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第123話 空中回転○○男

※ご注意! お食事前、お食事中、お食事後の方は充分にお気をつけください。

「萌ぇ、帰るよ~い」


 長い長い6時限目も終わり、今は下校時間。薄っぺらい鞄を持ち上げてから不機嫌そうに前を向いたまま席に座っている萌に声を掛けた。


 そんなに『足湯』が良かったのかね。

 くじ引きの結果、めでたくA組は『女装(出来るのならば)男装カフェdeドリンク』をやることに決まった。ひゃっほーやったやったと喜びを全面に押し出して高瀬と踊り狂う俺を口惜しげに見つめる萌……じゃなくて一郎。てっきり高瀬のことはもう諦めてると思って油断してたら殴られた。彼女と踊ったのがいけなかったみたいです……萌と関係ない話してごめんなさい。


「あ、そういやおばさんに頼まれたヤツ買ってくんでしょ?」


耳を澄ませば「よっこらせ」と聞こえてきそうな仕草で立ち上がった萌にそう尋ねてみた。

 今日の朝、秋月邸の門まで見送りに出て来ていたおばさんに、


「悪いんだけど、帰りに唐揚げ粉を買って来てちょうだいね」


って言われていたのを思い出したからだ。秋月家の今日の晩ご飯のおかずは唐揚げだと丸わかり。でも羨ましい、俺も食べたい。


「……あぁ、そんなこと言われてたっけ」


元気のない声でそう言った萌は鞄を肩に掛け、横目でチラリとこちらに視線を送ってきたと思ったらさっさと歩き始める。お願いだから置いてかないで。


「女装に男装って……最悪。カフェdeドリンクって何。意味不明」


廊下を歩きながらブツクサ呟く彼女のナナメ後ろについた俺は、「まぁまぁ」となだめてみるが、効果ナシです! ここは黙っておくのが一番無難ですね。


「萌ちゃ~ん! 俺の、俺の萌ちゃ~ん!」


ハイやかましいがやって参りました。

 遠くから髪を振り乱して全力疾走してくる晃。だが、萌は全く気がつかない素振りで階段を下りていく。……少しだけ彼が可哀想だと思ってしまいました。


「萌ちゃん文化祭で何するか決まった!? メイド!? それともメイド!? それかメイド!?」


選択肢メイドしかねぇのかよ!? っつーか萌がメイドって……恐怖のメイド襲来。


「いでっ! ちょっ、いきなり鞄アタックやめて! 階段から落ちたらどうするよ!?」


「いま変なこと考えただろ」


お、お見通しですか。ジト目で睨んでくる彼女にしどろもどろになりつつも一緒に階段を下りていく。


「俺を無視しないでぇ!」


あ、ごめん忘れてた。

 完全なまでのスルーで晃の横を通り過ぎてしまった俺達はテヘッな笑みを浮かべ……訂正、「俺達」じゃなくて、「俺」がでした。


「あ~えっと、晃んトコは何すんの?」


足止めを喰らったせいか、少々不機嫌な様子でいる萌に代わって当たり障りのない質問をしてみる。たしかB組って去年……あ、お化け屋敷だったよね。くじ引き当たっちゃったんだよね。


「俺んトコは……化け物小屋だけど」


「ばけ……はい?」


「去年のお化け屋敷が面白かったから、今年もそれっぽいヤツをやろうってことになって。でもお化け屋敷は1年がやるから出来ないし。じゃあ名前変えてやれば大丈夫だろうって」


「だ、大丈夫じゃないだろ。完璧アウトだろ」


期末テストに『お化け屋敷と化け物小屋、両者の違いを3つ答えろ』っていう問題が出ても答えられるヤツはいないと思うぞ。逆に「お化けと化け物の違いを教えてください」って書きたいよ。


