確かめる。

「死んではいないな……気絶してるだけか」

岩から下ろして木の下まで連れていきゆっくりと水を口に流す


暫くして男が目を覚めした。

「ぅ、んぅ……」

「目が覚めたか」

「ここが天国ですか、お久し振りです。こんなとこにいたのですね。」


久しぶり……?


「まてまて、ここは天国なんかじゃないぞ?」

男は目を見開いて起き上がり辺りを見回した。


「ここは、私が死を覚悟した……」


「あぁ、悪いがそれよりも俺って誰なんだ?」


「……?」


「あぁ、記憶がないんだよ。俺の関係者であるならば教えてほしいなと思って」


「記憶を……? すいません先程は混乱していたせいで分からなかったのですが私が知っている方とは違うようです。」


「ちがう?さっき、正面で見て、久しぶりって言ったから、知り合いだと思ったんだけど……」


「私の知っているその人と瓜二つなのですが、顔に傷がないので違うと思います。あの方は頬に傷がありました。それにしても記憶を……」


「それよりもそんな畏まった態度いいから。明らかに俺よりも年上じゃん」


「いえ、私の尊敬している人と顔が似ていらっしゃるだけではなく命まで助けていただいたのです。そんなことできません。」


俺に対して初対面だというのに……まぁいいか?


「あぁわかった。それならもうそれでいいや。それよりも名前は?おっさんって呼ぶわけにはいかないよな?」


そういうと慌てて立ち上がり華麗に礼をする。

「申し遅れました。私の名前はアレス・ラリアットで御座います。この度は命を助けていただきありがとう御座いました。」


「いやいいよ。大したことはしてないんだしさ。それよりもちょっとばかりさ常識とかさ教えてくれないけ?」


「了解しぃー」

返事をしようとしたところで大音量でお腹がなる。


「その前にご飯にしようか?……」

「本当に申し訳ありません」

アレスさんは決まりが悪そうに頭をかいた。


ーーーーーー

ーーーー

ーー



「この木の実本当に美味しいですね」

アレスさんは本当にお腹が空いていたようで俺が収穫した木の実……拳サイズなのだが、泣きながら十個も平らげてしまった。


「食感はカリッしていて、味も爽やかで優しげな甘さそして何よりも見た目が宝石のようで素晴らしい種まで食べれるなんて余すことなく素晴らしい……」


種まで食べれるのは俺も知らなかったのだが実際に食べてみると美味しかった。中には栗色の少し苦くて旨味が多いまろやか種子が詰まっていた。


「食事をしたお陰か、力が沸いてくるようです。」


「それはよかった。」


「失礼ですが、この木の実はなんというものなのですか?あまりにも美味しいので知っておきたくて。」


「いや、これはこの森の中の俺が記憶を失っていた場所周辺にたくさんなっていたからもいできたもので名前は知らない。」


「そうでしたか。気になったことがあるのですが質問しても?」


「ん、なんかあったけ?」

今まで俺は特におかしいことをしてないと思うのだが


「それはアイテムポーチですか?」


「そうだけども?」


「アイテムポーチはかなり高いんですよ。持っているのは中堅層以上の冒険者もしくは商業関係の役持ちで、見たところ装備的にも冒険者ではないなと思いまして」


「そうなんだよなぁ、普段着にしか見えないよな?アレスさん」


「えぇ、ここらはそれほど強いモンスターはでないのですがそのような格好でいくのは高位の冒険者くらいですかね。」


「アレスさんはどうなんだ?」


「え、筋肉着てますが?」


筋肉は装備だったのか……確かに装備って感じだな。


「というか、アレスさんはどうしてあんなところで、気絶してたんだ?」


「実は北西の都市グラーデンに入り用がありまして、行っていたのですが運がないことに用意された食料が少なくて此方からの方が自分のすんでいる村に近いと言われまして来たのですが食料が足りなくなりまして、周りには食べれるものもなくて……

