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第40話 応援しないで何をする

萌の家で一晩を過ごした俺は今日、練習死合…もとい練習試合を見に来ています。会場は俺が通う高校の近くにある高校。んでもって頭のいい人が通う高校。俺は今日だけ天才気分!……悲しい。


と、一緒に来ていた高瀬が遠くを指差した。


「ねぇ萌、あの人かっこ良くない?」


「え、微妙」


「えぇそうかなぁ?」


高瀬さん、あなたはあかねの応援しに来たんでしょ?なんで試合を見ないで男ばっか見てんだよ!ってか一郎、お前はなんで来た?なぜにそんな悲しい目をしてる?コイツらの目的を聞きてぇ。

誰も応援しないとわかった俺は、自分だけでもとあかねの姿を捜す。


「あかねはどこだ?」


練習試合とはいってもいくつかの高校が一同に集まっている、つまりは合同練習試合?わからん!ってか人が多過ぎて酔いそうなんですけど。


客席に座っている俺は必死にあかねの姿を捜したけど、どこにもいない。あの美人顔はすぐに見つかりそうなんだけどなぁ。ってか皆!手分けしてあかねを捜してよ!

ダメだ!高瀬は男を物色するのに忙しそうだし、一郎は高瀬を見つめるのに忙しそうだし…お前ら帰れ!


「あっあれじゃないの?」


目を細めて頑張って捜していると、いつの間にか隣りに来た萌が遠くを指差しそう呟いた。

どこを指差してる?み、見つからない。萌さんあなた視力いくつあるっけ?7.0くらいあった?


「おっホントだ!っすぅ……あぁかぁねぇ!頑張ってぇぇ!」


「うるさい!」


「だぁ!」


その蹴り、空手家も真っ青だよ!てかすかー…今日はパンツルックですか、じゃあいいか……よくねぇよ!


「蹴らないでよぉ!」


「うるさい、黙って見てろ」


「黙って見るって、それじゃ応援しに来た意味ないじゃんか」


せっかく来たんだから力の限り応援しようとか思わないの?あなたそれでもあかねと親友なわけ?あなたの絶叫を期待してるかもしれないのに。


「うるさい」


「…」


いいよいいよ、じゃあ俺だけが心の中で一生懸命に応援するから!


「…あっ勝った」


楽勝で勝っちゃったよ!来た意味あんのかこれ。


「太郎、お前ガン見されてる」


「は?」


速攻でケリがついたとはいっても、がんばったんだからとあかねに暖かい拍手を送っていると、いくら頑張っても高瀬が自分の方を見てくれないと悟った一郎が、俺の腕を掴むと萌に続き遠くを指差した。

お前の指先はどこを向いている?ってか空手家に知り合いなんていないハズだけど。


「どこよ?」


「ほら、めちゃくちゃ見られてんじゃねぇかよ」


「あっマジだ」


見られてる見られてる。ってか見てるというか睨んでない?なんで顔も知らない奴に睨まれなきゃいけないのよ、誰よあなた。


「知り合いか?」


「知らない…と思うんですけどねぇ」


マジで誰だっけ?思い出せない!まさか、あの方があかねが言ってた宿命のライバル?でも俺あの人の名前とか知らない!


「向こうはお前のこと知ってんじゃねぇの?じゃなきゃあんなにガン見してこないだろ」


「知らないのは知らないんだよ!ってか睨まれてんの一郎じゃねぇの?」


「なんで俺?」


「高瀬の元カレとかだったりしてぇ。だから高瀬の近くにいるお前を睨んでんだよきっと」


「マジかよ!」


口からでまかせだっつーに。信じちゃったよこのアホ。ちょっ、腕を引っ張るな!服伸びる!


「あの人…」


「え?萌の知り合い?」


一郎とのコントを無言で見ていた萌がとっても小さい声を漏らした。あなたの知り合い?ということはあの空手家は俺らじゃなくて萌を見てたのか?って、それなら何で睨まれてんの?何をしでかしたんだよあなた。


「知ってる、と思う」


「思うってなに?」


「さぁ」


俺に聞かれても困るんですけど。萌の知ってる人全員と知り合いなわけないし。


「あっあの人かっこいい!」


う〜むと萌と一緒に唸っていると甲高い声が耳に突き刺さった。

え、誰が?って睨み利かしてる人かい!あっ高瀬はあの人知らないんだ?じゃあ一郎が睨まれてるわけじゃあないね。


「高瀬の元カレじゃねぇの?」


い、一郎。お前はいつまで彼氏ヅラしてんの?なんでまだ澄ました顔して頑張ってる?高瀬は別に済ました顔してる人が好きってわけじゃないでしょ。


「違うよ、初めて見た。ねぇなんかこっち見てない?一条どう思う?」


「高瀬を見てんじゃないのぉ?」


「え?ってことは脈アリ?」


だから俺に聞くな!ってか睨まれてんじゃんか、脈なんてなさそうよ?あぁもうヤダ!問題児ばっかりで話が進まない!

少し腹が立ってしまった俺は、女性の頭を叩くわけにもいかず、本当に仕方なく一郎の頭を叩かせてもらいました。うん、ほんの少しだけスッキリした。


「っで!てめぇ、何をしやがる!」


「なんか腹が立ったから?」


「秋月みたいなこと言ってんな!」


あらら、いつの間にか萌みたいなこと言ってた?それはごめんあそばせぇ。


「っていてぇ!一郎てめぇ!」


「お返しだ!」


「いらねぇよ!」


俺は軽く頭を叩いただけだよ?なんでロー&ミドルって2回蹴るんだよ!