「俺はドラキュラ役なんだけどさ……やってられねぇよ」


あら意外。お前なら「俺は人を(というより主に萌ちゃんを)惹きつけてしまうほどの魅力を持つドラキュラ。フハハ! 萌ちゃんの血を吸いに来た!」とか言いそうなんだけどね。っつーか、やっぱりドラキュラも化け物の一人として数えられているのか。


「ってか化け物の話はいいんだよ! 萌ちゃんは何の役やるの? メイド? メイドっていう名のメイド?」


だからメイドしか頭にないのかお前。ぎゃあぎゃあ晃が奇声を発していると、スルー攻撃はヤツに効かないと踏んだのか萌が俺に視線をよこした。「何とかして」と言っておりますな。


「あ~、A組は女装に……男装で、カフェの……なんだ、その……」


名前が長ったらしくてよく覚えてなかった。何だっけ? と腕組みをして俺の横にいる萌にチラリと顔を向けてみる。が、スルーされた。晃に続き俺までもがスルー。だけど俺は彼と違ってスルー攻撃効くんです。大ダメージ喰らうんですよ。


「だ、男装? 萌ちゃん、男装するの?」


「……知らない」


まぁ萌はきっとやらないだろうね。俺? 俺は女装するよ。本当はやるつもりなかったけど、一郎が「カツラを被ったら俺は生まれ変わる」なんて言うから闘争心に火がついてしまったの。大丈夫、香は女装しないから。


「じゃ、じゃあ俺の学生服貸してあげる!」


「いい」


お前の学生服なんて着たらブカブカで手も足も隠れちゃうし、歩くのも一苦労でしょ。どんだけ身長差あると思ってんだ。

 ……待てよ?


「萌、俺の制服着る?」


「いらない」


おいぃ! 晃は「いい」で俺は「いらない」かよ!? 寂しいにも程があるぜ萌さん。


「フハ、フハハ太郎! 萌ちゃんはお前の制服は臭いって遠回しに言ってんだよ!」


「んなこと言ってねぇだろが! ってかお前、俺の制服の匂い嗅いだことあんの? ないでしょ!?」


好き勝手言いやがって。クリーニング屋のおじいさんに謝れ!

 ほらほら臭くないから嗅げよ、嗅いでみろや! と晃に近づこうとすると、不意に萌が背後から制服の裾を掴んできた。


「もういいから行くよ」


「え? あ、ちょっ……」


突然の行動に驚きつつも、振り返って彼女の顔を見ようとした。けど、ズンズン裾を掴まれたまま階段を下りて……って危ない危ない! 後ろ向きで階段下りるのめっちゃ怖い!


「わ、おわっ! あぼっ、あぶねって!」


青ざめながら慌てる俺なんて無視をして階段を下り続ける萌。な、なんか怒ってる? どんな表情をしているのか知りたくて見たくても後頭部しか見えない。


「マジで、あぶっ、ちょっ、ホラァッ!」


ね? だから何度も危ないって言ったんだよ? いくら俺でも後ろ向きで階段を駆け下りるのは危険すぎる。予想通り、階段を踏み外した。


「!!」


おぉ、これが噂のスローモーションマジック。ゆっくりと時間が進んでるよ。

 そんなアホなことを考えつつ、なんとか体勢を整えようと空中で体を捻ると、振り向いた萌の驚いたような表情がゆっくりと眼前に迫る。すげぇ、宙を浮いてるよ俺。今なら鳥になって空を自由に飛び回れそうだ。


「た、たろっ……!」


俺の名を呼ぶ萌の声までもがスローモーションマジック。あ、でもマズイ。このままだと完全に萌を巻き込んで落ちる。落ちるだけならまだいいけど……って良くないが。このまま落下したら間違いなく萌を下敷きにする。ぽっちゃり太郎がげっそり(?)萌の上に乗っかったら……潰れるな。


 いつまで続くか分からないスローモーションマジック発動中に、少ない脳みそをフル回転してこの危機をどう脱するか考えた。

 答えは…………これしかない!