普通に死ぬくらいなら自分の肉体美を見せつけながら死のうと思いまして、まぁそれのお陰で目立って助かったようで良かったです」


でも、ここに森があるし森で探せばよかったのに……


「まぁ鍛え上げた肉体美を見せ付けながら死ぬというのはいいと思うな。」

なぜか分からないが俺の中の常識の糸がプツンと切れた気がした。


そんな話をしたあとにも他愛もない話をして時は流れた。


ー朝ー


「本当にありがとうございました。お陰で助かりました。

でも、本当に私がついていかなくて良いのですか?」


「あぁ、アレスさんには常識というものを教えてもらえたしそれでもういいよ。」


「私としては記憶が取り戻されるまでお仕えしようと思ったのですが」


心配そうな顔をして俺のことを見てくる。

しかし俺の意思は変わらない。

「そうですか……そうですね。自分で確かめながら旅をするのは大事だと思います。ぜひ、ブロワ村を、訪ねることがありましたら言ってください。盛大に歓迎しますから」


アレスさんは目に光をもとい炎をともす。

しかし、アレスさんにはこちらの方が世話になったと思う。

アレスさんも性能があまりよくないが、アイテムポーチを持っていた。

その中から新しいナイフ、片手剣に魔物図鑑その他にも、すこしもらった。


「しかし、魔物図鑑は助かるよ。」


「いえいえ、こちらは例の果実に水までいただいたのです。それくらいは当たり前です。」


「そろそろ出発するかな……」


「えぇ、そうですね。あぁそういえば」


「どうかした?」


「名前ですよ名前。」


だから名前はないっていったはすなんだが……


「よろしければ、私に名前をつけさせてもらえませんか。というよりも貰ってあげてくれませんか?あの方の名前を」


「あぁ俺に似ているって言う」


「はい、行方不明になっていて、今だ見つかっていません。」

アレスさんは悲しそうに眉を下げる。

きっと本当に尊敬していたのだろう。


「俺なんかでよければ」


アレスさんもその方が気が楽になるだろうし、名前はもとより欲しかった。


「よかった。」


「それでその人の名前は?」


「アトロ・レリアです。」


「じゃあ今日から名乗らせてもらうわ。」


「もしも、その名前で何か言ってくるものがいれば、私の名前を言えばなんとかなるはずです。」


「あぁ、わかった。」


そして、俺たちは別れる。

俺は北東の都市に向かって左の道に、都市に向かうのはアレスさんからの薦めであり、いろんな情報を知るためにも便利だし、お金を稼ぎたくなって冒険者になるのにも、都市にあるギルドにいく必要があるかららしい。


そして、アレスさんは自分の村に帰るために右の道に

余談だが後ろの道を進めば港町カーデンにつくらしい。暇があったらいこうと思うがまずは情報だ。


「お元気で」

名残惜しそうに、別れを告げる。目にはあって二日目だと言うのに涙を浮かべている。


「それじゃあ、さようならアレスさん。」

アレスさんは見えなくなるまで手を振り続けてくれた。


さぁ、都市へと向かおうか

そして俺は、朝日の衣に包まれながら前へと進む。


願わくば道中何の問題にも巻き込まれませんように……


ーーーーーー

アレス視点


行ってしまわれたか。ラリアット家の家訓通りに助けたかったが本人が望んでいないならしないに越したことはない。


「私も早く帰らなくてはな……ん?そういえばこんなところに森何てあったか?」


まぁ初めて通る道だし、空腹すぎて筋肉のことしか考えられないようになっていたに値賀いない。

ふっ、私もまだまだだな。

先程のアトロさん似のアトロさんのように記憶喪失になっても冷静でいられるような心を持ちたいものだな。


そんなことをいいながら、村に帰るために私は走った。


二人が去った森の木々は別れを告げるように揺れていた…………


To be continue


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