痛さと一郎の顔を見たら苛立ちが募り、仕返しに彼の膝に前蹴りを喰らわしていると、空手着を身にまとった女性がこっちに近付いてくる。……あかねぇ!


「あっあかねぇぇ!ナイスファイトォ!」


そうだ!今日はあかねちゃんを応援する為に来たんだ!睨まれに来たんじゃない!試合はもう終了しちゃったけど。


人混みを縫って観客席にわざわざ来てくれたあかねに、俺だけが盛大な拍手を送った。うん、見たところ疲れはないみたいだね。


「あぁ疲れた」


疲れたんかぃ!たった1分くらいしかやってなかったよね?速攻で勝ってたのに。


「あっ太郎、宿命のライバルは見つかった?」


「だから、それ誰のこと言ってんの?」


「わかんないの?」


「わかんないよ」


はっきり言って欲しいわね。頭の回転が悪い私には全くわからないんですよ。

エヘッとかわいく笑った俺に、はぁっと一回溜め息をついたあかねが辺りを見回す、と俺の頭を軽く小突いた。軽くじゃない、強烈な一撃!


「ほら、あの人。こっち見てるじゃん」


「って…あの人ぉ?」


やっぱ睨まれてんの俺かよ!ってか顔も知らない人と勝手に宿命のライバルにされても困る!


「俺、あの人と会ったことあったっけ?」


「中学時代の先輩だよ」


「え?中学…あっあぁぁ!そうだ!萌の誕生日…いでぇ!」


「余計なこと思い出すな!」


スキをつかれて思い切り殴られたよ、しかも後頭部。ちきしょ、こうなったらちょっと仕返ししてやるか?


「そうそう萌さん、あなたあの方に愛のプレゼント&愛の告白を受けてたわよねぇ?」


「!」


ホホホホ!思った通り顔が真っ赤になったわ!思い出したよ、あなたはあれから口火を切ったように次々に色々な殿方から告白されてたよねぇ?しかも全部お断り。そうよ、彼があなたに告白した第1号だったわよね!


オフォフォ!と笑いを堪えていると、高瀬が好奇心旺盛に萌へ近寄って行った。


「萌、あの人に告白されてたの?」


「え?いや…この、バカ太郎!」


萌さん、今のあなたに睨まれても余裕ですぜぇ!いつでも逃げる準備は出来てるし。

高瀬の質問にあたふたしている萌をニヤニヤ見ていると、あかねが俺の脇腹に肘打ちを当ててきた。アバラ何本かいくわ!


「あだ!な、なんだよ?」


「あんた、先輩がプレゼントあげたの知ってたんだ?」


「知ってた。だって現場にいたもんね」


「現場って…じゃあ先輩がまだ萌のこと好きだってのも知ってた?」


そう言われて驚いた俺がチラリと見てみると、まだ先輩は俺を睨んでいる。ってか先輩、仲間と思しき人に声掛けられてんのにどうして返事をしないでずっとこっち見てんですか。あっほら、仲間が帰っちゃいますよ?


「そ、それは知らなかった」


う〜ん、まだ想っていらっしゃったのか。でもあれってたしか、中学の…2年くらいだったよね?ってことは3年くらい経ってんのにまだ諦めてなかったんだ?すげぇよ先輩!


「先輩の名前、古川 隆哉たかやっていうんだけど」


彼女はタオルで汗を拭きながら(ってかすぐ決着ついたのに汗は掻いたんだね?)もまだ俺を見ている先輩の方へバレないように視線を移した。

へぇ、古川先輩っていうのか。萌のヤツ、告白してくれた人の名前くらい覚えておけってんだよな。


「萌が自分と違う高校に入ったの知ってめちゃくちゃ落ち込んでたっぽいんだよね」


「そりゃ、そりゃあ落ち込むよねぇ」


先輩の落ち込む姿が容易に想像できるところが何か悲しいよね。でもそれは仕方のないことだよなぁ、後輩の萌と同じ高校に入るには予知能力でも持ってなきゃムリだし。


「で、この前バッタリ街で会ってさ」


「それで萌のことを色々聞かれたって?」


俺の質問になぜかフフンと鼻で笑い、彼女は萌の方へ視線を移動させた。


「あんたのこともね」


「なんで俺まで?」


「萌に付きまとってた変な男ってあんたでしょ?」


「はいぃ?」


ヤな事さらっと言うなよ!誰が変な男じゃい!ちょっとおかしいだけだ!


「実は今日、あんたを連れて来てくれって頼まれたんだよ」


「なぜ?」


「あっ先輩こっち来る。それじゃ頼んだよ」


「何を頼まれた?」


なんで一人でしゃべって一人で帰るんだよ!俺の意見は無視か?待って!置いてかないでぇ!


涙目の俺をシカトして着替えて来るから、と逃げるようにその場から去ろうとしたあかねと交差するように、古川先輩がゆっくりと睨みを利かせて近付いて来た。


うわっこっち来るよ。どうしよ、なんて声を掛けたらいいんだ?「どうも〜!あの時の傷は癒えましたぁ?」…バカにしてんのかって殴られるよね、却下!じゃあ「あの時はお世話になりまして」…よし、これでいこう!何の世話になったかは知らないけど。


「あっ、どうもこんにちは。あの時は…」

「萌ちゃん、久しぶりだね」


「は?え、あっあぁはい、お久しぶり、です」


俺は無視かよ!色々考えて俺バカじゃん!ってか先輩、こっち見てんだからなんか言ってくださいよ!ってか萌!お前も普通に挨拶を返すなよ!


萌と挨拶ができて嬉しそうな先輩は、俺と目が合った…また睨まれた。俺って、なんでこんなに睨まれんだろ。







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