「とぅっ!」


秘技、きりもみ回転! もしくはトリプルアクセル!(正確にはトリプル以上アクセル!)

 くるくると空中で横回転した俺は、身動きが取れずに固まったままの萌をギリギリでかわした。よしっ、あとはこのまま……こ、このまま?


「んげぇっ!」


回転したのはいいが、止まる術を持っていなかった。幸いにも階段の一番上からじゃなく中間辺りから落ちたおかげもあって、それほど強く地面とご対面にはならなかった。

 ……だけど。うぐっ、モロに背中打った、超イタイ。回りすぎてしかも背中強打したからめっちゃ吐きそう。背中をさすろうと手を伸ばしてみたけど、届くはずがない。これこそまさに「痛いところに手が届かん!」ってヤツだ。


「太郎!」


血相を変えて階段を下りてきた萌が目に入り、立ち上がろうと思ったがグラグラして上手くいかない。やべぇ、完全に酔った。車酔いとかしない方なのに。

 上半身を起こしてもらったはいいけど、うわぁ世界が回ってる。うん、吐きそう!


「も、萌……ちょっと、マジやばいっす……」


「どこか打った!?」


「ちがっ、はき、吐きそうっす……」


「えぇ!? ちょっ、ちょっと待って!」


「おぶっ……べ、便所……俺を便所に連れてって……」


「こ、これに!」


「……え? む、ムリムリ! ……おぶっ!」


何を差し出してきたかと思ったら、彼女は自分の鞄をひっくり返してその場に中身をぶちまけると、中に何も入っていないことを確認してからそれを俺の前に置いた。それに吐けと? 吐き出してしまいなさいと?


「気にしなくていいから!」


あ、アホ! 気にするわ! ……ぐふっ、ダメだ、本格的にマズイ! 明日から俺のアダ名は『空中回転ゲ○男』に決定する!

 口の中が酸っぱさでいっぱいになり、もはやこれまで! と差し出された鞄に手を伸ばそうとしたその時だった。


「俺につかまれ!」


いつの間にか萌の横に来ていた晃に腕を取られ強引に引っ張られた。つ、つかまれって言ってソレかよ。あまり揺らされると本気でヤバイのに。


「こっからだと職員便所が一番近い! それまで耐えろ!」


「うぶっ……お、お願い……しまっ……」


「言っておくけど俺に向かって吐くなよ! 吐いたらブン投げるからな!」


「が、頑張る……」


真剣な表情で俺の腕を自分の肩に回した晃は、どけどけぇ! と廊下を駆け抜ける。だけどひどい吐き気のせいで足並み揃えて彼と一緒に走るのは到底無理でして。ズルズルと引っ張られて上靴が地面にこすれてめっちゃ熱い。つま先に穴開くくらいに熱い。


「……あ、晃……も、もっと、ゆっくり……お願い……熱い……」


「うるさい! こんな時まで気持ち悪い声出すな!」


こ、こんな時までって……。黙ってろと言わんばかりになぜか頭突きを喰らった。頭グァングァンして吐きそうだって言ってんのに何で頭突き……。


「ほら着いたぞ! 急げ!」


「おぶぅっ!」


幸いにも便所には誰もいなかった。晃は俺に気を遣ってくれたようで、入り口で待ってるから早く行けと急かしてくれた。ありがとう晃、この恩は忘れない。






 お疲れ様です。一条 太郎、またの名を『空中回転○ロ男』です。いやいや、一時はどうなることかと思いましたが何とか脱しました。


「あんた本当に大丈夫なの?」


「大丈夫だってば。昼メシ全部サヨナラしたから」


「汚い」


おいぃ! おまっ、よく考えたらお前のせいなのに!

 あの後、キレイさっぱりスッキリして便所から出ると、晃の姿はすでになかった。あとを追ってきていた萌が言うには、バスケ部の先輩に連行されたらしい。ごめん晃、俺の為に。

 吐き気はなくなったものの、背中の痛みがなかなか消えてくれなくて少し顔を歪めると、萌が……萌がそっとさすってくれました。


 ……そういうことするから勘違いしちゃうんだよ。男なんて単純という細胞で出来てるの知らないのか。

 靴を履き替えるとき背中がチクリと痛んだが、萌にバレないよう必死に取り繕って玄関を出た。そして今に至ります。


 隣りを歩く彼女はチラチラと視線を送ってきては「大丈夫か」と何度も尋ねてくる。ずっと背中をさすってくれるのは嬉しいけど、もういいって。みんな見てるし。

 

「も、萌? もう背中痛くないからさすってくんなくていいって」


「嘘つくな」


そう言いながら睨まれたが、それでも背中をさする手を止めない。……う、嬉しくなんてないんだからね!


「痛いんでしょ」


「だ、だから大丈夫だって言ってんでしょうよ。何でそんな、イデッ!」


なんでいま足踏んだんだ!? どんだけダメージ与えたら気が済むの?

 爪先を思い切り踏まれてめちゃくちゃ悶える。だからどうせなら全体を踏んで欲しい! 爪先だけ踏まれるとめっちゃ痛いんだから!


「いぎっ!?」


足の痛みに耐えかねて屈もうとしたとき、矢が刺さったような衝撃が背中に走った。……まぁ実際、矢が刺さったことはないんですがね。そんな感じの痛みってことで。


「ご、ごめん!」


屈んだら痛いということは、その逆の体勢になれば痛くないってことか!? 

 ふぬぅ! と思い切りのけぞって少しでも痛みを和らげようと必死こいていると、萌が青ざめた表情で謝りながら何度も背中をさすってくれる。

 だ、だからさ…………。


「あ、あのさぁ!」


海老反りの姿勢を保ったまま叫んだ。そんな俺の大声に驚いたらしい萌は、肩をビクつかせると同時に背中をさすってくれている手の動きを止めた。


「もういいって! 痛くないって言ってんでしょ!」


もうここは学校の中じゃない。もしかしたらノブ君がひょっこりその角から顔を出すかもしれない。ってかその前にそんなことされたら勘違いするってさっきから言ってんでしょうが! いや、言ってないけど! 俺が心の中で叫んでるだけなんだけど!


 大声を出したせいか背中にジクッと痛みが走る。くそっ、なんでイテェんだよ。もういいよ充分だよ。だから背中の痛み消えてくれ!


「……」


ぎりぎりと歯ぎしりしつつ痛みと闘っていると、今まで背中にあった暖かみがなくなった。萌が手を放したからだ。海老反りを止めて顔を戻すと、俯いたまま半歩だけ後ずさった彼女が見えた。下を向かれているからどんな顔しているのか分からない。


「あ、ご、ごめん……。も、もうあんまし痛くないから」


「……うん」


あまりに元気のないその返事に、悪いことをしてしまったと後悔する。けど、それはノブ君とお前のことを考えて…………違うか。もうこれ以上勘違いしたくないだけだ。萌の手は制服の上からでもその体温が分かるくらい暖かくて、このままだと本気で勘違いしそうになったからだ。


「あっ、そ、そうだ! から、唐揚げ粉買って行かないと!」


今まであった萌の手のぬくもりを思い出した途端、自分の意志とは無関係に顔が熱くなってきた。やばいやばい、こりゃマズイ! 彼女には赤くなってるかもしれない顔を見せたくない!

 咄嗟に顔を逸らして唐揚げ粉! 唐揚げ! と大声を出して……また背中に痛みが走った。俺って成長しない……。


「……いい。買い物は私だけで行くから」


「……え?」


その暗い声に思わず振り返ると、まだ俯いたままでいる萌は「あんたは帰っていいから」と捨て台詞を残して固まる俺の横を通り過ぎる。ふわっとシャンプーの香りが少しだけ鼻に届いた。


「ちょ、ちょっと待って! 俺も行くって!」


「いいって」


「行くって!」


「帰って!」


「イヤだって!」


「ついて来ないで!」


上手く韻を踏んでたんだから、そこは「ついて来ないでって!」って言って。


「俺も唐揚げ食いたいんだって!」


「あんたにやる唐揚げはない!」


徐々に早歩きから小走りへと変化していく萌について行くので精一杯。背中がジクジク痛いけどここは我慢! このまま帰ったら一生後悔しそうな気がして仕方ない!


「俺も秋月家の一員でしょ!?」


「いつから!?」


「今日から!」


「ただ唐揚げが食べたいだけだろ!」


「イエッサー!」


背中の痛みに顔を引きつらせながらも萌を全力で追いかけつつ「俺だって唐揚げ食べたい!」と叫ぶ俺はどこからどう見ても不審者です。顔がえげつないことになってます。


 絶対に追いついてみせる! と意気込んだそのとき、萌がいきなり足を止めた。それにつられて急ブレーキを掛ける。


「……はぁ」


大きな溜め息を漏らしながら振り向かれた。頼むから不審人物を見るような目で見ないでくれる?


「俺も……唐揚げ、食いたい……」


疲れたぁ、マジで息上がったよ。でも唐揚げ食いたいからちゃんと言っておかねば……って、主旨変わっちゃってる! 唐揚げが食いたかったワケじゃない!


「……ノブ君も来ると思うけど」


じっと見つめられて少々ドキッとさせられて、ノブ君の名前が出た瞬間にもドキッとさせられて。あれ? 彼のことは別に好きじゃないのに何でドキッとしなきゃいけないんだ。

 っつーかノブ君め、おばさんの唐揚げ食うつもりなのか。どんだけ図々しいんだあの人……俺も人のこと言える立場じゃないがね。しかし萌は「来るな」じゃなく、「来る?」的なことを言ってくれたのです。ここで退いては男がすたる!


「行く! 唐揚げ全部食う!」


「やっぱり来るな」


「ごめんなさい! 少し食う!」


「……あんたって、本当に高校生?」


「萌と同い年です!」


「信じられない」


「同感です!」


「…………ホントに、来る?」


正直言うと、出来ればノブ君に会いたくはなかった。でもせっかく招待された(?)のに、行かないなんてあり得ない。真っ直ぐに萌を見つめて「絶対行く」と力強く答えた。


「……唐揚げ粉、一袋じゃ足りないか」


しばらく見つめ合った、というよりは睨み合ってから約数十秒、萌がポツリと呟いた。ってことは、行って良いんだね? あとから冗談だったのに、とかヤメてよ?


「お、おぉ。一袋じゃ足りないのは目に見えてるな。俺めちゃくちゃ食うから三袋くらい買わないと。ってか肉は足りるのか?」


「知らないけど、大丈夫なんじゃない」


「おっしゃ! イデッ……!」


「……」


「あ……」


やべっ、思わず声に出してしまった。ガッツポーズをとったとき、一瞬だけ猫背になるのは俺だけじゃないはず。ジクリと背中が悲鳴を上げたせいで俺も悲鳴を上げてしまった。背中のバカ!


「やっぱり痛いんでしょうが」


「あ、いや……まぁ」


「バカ太郎」


「……はい」


バカですその通りです、すんません。萌は心配してくれたのに、それを拒絶するようなことをしてしまいました。

 恐縮しながらゆっくり頭を下げると、コツンと後頭部を殴られた。……もとい、『ゴツン』と殴られた。


「……行くよ」


「あい」


どうやらついて行っても良さそうです。種類豊富な唐揚げ粉だが、ここはわがまま全開で俺の好きな粉を買っていただこう。きっと却下されるだろうけど。




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